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2017年03月19日
No.10000054

Editor's Eye 編集部の視点
「人」への投資が課題 
OFF-JT受講者は正社員の半数以下

「人」への投資が課題 

 4月は新入社員の入社や昇進昇格の時期。新卒者に対してはOJTの前にOFF‐JTが行われるのが普通だが、既存社員のOFF‐JTはどの程度行われているだろうか。

 厚生労働省が行った調査(※1)によると、1年間に正社員に対してOFF‐JTを実施した事業所は、全産業合計で72・4%。「電気・ガス・熱供給・水道」などインフラ産業では94・1%と高いが、「生活関連サービス業、娯楽業」(60・1%)や「宿泊業、飲食サービス業」(63・1%)では実施率が低い。
 実施したOFF‐JTの内容は、「新規採用者など初任層を対象とする研修」が68・6%と最も多く、次いで「マネジメント(管理・監督能力を高める内容など)」が49・6%(図参照)。
 一般財団法人日本生涯学習総合研究所は、企業が階層ごとにどのようなテーマで社員教育を実施しているかも調べている(※2)。これによると、新入社員に対して行われている社員教育のテーマで多いのは、「コミュニケーション力・日本語」(69・8%)、次いで「コンプライアンスに関する理解力」「自社の企業理念やポリシーに関する知識・理解力」。中堅社員の教育でも、「コミュニケーション力・日本語」(42・2%)が最も多い。これに「問題発見・解決力」「与えられる役割への認識・理解力」が続いた。
 残念ながら厚生労働省の調査からは、15の産業分類の中で「生活関連サービス業、娯楽業」のO FF‐JTの受講者率、受講時間が少ないことが見て取れる。

 1年間にOFF‐JTを受講した正社員は全体で45・4%。受講者率が6割、5割を超える産業もある。しかし、「生活関連サービス業、娯楽業」では32・7%にとどまり下から2番目の低さだ。
 OFF‐JTを受講した正社員の年間延べ受講時間は全体で「5~10時間未満」が21・6%と最も多く、「5時間未満」(16・8%)、「10~15時間未満」(14・3%)と続く。全産業の平均では10時間未満が38・4%だが、「生活関連サービス業、娯楽業」では50・1%を占め、他産業と比較して短いと言える。
 「生活関連サービス業、娯楽業」の現場では非正規社員が主力だが、1年間にOFF‐JTを受講した非正規社員の割合は全産業の平均値とほぼ同じ20・5%。しかし、受講した延べ時間は他産業と比較して短かった。
 ホール業界は、遊技機のラインナップや販促による店舗間の差別化が難しくなっている。「人材による付加価値の向上」のためには、人材への投資で抜きん出る必要があるだろう。


[注1]能力開発基本調査/常用労働者30人以上を雇用している企業・事業所を対象に、約7,200企業・約7,100事業所を抽出して実施。個人調査は、調査対象事業所に属している労働者から約2万1000人を抽出して実施。調査時期はいずれも2014年10月~12月

[注2]企業における人材育成に関する実態調査/調査対象は上場企業103社、非上場企業95社。業種別では製造業100社、サービス・流通・小売りなどの非製造業が85社、分類不能・無回答が12社。調査は2014年7月に実施。