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名古屋市内のホールが最新の「がん検査」に協力
森創が主催 「大切な人をがんから守る」
遊技機の部品メーカー、森創(北名古屋市)が4月29日と30日の2日間、名古屋市内のパチンコホールで「がんの早期発見」による健康な街づくりを目指す「パチンコ店がんリスク判定検査トライアル」を実施した。特別協賛するパチンコホール運営の京楽(名古屋市)と善都(愛知県豊田市)が協力して、『サンシャインKYORAKU栄』と『ZENT名古屋北店』の敷地に検査スペースを設けた。
今回使用した検査キットは、線虫を使った新時代のがん検査を提供する株式会社HIROTSUバイオサイエンスの『N-NOSE(エヌノーズ)』。嗅覚に優れた生物”線虫“が尿に含まれるがんの匂いを検知して全身網羅的(※)にがんのリスクを判定する、「簡単」「安価」「高精度」を特徴とするがんの一次スクリーニング検査だ。俳優の東山紀之さんによるテレビCMが放送されていることもあり、関心が高まっている。
この検査をパチンコホールで行うことを提案した森創は、遊技機枠などでトップシェアを誇る部品メーカー。プロジェクトの責任者でもある取締役の萬道真介さんは今回の取り組みに至る経緯をこう語る。
「当社も新卒採用などでパチンコ業界のイメージが悪いことを実感していました。何とか業界のイメージを変えられないかと考えていたところ、コロナ禍で大阪のホール様が店内でワクチン接種を実施したことで、業界のイメージが変わったような感じを受けました。当社ではエヌノーズの検査を手掛けるHIROTSUバイオサイエンス様とご縁があり、両社の課題を共有したことがきっかけでした」
エヌノーズの検査は現在、インターネットで申し込むか、実施している医療機関に行くか、企業や団体での集団検査などでしか受検方法がない。いずれも検査の必要性が高い高齢者にとっては敷居が高い。実地での検査会などでは、尿を採取するトイレを確保できないという課題もあった。
「そこで、パチンコホールであればトイレの問題を解決できるのではないかと考えたのです」(萬道さん)
森創では早速、日遊協に相談したところ、日遊協中部支部が支援を表明。まずはテストケースとして、『サンシャインKYORAKU栄』と『ZENT名古屋北店』でトライアルを実施することが決まった。
「諸外国に比べて日本ではがん検診を受ける人の割合が低い。加えてコロナ禍による受診控えにより、がん発見数が減少し早期発見がより難しくなっています。このプロジェクトでは、『大切な人をがんから守る』をコンセプトに、身近にあるパチンコホールでがんのリスクを調べる検査を普及させることを目的としました」
プロジェクトは日遊協中部支部が後援し、遊技機メーカー9社の協賛も集まった。事前に名古屋市内の地下鉄の駅にポスターを貼り、市内の喫茶店や美容室などにチラシを置かせてもらった。実施店の2店舗でもポスターを貼り、名古屋の地元紙がニュースとして取り上げたこともあり、開催日前に2店舗合わせて260人からの予約が入った。
2日間で合計402人が受検
大型連休初日の4月29日。検査会開始前の午前9時には予約をした人たちが『サンシャインKYORAKU栄』の店頭に設置された受付に列を作った。今回、ホール側は無償で店外に検査受付の場所を提供した。
来場者は受付で検査に関する説明を受けて、採尿用のシリンダーとスポイト、紙コップが入った検査キットを受け取る。その後、自分で採尿をして検体を受付に渡して検査は終了。約4週間後に郵便で検査結果が送られてくる。参加者が負担する検査費用は、協賛各社の協力により1万円(税込)に抑えることができた。
敷地を提供した京楽・パーラー事業部の森田誠広報係長は「日遊協で森創さんからお話があり、当社も社会貢献をやっていきたいのでぜひとお願いしました。全従業員に話をしたところ、親御さんが参加を希望しているという社員もいました」と話す。
この日は『ZENT名古屋北店』でも午前9時を前に参加者が列を作った。同店は設置台数2100台の大型店。隣接の別棟にあり、普段は絵画などを展示している「ZENT ART MUSEUM」を検査会場に提供した。
善都では検査会実施2日前の27日に新聞に折り込みチラシを入れて「がん検査」の実施を告知した。するとその日から70人ほど予約が増えたという。この日の午前中は検査を待つ人たちの整理に追われていた。
善都の谷口隆彦広報課長は「これだけの反応があることに驚いています。店内のポスターと折込チラシの効果が高かったと思いますが、検査を受けられるのは年配のご夫婦が多いですね。健康意識が高い近隣の方々にご案内できて、地域のみなさんのお役に立てたのではないかと感じています」と話した。
2日間にわたって行われた「がんリスク判定検査会」には2日間で402人(サンシャインKYORAKU栄:152人、ZENT名古屋北店:250人)もの人が検査を受けに訪れた。
森創でプロジェクトリーダーを務めた商品企画事業部の竹澤伸也次長は今回の検査会について、「2店舗で100人集まってくれればよいと考えていましたが、蓋を開けてみるとものすごくニーズがあることがわかりました。検査を受けたくても受けられない人、ネット社会で取り残された人たちがたくさんいらっしゃる。パチンコ業界にはそうした社会の隙間を埋める活動がもっとできるのではないかという想いを強くしました」と手応えを感じていた。
森創では今後も日遊協などと連携しながら、この取り組みを全国に広げていきたいとしている。
(※)線虫が反応することが分かっているがん種:胃、大腸、肺、乳、膵臓、肝臓、前立腺、子宮、食道、胆嚢、胆管、腎臓、膀胱、卵巣、口腔・咽頭(15種類)
参加者謝の声
【サンシャインKYORAKU栄】
▼西区在住の60代夫婦
エヌノーズのCMを見て、この検査を受けたいと思っていたが、郵送などが煩わしかった。ここならすぐに受けられるのでとても良かった。パチンコホールで実施すると聞いてびっくりしましたが、なかなか良いことで、ありがたい。
▼60歳の母親とともに参加した女性
たまたま受けてみたいなと思って調べていたら、名古屋でできることがわかり昨夜に予約しました。パチンコはやりませんが、ここはいつも通っているところ。病院よりずっといいし、全然抵抗はありません。乳がんなども心配なのでこの検査は定期的に受けたいです。
【ZENT名古屋北店】
▼春日井市の男性(60代)
折込チラシで見つけた妻から勧められて参加しました。パチンコはたまにやるくらいで、この店にきたのは初めて。このぐらいの価格設定なら自己管理の範囲内で年に1回ぐらい受けてもいいのかなと思う。
▼ひとりで参加した女性(50代)
チラシを見て参加しました。いつも定期検診でいろんなことを指摘されるので、この検査をやりたいと思っていた。よく(施設内にある)コメダ珈琲でお友だちと待ち合わせするので、ここは来やすくてよかったです。
▼近隣の男性(40代)
お店のトイレの中のポスターを見た。パチンコはやっていないが、コメダ珈琲にはよく来ます。40歳を超えたのでこういう検査は定期的にやっていきたい。なかなか病院にも行きづらいので、近場で気軽に来れて良かった。
▼母親と一緒に来た男性(50代)
コロナ禍で毎年やっていた病院の人間ドックを躊躇するところがあって2年ほどやれていなかった。母がこれを見つけてくれて、簡単に検査ができて良かったです。パチンコはやりませんが、こういうことはぜひ続けてほしいですね。
▶N-NOSEについて
https://lp.n-nose.com/