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2017年09月15日
No.10000299

World Wide Amusement ~Trading Card Game
トレーディングカードゲーム
ゲームの世界観の中で思考力を競う

イタリア・ローマで開催されたトレーディングカードゲーム「Force of Will Grand Prix 2017 Season」の予選大会。ヨーロッパ地区、アメリカ地区だけで約3000人が参加している

トレーディングカードゲームというと日本では、「かつて流行した子どものゲーム」をイメージする人が多いかもしれない。元々は好きなキャラクターを集めるコレクション玩具の色合いが強かったが、競技性を高めたカードゲームがアメリカで開発されてから、対戦型ゲームとしてのジャンルを形成している。

トレーディングカードゲーム(TCG)は、国内では2011年に人気のピークがあり市場規模は前年度比19・7%増え1000億円を突破した(メディアクリエイト調査)。その後、市場規模は徐々に縮小したが、2015年度に『遊戯王』や『デュエル・マスターズ』のヒットが牽引し前年度比10%増と盛り返した。現在でも玩具市場の中で、ゲーム機に次いで人気の高いカテゴリーだ。

人気マンガやアニメをコレクションカード化し、低年齢層向けにごく単純なゲームとして遊べる機能を付加したトレーディングカードは昔からあった。テーブルゲームとして本格的な競技性を備えたTCGは1993年にアメリカで発売された『マジック:ザ・ギャザリング』が元祖だと言われている。この人気の高まりを受け、1996年に本格的な国産TCG『ポケモンカードゲーム』『スーパーロボット大戦 スクランブルギャザー』が発売されヒットした。以降、人気のマンガやアニメが続々とTCG化され、キャラクター人気に競技性が付加されていく中で、業務用ゲーム機で読み込んでより複雑な対戦を行う『WORLD CLUB Champion Football』『三国志大戦』『甲虫王者ムシキング』などのヒットゲームが生まれた。

『マジック:ザ・ギャザリング』にインスパイアされて開発された、競技の要素を強めたTCGは、収集の楽しみが主体の、描かれたキャラクターの魅力に依存したTCGとは異なるカテゴリーとも言える。人気の理由は、カードを収集する楽しさに加え、準備と研究、収集に労力を注いだだけ強くなれる点にある。もちろん、両者の中間に位置するようなものもあるし、競技系TCGにおいても、舞台となるストーリーや個々のキャラクターの魅力も重要な要素だ。

自分が好きなキャラクターを選んで戦いたい。そして勝ちたい。

これがプレイヤーの心理。そのために好きなキャラクターの持つ特性を活かしつつ対戦に勝てるようなカードを求めて、カードパックを購入し続ける。

競技系TCGの本場は米国
さらにアジア圏にも広がる


競技系TCGはファン増加というブームは沈静化したが、今も一定のファン層がいて、ひとつのカテゴリーとして定着している。日本より海外の方が盛んで、新作が登場すると玩具市場の中での売上ランキングの上位に登場するし、『遊戯王』『Magic』『ヴァンガード』『バディファイト』などのプレイヤーが集うイベントには数千人が集まる。

世界各地でメーカーやショップが運営する大会が行われている。中には予選大会を勝ち抜くと全国大会、北米で開催される決勝大会に進出するといった大規模な大会もある。

8月にイタリア・ローマで開催された『Force of Will』の競技大会には様々な年代の約150人が参加した。これは「Force of Will Grand Prix 2017 Season」の競技大会のひとつで、イタリアではベニス、ボローニャでも開催された。ヨーロッパ5カ国14都市、アメリカ国内9都市、カナダ3都市、メキシコ、さらにアジア圏で予選が開催されている非常に大きな大会だ。

『Force of Will』(通称FOW)に登場する数百のキャラクターのデザインは、一目でMade in Japanとわかるアニメタッチのイラスト。競技ゲームとしての完成度の高さも人気の理由だが、Cool Japan的要素に惹かれコレクションに熱中するファンも多いようだ。「fow card」などで検索すると、YouTubeには外国人コレクターが投稿した、自慢のカードコレクションを披露する動画が多数ヒットする。

『Force of Will』の日本語版カード。同TCGは7カ国語版があり世界40カ国以上でプレイされている


そもそも、日本でのこの玩具カテゴリーの市場規模の縮小は、「競技の不人気というよりも、新作のリリースが減っただけ」と指摘するゲーム関係者もいる。数百枚のカードにそれぞれ異なる性格や機能をもたせながら、競技として成立する整合性とカード間の力のバランスを設計し、新作をリリースできるゲーム会社が不足しているという面があるというのだ。

TCGは非常にオンライン化しやすいコンテンツだが、今でも、あえて対面して遊び、デジタルデータではなくモノとしてのお気に入りのカードを所有することを楽しむ愛好家が大勢いるのだ。