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2023年10月26日
No.10003898

2022年の余暇市場規模は62兆8230億円
日本生産性本部 『レジャー白書2023』概要を説明

2022年の余暇市場規模は62兆8230億円
『レジャー白書2023』をもとに編集部作成

公益財団法人日本生産性本部は10月26日、2022年の余暇活動状況について、全国の15歳から79歳の男女3306人を対象に実施したアンケートの結果と各業界の市場分析を検証して取りまとめた『レジャー白書2023』の刊行に先立ち、プレス向けに概要説明会を開催した。

日本生産性本部・余暇総研によると、2022年の余暇関連市場規模(消費額)は62兆8230億円で前年から12.7%増加した。コロナ禍の落ち込みから回復に向かったものの、2019年(72兆70億円)にはまだ及ばず、2019年比では86.9%にとどまっている。構成比が大きいパチンコ・パチスロを除くと前年比17.2%増で、2019年比で92.2%の水準。

余暇関連市場を構成する「スポーツ部門」「趣味・創作部門」「娯楽部門」「観光・行楽部門」のうち、「スポーツ部門」は2019年の水準を上回り、「趣味・創作部門」では2019年に近い水準にまで戻った。「娯楽部門」では、構成比が大きいパチンコ・パチスロは前年比で横ばいだったが、公営競技が引き続き堅調だったことなどから前年比11.3%と伸びた。しかし部門全体では2019年の水準にはほど遠い。

「観光・行楽部門」は遊園地・レジャーランドが大きく増加し、前年比31.0%と大幅な回復を見せたが、もともとコロナ禍の落ち込みが非常に大きかった部門ということもあり、2019年比ではいまだ74.1%の水準までしか回復していなかった。

日本生産性本部の推計によると、参加人口が最も多かった種目は、前年に6位だった「国内観光旅行」(4080万人)。前年から850万人増と大幅に回復した。このほか、5位の「ドライブ」、9位の「複合ショッピングセンター、アウトレットモール」も前年から参加人口が大きく増加した。いずれも外出を伴う余暇種目という共通点がある。1人あたり平均参加種目は10.1種目で前年を0.4種目増えたが、2019年の12.3種目にはまだ届いていない。

近年、市場規模が顕著に伸びた種目は、「有料動画配信サービス」(2019年比229.2%)、次いで「電子出版」(同163.2%)で、いずれも過去最高水準。公営競技も大きく伸びた。「競輪」の売上は前年比17.4%増で2019年比160.5%。「ボートレース」の売上は過去最高を記録し、2019年比159.1%。
一方、パチンコ・パチスロの市場規模は前年から横ばいで回復は見られず、2019年比では73.0%の水準にとどまっている。

『レジャー白書2023』の調査・分析に参画している桜美林大学ビジネスマネジメント学群の山口有次教授は、公営競技の好調の要因を、「本場への来場者が増えているわけではなくインターネット投票売上が多くを占めている。つまり、ネット環境が整備されているレジャーが伸びているということ」と説明した。

売上を大きく伸ばした公営競技は参加人口も増えている。2019年を基準にした2022年の参加人口は、競輪が181.8%、オートレースが133.3%、ボートレースが116.7%、地方競馬が106.1%。一方、「パチンコ」の参加人口は770万人で、前年比6.9%増えたものの、2019年比で86.5%の水準だった。

ボートレース、地方競馬、オートレースのいずれも2019年比で見ると、参加人口の伸び率よりも売上の伸び率の方が大きい。これは、参加者が増えたと同時に、1人あたりの平均年間消費額が増加したことを意味する。インターネット投票が売上の約8割を占めるに至ったことを考えると、その手軽さから購入回数が増えた結果として、年間消費額が増えたと考えられる。


文=田中 剛(アミューズメントジャパン編集部)