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2023年01月25日
No.10003252

「あの頃のパチスロ店」を現代に
神田『センター』

「あの頃のパチスロ店」を現代に
神田駅の目の前という好立地に登場

4号機・5号機が148台並ぶパチスロ専門の定額制ゲームセンター『センター』が1月26日、神田駅(東京都千代田区)の目の前にオープンする。景品交換ができない点以外は通常のパチスロ専門店とほぼ同じ。懐かしのパチスロが遊び放題だ。

同店は、地下1階から2階までの3階建て構造。1階には4号機が、2階には5号機が、歴史をさかのぼるように発売順で並んでいる。地下1階には「裏モノコーナー」として30パイの機種が設置されている。

時代の名機が並ぶ

『センター』のコンセプトは「パチスロ店のリアルの追求」。店の扉を開けば「あの頃のパチスロ店」が待ち受けている。代表的な取り組みは、サンドの設置。お金を入れなくても、ボタンを押せばメダルが貸し出される。通常の定額制パチスロゲームセンターは、最初にカウンター等でメダルを借りて遊技するため、他店よりも「本当にパチスロ店にいるかのような感覚」を味わいやすい環境が整っている。

4号機・5号機時代を味わうための施策も数多く採用された。データランプは元々設置してあったものを外し、当時使われていたものを使用。設定を示唆するPOPも設置した。店内には「Time goes by」や「Love Somebody」など、4号機当時のヒット曲が流れる。マイクパフォーマンスも再現する。まさに「あの頃のパチンコ店」にタイムスリップしたかのような空間が広がっている。さらに、LINE@を使用して「朝イチメール」も再現。LINE@の友だち登録者に設定を示唆したメッセージを毎朝送信する。メールの情報をもとに台を選定する、当時の所作すらも体感できる。

敢えてグレードダウンさせ、当時のデータランプを設置

設定示唆したPOPがズラリ。今の店舗にはできないことも、ゲームセンターなら実行できる


ゲームセンターを通して
本来の楽しさを伝えたい


「勝ち負けを繰り返すうちに忘れてしまう、パチンコ・パチスロを初めて打った時のワクワク感を、『センター』を通して思い出してほしい。『センター』は、勝ち負けをストレスに感じるくらいならこういう遊び方はどうですか?という、僕たちからの提案なんです。もしかしたら、僕らが古い台に拘っているように見える人もいるかもしれません。そうではなく、パチンコ・パチスロ本来の楽しさを伝えたいだけなんです」共同経営者の一人であるひげ紳士さんは、『センター』を出店した理由をこう語る。

ひげ紳士さんは2020年7月にも、古いパチンコ台が並ぶ定額制の『ゲームセンタータンポポ』を出店している。同店を開店したタイミングですでに、次の出店地を探していたという。計画を進めていく中で、YouTubeチャンネル「ぱち馬鹿っ‼」のメンバーも同じ計画を進めていると知り、力を合わせることにした。

ひげ紳士さん

都心を中心に出店地を探している中で、パチスロ専門店の跡地に辿り着いた。建物の老朽化等の都合で、契約期間は3年。その代わり賃料を抑えてもらい、居抜きの形で運営することにした。設置台はすべて「ぱち馬鹿っ‼」メンバーと『ゲームセンタータンポポ』メンバーの所有品。比較的費用を抑えた状態で開店準備を進められた。

バリエーション豊かなレトロ台が客を迎え入れる

集客ターゲットは、4号機や5号機時代に遊んでいたものの今は遊んでいない「休眠層」と呼ばれる人たちや、現行の射幸性に疲れてしまっているユーザーたち。「『ゲームセンタータンポポ』を運営する中で、客層が変化していることに気付いた。当初はレトロ台のマニアが多かったが、休眠層や若い人が増えていった。需要は確実にある」とひげ紳士さんは語る。さらに「ゲームセンターという形とはいえ、完全に業界から離れてしまうのを阻止したい。こういう形でも、業界に貢献できるのではないか」と業界人としての思いも述べた。当時の賑わいを取り戻したいという思いから、稼働は常に5割を目指すという。

「5号機が撤去されたタイミングで、定額制パチスロゲームセンターが密かに流行っている。昨年8月にも、岡山市に設置台数100台超えの店舗ができたばかり。ゲームセンターでもいいから思い入れのある台を打ちたいという需要は一定数ある。このブームは4号機が撤去されたタイミングにも訪れていた」と、定額制ゲームセンターの市場について、ひげ紳士さんはこう解説する。そのうえで「僕らはこれを一過性のブームにしたくない」と思いを述べる。『センター』のコンセプトに「パチスロ店のリアルの追求」を掲げたのは、この思いから来たものだった。

1月には、オペレーションの確認や機械の動作確認などを目的に、無料で遊べるプレオープン日を4日設けた。すべて平日の昼間の開催でありながら開店前から行列ができ、開店後10分でほぼ満台に。4日合わせて約1000人が押し寄せ、連日大盛況だった。行列の長さから通行人からの注目も高く「これはどんな店なんですか?」と店員に話しかける人も多かった。実際に遊技した来店客からは「あの頃を思い出して懐かしかった」といった声が届いたという。「提供したいものを確実に届けられていると確信を持てた」とひげ紳士さんは笑みを漏らした。

100人を超える行列ができた

あっという間に満台に

今後は『センター』の名を使い、地方の主要都市にも出店したいと考えているひげ紳士さん。パチンコ・パチスロ本来の楽しさを伝えるための挑戦は、まだ始まったばかりだ。