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2018年04月16日
No.10000590

pp奨学金
22人の学生に給付型奨学金
業界有志が募玉で支援

22人の学生に給付型奨学金
pp奨学金委員のメンバー(前列)と奨学生たち。 学校行事で不参加の奨学生からは、ビデオメッセージが届けられた

業界有志からなるパチンコ・パチスロ奨学金(pp奨学金)委員会が4月4日、都内で総会と式典を開催し、第1期生である22人の学生に奨学金給付決定通知書を交付した。pp奨学金は学生に返済義務を負わせない給付型の奨学金。原資は遊技客からの募玉だ。


「貸与型の奨学金を利用する学生は2.65人に1人。卒業後に返還義務を負う彼らは、ゼロからではなくマイナスの状態で新社会人のスタートを切る。こんな世の中で本当にいいのだろうか」
式典の冒頭でpp奨学金委員会の深谷友尋委員長はこう切り出した。

奨学金事業の9割を担っている独立行政法人日本学生支援機構の奨学金制度は、卒業後に返還する必要がある貸与型。2016年度は131万人の学生が総額1兆465億円を貸与された。単年で見れば概算で約80万円だが、貸与は複数年にわたることが一般的。奨学金利用者が卒業後に負う平均の返還額は、無利子で237万円、有利子で343万円だという。

一方、業界有志が立ち上げたpp奨学金は、一切の返済義務を負わせない給付型の奨学金だ。原資は遊技客の募玉。18年3月現在、37の業界企業・団体がpp奨学金の趣旨に賛同を示し、ホール102店舗に募玉募金箱が設置されている。集まったpp奨学金は、社会福祉法人さぽうと21が運営している。

昨年度、8人のパイロット給付生を輩出したpp奨学金は、今回を第1期生として22人の学生に奨学金給付決定通知書を交付した。福島県立医科大学医学部医学科2年の三浦稜平さんが奨学生を代表して、pp奨学金委員会の委員でもあるさぽうと21の吹浦忠正理事長から通知書を受け取った。

(左から)深谷委員長、三浦さん、吹浦委員

奨学金は月額5万円、年額60万円が2カ月ごとに送金される。奨学生はそのたびにpp奨学金委員会に近況を葉書で報告。報告を怠ると、給付が停止されることもある。この葉書は賛同ホールに掲出される予定だ。

18年度の応募総数は49人。書類選考を通過して面接に臨んだ22人全員に給付が決まった。書類選考では世帯年収や家庭事情、成績を総合的に審査。父子または母子家庭、障がいを持つ家族や介護が必要な家族がいるなど、家庭によって困窮度合いが異なるため、世帯年収や成績にそれぞれ基準を設けてはいない。

将来何を成し遂げたいかを主にヒアリングする面接では、奨学生1人に対してpp奨学金委員8人が臨席。三浦さんは約15分間の面接について、「圧迫感はなく、応募者がリラックスできるような配慮を感じました。私は趣味についても尋ねられました」と振り返る。

pp奨学金委員会の阿部恭久副委員長は、「奨学生が社会で大きな功績を挙げたとき、パチンコ業界の奨学金で学校を出たと言ってもらえるようになれば、パチンコ業界が世の中になくてはならないものになる。業界一丸となってpp奨学金制度を継続させていきたい」と述べた。

深谷委員長は「資金を集めることが我々の第一の任務。今後、奨学生を1000人、1万人と送り出せるように、趣旨に賛同いただけるホールの仲間を募りたい」と抱負を語った。

賛同ホールに置かれている募玉募金箱