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2017年12月28日
No.10000451

キーノート
世界的飲食チェーンと新境地開拓へ
グローバルな設計会社を目指した挑戦

世界的飲食チェーンと新境地開拓へ
海底撈火鍋新宿店内観

世界で約350店舗を展開する中国発の有名火鍋店『海底撈火鍋(かいていろうひなべ)』の日本2号店が12月6日、東京・新宿にOPENした。設計施工を手掛けたのはキーノートだ。海外企業からも高い支持を得る同社の今後について、滝沢励取締役本部長と一級建築士でもある川村寛企画部長に話を聞いた。


「グローバル化と言われて久しい現代、海外へのアプローチは企業が成長する上で必要不可欠。チャレンジしなければならないと思いました」とキーノートの滝沢取締役本部長は語る。
同社の海外進出は、中国飲食業界を代表する『海底撈火鍋』の北京店(中国)の受注から始まった。「日本人が持つおもてなしの心を、中国人に受け入れられるかたちで表現してほしい」という依頼だった。

滝沢 励 取締役


『海底撈火鍋』は、大衆向けの鍋料理を提供する世界的ビッグチェーン店。特徴は徹底したサービス精神にある。例えば、満席の時の待ち時間には、無料ネイルケアや無料ドリンク、ボードゲームなどを提供。キッズコーナーや靴磨きのコーナーも設置され、待ち時間を楽しみなひと時に変えてくれる。また、食事の際のテーブルでは、携帯電話が汚れないようにするジップロックや髪留めのゴム、スリッパの貸し出しなどさまざまな気配りにあふれている。

「料理の品質はもちろん、入店した瞬間から店を出るまで、サービスのトータルクオリティにこだわる企業様ですから、デザイン面へのこだわりも非常に強い。日本で培ったノウハウで、我々には考えられなかったアイディアを提案してほしいと言われました」と話すのは川村寛企画部長だ。

海底撈火鍋新宿店ファサード


中国では建築物に求めるデザインや色彩が近年変化している。以前は、縁起が良い色として金や赤などが好んで使われていたが、今では居心地の良さや視認性など空間のトータルコーディネートが重要視されている。加えて『海底撈火鍋』では機能性にも重点を置いている。機能性とは、あくまでも来店客に対するもので、居心地の良さが大前提にある。彼らが求めるのは、床の間やお茶室をモチーフとした「日本らしさ」ではないのだ。

キーノートが設計した『海底撈火鍋』が入る「北京の大型SC「世界の花」延床面積62万㎡。現在工事進行中


ホール建築では、日本有数の実績を誇るキーノートは、滝沢本部長を中心にデザインを練った。ワンランク上の提案とは、一人のデザイナーのエゴで行うものではない。一人の人間の感性だけではすべてのお客様のニーズに応えるのは不可能だからだ。若いスタッフのアイデアでも斬新な発想であれば取り入れていった。

キーノートの提案の豊富さと対応の早さ。そして、なにより挑戦する心。そのスタイルは『海底撈火鍋』からも高く評価された。

「キーノートの海外に挑戦したい、という気持ちは本物だった。彼らには飲食店のデザインにおいてこれまでの常識にとらわれないアイデアと、日本のアミューズメントで培った技術がある。私たちは、サービスを展開する上でいつも他とは違うことをしたい。キーノートの提案は、私たちを満足させてくれるものだった」(海底撈火鍋プロジェクトマネージャー静 福存氏)

キーノートの海外挑戦の第一歩は成功を収めた。そして、『海底撈火鍋』は日本進出に際して、同社をパートナーに選んだ。

12月6日、『海底撈火鍋』は日本2号店目となる新宿店をOPENさせた。1000平方メートルを超えるフロアに個室やキッズルーム、喫煙室を設置。系列店同様、老若男女問わず楽しめる空間に仕上げた。

これまでの『海底撈火鍋』にはなかった新しい要素も取り入れた。企業ブランドを重視し、系列店のデザインをベースとしながらも、新宿という場所や客層を想定した店づくり。スペースが限られるボックス席は、通路から壁の奥に入るサプライズのある設計にした。

左半分は鏡。視覚的な錯覚を演出する

明るいエントランス。行灯のアーチの向こうがダイニング


壁の色や間接照明にもこだわり、個室のような落ち着いた空間設計をした。
女性用トイレは、鏡と行灯を使い明るい配色を採用。機能的にも優れ、個室やパウダースペースの導線は多数の女性の意見を取り入れた。

だが、この海外挑戦がいずれはホール業界の新規事業出店に還元できるとキーノートは確信している。

川村 寛 一級建築士 商業施設事業本部 部長


「今回の挑戦によって、海外のニーズを知り、外国人向けの繁盛店づくりのノウハウを得ることができました。また、挑戦に賛同する有能な人材が集まりました。今後は訪日客をターゲットとした業態を国内で展開される企業様もあるでしょうが、私どもには、訪日客に喜ばれる店づくりには一日の長があります。海外進出を考える企業様からもご相談いただければ、必ずや繁盛店づくりのお手伝いができます。異業種を考えられる企業様にも感度の高い提案ができると思います。施主様の事業計画やビジネス感覚に沿った、多様な投資先を提案するとともにホール建築にも新たなデザインを提供できる様に仲間とともにチャレンジしていきたいですね」(川村企画部長)


キーノート
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*詳しくは月刊アミューズメントジャパン1月号特集「他業種経営への挑戦」をご覧ください。