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2017年04月12日
No.10000095

エイチツー・プランニング
「時代はスマートホテルだ」
玉木宏道代表インタビュー

「時代はスマートホテルだ」
エイチツー・プランニング 玉木代表

これまで数多くのパチンコホールの設計・施工を手掛けてきたエイチツー・プランニング。今、同社が提案するのがカプセルホテルを進化させた「スマートホテル」だ。インバウンドの増加に伴う宿泊ニーズの増加という市場環境。さらには、利回り30%を超える高収益のビジネスモデルという点でも「魅力に溢れた事業だ」と言う。

──最近、カプセルホテルの開業が多く見られますが、この背景には何があるのでしょうか?
玉木 2013年頃から、アベノミクスによる円安が加速していったこともあり、訪日外国人が急速に増え始めました。12年の訪日客は約800万人でしたが、13年には1000万人を超え、15年には約2000万人に達しました。そして昨年は2400万人と、政府が目標としていた数をかなり前倒しで達成している状況です。わずか数年で3倍以上になったのですから、当然ホテルの供給が不足してくる。出張する人なら実感があるでしょうが、国内主要都市のビジネスホテルは予約を取るのが非常に困難になっている、もしくは宿泊料金が高くなり、会社が認める出張費の範囲では宿泊できないという状況で、カプセルホテルに宿泊するビジネスマンが目立ってきました。また、訪日外国人の中にはカプセルホテルを選ぶ人が多くなっていることで需要も増えています。

──カプセルホテルはビジネスマンだけでなく、外国人もターゲットになるんですね?
玉木 簡易ホテルとしては、もともとヨーロッパには古くから「ホステル」がありましたから、彼らは簡単なベッドとシャワーだけの部屋に泊まることに抵抗はありません。日本のカプセルホテルに対しても、日本独自に進化した簡易ホテルで「日本らしさ」を味わってみたいと、積極的に宿泊先として選ぶ外国人も少なくないようです。

──今後、カプセルホテルの需要はどうなると予想されますか?
玉木 ご存知のように現在、東京をはじめ全国の主要都市ではホテルの建設ラッシュが続いており、宿泊業界の需給バランスは改善されていくでしょう。それでも、カプセルホテルは新たな市場を開拓できる可能性を多いに秘めています。今日のカプセルホテルはスペースの効率化と宿泊客の快適性を両立していて、誰もが違和感なく宿泊できる施設に変わってきたことを考えると、需要は増えていくでしょう。

──新たな市場とは?
玉木 カプセルホテルを選択肢と捉えていなかったビジネスマンです。「狭い」「不衛生」という先入観からカプセルホテルを敬遠していた方ですね。最新のカプセルホテルは広くて清潔で、プライバシーもある程度確保できますから、ビジネスマンの新たな需要が高まっています。また近年は、カプセルホテルを利用する若い女性が徐々に増えています。女性は、食事や宿泊費などの値段に見合った満足感を得ることにこだわります。女性同士の旅やライブコンサートなど、遊びの目的に費用をかけますが、残った予算の中でこだわりを持って宿泊施設を選びます。まさに、実益を重視する「女子的思考」ですね。しかも、女性はこれまでカプセルホテルに宿泊したことがない層が大半。つまり、開拓の余地が非常に大きいのです。カプセルホテルに宿泊した女性の書き込みを見ると、最初はビジネスホテルが予約できなかったので仕方なく泊まったが「キレイでびっくりした」「快適だったのでまた利用したい」といった評価が多い。そうした口コミが広がり、さらに女性利用者が増えていくという好循環が生まれています。




──カプセルホテルのビジネスとしての魅力とホール企業が参入するメリットは?
玉木 収益性の高さが最大の魅力でしょう。例えば、延床面積350坪に3億円の投資で200室のカプセルホテルを作ったとします。ざっくりですが利回りで3割以上は確保できます。ホール企業のメリットとしては、土地や建物を有効活用できる点です。今、駅前200台、300台規模のホール様の中には苦戦しているお店も少なくありません。駅前多層階ホールの立地条件はカプセルホテルにも最適です。あるホールがカプセルホテルに業態変更したところ、収益性が高まったという事例もあります。カプセルホテルの客単価は宿泊のみだと低く思えますが、温浴施設や休憩の短時間利用者もいますし、飲食販売などの売上も加えれば単価は上がります。それを加えると更に収益性が高まります。


──カプセルホテルの運営は難しくないのでしょうか?
玉木 ホール企業の多くは人材教育に力を入れていますから、そのヒューマンリソースを活用すれば難しいことはありません。我々は設計・施工だけではなく、営業支援や従業員教育のコンサルタントもご紹介できます。


──カプセルホテルの競争も激しくなると思います。御社ではどのような差別化を提案しますか?
玉木 付加価値を高めること。私どもが手がける物件はカプセルホテルではなく「スマートホテル」と呼んでいます。狭くて、ただ眠るだけの機能を有した旧来の「カプセルホテル」ではなく、ある程度のプライバシーが保たれた寝室、シャワーだけではなくゆったりとした浴槽を備えた温浴施設を作り、朝食も提供する。複数人が集える共用スペースも作り、ビジネスマンの仕事や仲間とのコミュニケーションの場として喜ばれます。我々は今「ZIP」シリーズという、付加価値の高いユニットを提案しています。また、より広い専有面積の「ZIPキャビン」はベッドスペースとは別に、備え付けのデスクや椅子を設置した寛げる空間です。実際、この「ZIP」シリーズを導入しているホテルは、非常に顧客満足度が高いという評価をいただいています。




──ホール企業としても御社になら依頼しやすいでしょうね?
玉木 我々はこれまで、パチンコホールも数多く手がけてきました。パチンコ業界の事情も良く存じ上げていますから、ホール様からも相談していただきやすいのではないかと思います。我々は10年以上前にパチンコホールとホテルの複合施設を手掛けていますし、今後も低層をパチンコホールに、上層階をカプセルホテルにするという案件を手掛ける予定です。土地や建物を効果的に活用して収益性を高める物件をつくるノウハウは他社にはないものだと自負しています。宿泊業に興味を持たれたり、事業多角化などを検討することがあったら、ぜひ弊社に声をかけていただきたいですね。



※月刊アミューズメントジャパン 2017年4月号掲載