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2019年05月21日
No.10001190

連載 夢と志 第1回
ビジネス人生は「夢と志」を持つこと
ブロードキャピタル・パートナーズ CEO 起業家インキュベーター 折口雅博

今月号から連載を始める折口雅博です。私は今、これまでのキャリアや経験を活かし、経営コンサルタントや起業家のインキュベーターをしています。

自分のキャリアを振り返ると、様々な業種、規模、場所でビジネスを展開してきました。1990年代には、ジュリアナ東京やベルファーレ六本木といったディスコをプロデュースしました。若い方でもディスコの名前くらいは知っているかもしれません。その後、1995年に人材アウトソーシングのグッドウィルを創業し、介護会社コムスンを含む総合人材サービスのグッドウィルグループに成長させてCEOに就きました。

グッドウィルグループは1999年に店頭公開して創業9年目に年商1400億円、12年目に拠点数2500、従業員10万人、年商7700億円、時価総額7800億円に成長しました。その後アメリカに渡り、MEGUという日本食レストランで国際的ホスピタリティビジネスの格付け機関より最高位のシックススターを獲得しました。

別に自慢しているわけではありません。どんな業種でも、どんな売上規模でも、ビジネスで成功するには共通点があるのです。

普段、私は経営者の方に意思決定のアドバイスをすることが多いのですが、この連載では経営者の方はもちろん、マネジメント層、さらにはキャリアが浅い新入社員の方が読んでも役立てていただけるような話ができればと思います。

ちょうど、新入社員が入社してしばらく経った頃です。今回はどんな心構えを持ってビジネスマンとしての人生を歩むべきなのか、私の考えを伝えたいと思います。 
 終身雇用制度や年功序列の時代が終わり、会社に頼らずに自立できるような能力をつけていくことが重要。最近はこうした考えが一般的になっているようです。ビジネス書などを見ても、会社員でいることのリスクや、会社員をやめて起業して成功した人の話で溢れています。

私も否定はしません。自分の能力を高めていくことは誰にとっても必要なことだからです。だからと言って、全ての人が起業家を目指す必要はありません。ゼロから起業して成功することは非常に難しい。起業して成功した一部の人の話は、ある種「生き残りバイアス」でもあるので、全ての人に当てはめるのは危険です。

私は、大学を卒業して日商岩井という商社に入りました。最初から起業して経営者になろうと考えていたわけではありません。でも、会社員時代も経営者になってからもずっと「世の中に良い影響を及ぼす大きなことがしてみたい」という志を持っていました。

ビジネススキルや自己啓発に関する書籍やセミナー、研修は世の中に溢れています。皆さんもそうした研修などを受けるでしょう。そこで学ぶことも多いと思います。ですが、スキル以前に大切なのは人生の羅針盤です。自分は世の中にどういった貢献をしていきたいのか、それを通して、自分がどう成長していくのか。つまり、夢と志を持つことが大切です。

そうした羅針盤さえあれば、焦らずに、まずは会社の中で自分の長所を発見し、磨くことに専念してもいいと思います。

企業は個人事業と違い、組織で戦っています。そして、それこそが強みなわけです。口下手で営業に向いていない人もいれば、計算が苦手だという人もいるでしょう。完璧な人、オールマイティな人はそれほど多くありません。個人の弱点を補完し合い、強みの部分を出し合い、総合力を高めていくのです。皆が同じような能力を身に付け、同じキャラクターである必要はありません。

まずは自分の長所を見極め、そして伸ばしてください。そしてマネジメントする立場の方は、短所を責めずに長所を見極め、その長所を生かす舞台を用意してあげてください。それこそが上に立つ者の役割なのですから。



おりぐち・まさひろ
1961年6月11日生まれ。防衛大学卒業後に日商岩井に入社。ジュリアナ東京や六本木のヴェルファーレなど伝説的なディスコをプロデュース。1995年に設立したグッドウィルグループをわずか12年で年商7700億円に成長させる。2004年に経団連の理事に就任。紺綬褒章、厚労大臣賞、日本赤十字社社長賞など受賞。その後も「プロの経営者」として、数多くの事業を成功に導く。座右の銘は「夢と志」。


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