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2017年04月20日
No.10000103

株式会社佐藤商会 執行役員 黒岩 禅
チーム力で成果を上げろ vol.2
伝わらないのは上司の責任

チーム力で成果を上げろ vol.2
くろいわ・ぜん (株)佐藤商会TSUTAYA事業部マネジャー。20歳よりTSUTAYAの店長を任され、数々の実績から「伝説の店長」と呼ばれる。マネジャーとしても日本一の店長や店舗を輩出する。「売上を上げる!最高のチームをつくるシンプルな仕掛け」をテーマにしたセミナーは全国各地の企業から依頼を受ける大人気セミナーに。

コミュニケーションの齟齬は、どの会社でも起こっていることと思います。
上司の指示を勘違いして、思わぬ仕事をしている部下の姿をみたことも、一度や二度ではないでしょう。それは、業務効率を大幅に下げ、ときには売上や利益の損失さえ生んでしまうことがあるのです。
そんなとき、勘違いした部下が悪いと考えているとチームは成長しません。チームにとっては「何を言ったか」が重要ではなく、「何が伝わったか」が重要なのです。なぜなら「伝わったこと」でしか、人は動かないからです。

文=黒岩 禅

私自身にも思い当たるところがあります。朝の9時に、午後の会議で使いたい資料のコピーを「急ぎでお願い」と部下に指示をしました。ところが、部下は今日中で良いと思ってしまっていたために、会議に間に合わなかったのです。

会議に間に合わなかった原因を「部下の勘違い」とも「上司の指示不足」とも考えることができます。上司の指示不足と考えれば、自分自身が変わることによってチーム全体に貢献ができます。部下の勘違いと考えると、部下の勘違いの数だけ指導が必要になります。大変なことは容易に想像ができます。

上司の私が「急ぎでお願い」という曖昧な指示でなく、「午後の会議で使うから12時までにお願い」と明確な指示をしていたら結果は違っていたでしょう。
チームが混乱するのは、いつだって上司の曖昧さから起こります。明確な指示ならば部下も仕事がやりやすく、成果も上がるのです。

複雑な内容であれば、それでも上手く伝わらないことがあります。そんなときは、指示したことをその場で部下に確認するとよいでしょう。
「いま理解したことを1分で教えてください」と質問をします。あるいは「どのように仕事を進めるか教えてください」と聞いてみます。

部下の答えから、指示が上手くできていないことや、部下の理解そのものが間違っていることに気づけることがあります。私の指示に「分かりました」と答えた部下に、「いま理解したことを1分で教えてください」と尋ねたことがあります。しばらく考えた部下が「もう一度教えてください」と答えたことに、唖然としたことが何度もあります。

部下が勘違いしていたり、理解していないままに仕事が進むと、その無駄な時間やコストは計り知れない損害になります。もちろん、最初の指示だけでなく、要所要所での進捗確認も必要なのは言うまでもありません。

私の部下も、今では私の指示に「それは、こういうことですね」と確認してくれるようになりました。上司として部下の成長を感じる瞬間です。
上司が「部下の勘違い」として何度も叱責すれば、「ちゃんと指示をしてくれない上司が悪い」と反発心を抱くものです。

上司が「私の指示の仕方が悪かったね」と部下に接すれば、部下も「私がもっと確認すればよかったです」と前向きに考えてくれます。確認時間は、わずか1~2分のことですが、多くの勘違いや曖昧さが排除されます。業務効率が上がることはもちろん、上司と部下の関係をよりよくするのです。それは、最高のチームとして全体効率を高め、仕事への士気も高めるのです。


黒岩禅の仕事楽
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