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2017年09月20日
No.10000303

広まる社内向け動画
熱い想いを動画で残す

広まる社内向け動画

消費者に向けた広告としてテレビやインターネット、サイネージなどで活用されている動画。静止画よりも圧倒的なインパクトが伝えられることは、さまざまなデータが示している。その動画を消費者向けではなく、企業のインナーモチベーションアップのために活用しようと考えている企業が、ここ2、3年で急増している。


「動画は活字よりも伝えられるメッセージの幅が広い。工夫できる表現のポイントが、活字よりも多いため。視覚と聴覚を同時に刺激し、時にはニオイや触感、温度感までも伝える」

動画制作会社LOCUS(東京都渋谷区)の藤森俊吾取締役は、動画の優位性をこのように語る。同社は今年で8期目。旧来のテレビ・CM制作会社を除けば、老舗に分類される動画マーケティングのパイオニアだ。1000社を超えるクライアントにこれまで納めた動画本数は、延べ1万本以上。その約3割が社内向け動画だ。

「社内向け動画で受注が多いジャンルは、人材採用、教育マニュアル、インナーモチベーションを高めるための動画です。業界を問わず、さまざまなクライアント様からご発注いただいています」

採用のための動画は、自社の採用Webサイトや合同就職説明会で活用されている。就職活動中の学生に分かりやすく事業内容を説明するもの、働きがいを紹介するものが主なコンテンツだ。あるゲームソフト制作会社は、学生と年齢が近い複数の先輩社員にインタビュー。入社した理由や現在の仕事内容、会社の好きなところなどを聞いている。こうすることで社内のリアルな雰囲気や人柄がより志望者に伝わり、志望動機を高める要因となっている。

二つ目の教育マニュアルは、接客の教本を動画に替えたものだ。都内のイタリアン飲食チェーン店は、アルバイト社員向けに研修動画を制作。「明るく、笑顔で、元気よく」など挨拶時のポイント5点を挙げ、接客レベルの基準を示している。「いらっしゃいませ」という挨拶一つとっても、どのくらいの声の大きさなのか、どのような笑顔や姿勢が望ましいのかが一目で分かる。受け手は自分のイメージや先入観との違いに気づくことができ、サービス基準の均一化がより図れるようになる。

また教材を動画にするだけでなく、就業中の社員を動画で撮ることも広まりつつある。「あのときのあの挨拶は良くなかった」と事後に指導を受けたときでも、自身の接客対応を客観的に見つめ直すことができるため、納得しながらより良い改善につなげることができる。

三つ目のインナーモチベーションを高めるための動画とは、例えば社員総会などで全社員が一斉に見る社長インタビューや、社内報の代わりに関係者に送られる社員向けメッセージなどが相当する。イントラネットなどで共有しておけば、全社員が同じ時間、同じ場所に集まれなくてもメッセージを伝えられる。この種の動画は、特に店舗型ビジネスのサービス業で増えているという。

このほかにも大型プロジェクトのプロセスを動画に収める企業もある。ホール企業であれば、思い入れが深い新店を立ち上げる時にその記録を動画に残す。新店の立ち上げは全社員が関われることではないが、その場の想いは全社員で共有したいというときに有用だ。

「動画が普及している理由はおそらく、メッセージの送り手の熱意が伝わりやすいからでしょう。労いの言葉一つとっても活字だけの場合と表情が見える場合とでは、受け手の捉え方は変わってきます。社内行事を動画で振り返ることで、当時の熱い想いを呼び起こすような使われ方もあるようです」

*続きは月刊アミューズメントジャパン10月号「動画活用の新潮流」をご覧ください。

同特集ではほかにも、パチンコホール企業が行っている動画の活用方法を紹介しています。
◇節目となるイベントを映像化(マルハン)
◇内定者を惹きつける
◇受け手のストレスを軽減(シティコミュニケーションズ)