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2017年06月28日
No.10000205

ITC
AI機能も搭載へ進歩を続けるBI
ホール経営基幹システム『Compass』

AI機能も搭載へ進歩を続けるBI

昨年末の遊技台撤去の影響などで、経営が疲弊しているホールが増えている。こうした中あらためて注目されているのが、ホール経営基幹システム『Compass』(コンパス)だ。コスト削減や業務効率化といった機能に加え、営業力強化に結びつく機能を次々に搭載。導入した多くのホール企業で「攻めの経営」に直結するツールとして高く評価されている。


ITCの鈴木一彦CCOは、「Compassは元々、店舗分析だけでは企業の根本的な体質改善にはならないと考え作ったシステムです」と10年前の開発当時を振り返る。こうした経緯から、システムにはコスト削減や業務効率化など「守り」の改善策を実現する機能に加え、遊技機戦略やシミュレーションなど「攻め」の改善策を実現する機能が多数搭載されている。

図1は『Compass』の機能を一覧にしたもの。まさに、BI(Business Intelligence=データを収集・蓄積・分析・報告し、経営の意思決定に役立てる仕組み)と呼べるホール経営基幹システムだ。部署ごとにバラバラだった業務を統合。見えにくい経営課題を迅速に可視化し改善策を導き出すことで、業務品質を向上させながらコスト削減を実現する。

鈴木CCOは、「最近、以前にも増して業況が低迷。ホール様のために自分たちは何ができるのかを原点に帰って考え、システムを進歩させています」と言う。それが、営業力強化のための「攻めの戦略」に役立つ新機能だ。

「一般賞品管理業務・発注支援システム」はその一つ。複数メーカーのPOSデータシステムに対応、全店の賞品を一元管理することで、新たな収益モデルを後押しする機能だ。例えば、個別賞品の正味期限や余剰在庫を把握し、チェーン店移動によるロスの少ない活用ができる。



さらにWEBによる発注管理ができる機能を開発、まもなくフィールドテストが行われる。この機能は、取引先の問屋などと連携しておいてもらい賞品データベースを作成、ホール側は、PC・スマホ画面に表示される利益貢献の高いリストの中から賞品を選択するだけで発注できる。過去の発注履歴や在庫状況を確認した上で操作が可能で、過剰発注を防ぐメリットもある。
「将来は取引先からの納品チェックや請求書処理の手間も省けるようにしたいですね」

『Compass』はその他にも、守りを固め攻めの戦略にも貢献する新機能を常に提供し、進歩し続けている。
「スロットシミュレーションPV+」は、単なるスロットシミュレーションに留まらず、各台の出玉データに対するパチスロユーザーの閲覧状況(ページビューアクセス)を解析し、翌日の狙い台を浮かび上がらせ、営業オペレーションに活用するものだ。



「リサーチ評価」は、P‐martTV(いなばNEXUS)とコラボ、遊技機のファンマーケティングやCS(顧客満足度)をリサーチできる。また、ES(従業員満足度)評価やスタッフのストレスチェックも可能。競合他店に対する優位性や接客を比較するギャップ調査も行える。
「スタッフ接客ナレッジ」は、お客様の声を一元化してクレーム対応や要望などの情報を共有するもの。営業の差別化ツールとして、スタッフの接客力強化に役立つと好評だ。

ITCはCompassをさらに進歩させるために、AI(人工知能)の開発にも取り組んでいる。その一つが東海大学理学部数理科・情報数理学科の研究者からの開発支援を受けた次世代機能だ。

開発しているシステムはR統計解析と機種島配置のビッグデータを用いて、遊技機PPM分析(図表の横軸に稼働を縦軸に粗利を置き、その遊技機がどこの営業パワーポジションに位置するかを分析し、遊技機のウェイト付けを行う)の手法を更に発展させたもの。

例えばバラエティコーナーの機種構成や最適配置を決めるために、各台の稼働・粗利・売上などをポイント化。蓄積されたCoSMSデータ(ITC戦略情報システム)を基に、どの台をどの場所に置けば最も高いポイントが得られるかを例示する。本部主導やベテラン店長が従来続けてきた方法で機種の選定や台数、配置などを決定する個人の経験値による手法に比べ、最新の営業ノウハウや失敗事例がわかり、数値化された根拠を基にした最適配置ができるようになるという。

「いくつかのパターンの中から最終的には人に選んでもらうのですが、営業ノウハウの引き出しが多くなる分、効果的な配置になる可能性も高まります。配置した結果は、システムにフィードバックされ、さらに精度の高い最適配置を示唆することができる。ここがAIたるゆえんです」

実は導入後もCompassは進化する。なぜかというと、ホール企業ごとに異なる様々な業務上のルールに合わせカスタマイズする必要があるからだ。「ガラケーみたいなガラパゴス化です(笑)。使い勝手と機能を良くするために、ご要望を極力フィードバックするようにしています。例えば導入後の運用フォロー担当の畠山が受け持つ企業様では1年で200件近くも改善しています」と鈴木CCOは言う。

一般的に情報データを活用する頻度が多い店長ほど店舗の業績を伸ばす傾向にある。一方で、せっかく導入してもあまりデータを参照しない店長もいるため、ITCは店長のすべき業務フローを作ってCompassの機能として搭載している。

分析やデータを参照すると実施履歴ログが表示されるため、店長のスキルアップフォローや企業の人材育成ツールにも活用することができる。「この業務フローを使いこなすことで一段階上のオペレーションができるようになり、現場の使い勝手も向上したという評価もいただいています」。

昨今の業況を考えれば、ホール企業の生き残りをかけた戦いは今後一層熾烈になっていくだろう。コスト削減に関しても従来とは次元の異なる企業努力が求められるに違いない。

「だからこそ、経営の見える化やデータ分析を基にした戦略決定のスピードアップが必要で、この業況下での判断ミスは致命傷にもなりかねません。先を見通す力を磨き攻めの戦略を成功させ、店舗と人材の強化を図るために、Compassをぜひ活用していただければと思います」(鈴木常務)


ITC
www.itccl.jp


※月刊アミューズメントジャパン 2017年7月号掲載