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2017年04月18日
No.10000104

三洋
「オリジナル」へのこだわり~地図のない冒険~
本物づくりへの挑戦

「オリジナル」へのこだわり~地図のない冒険~

パチンコにおけるオリジナルコンテンツの金字塔、海物語シリーズで業界に大きな貢献を果たしてきた三洋グループ。版権モノの機種が全盛となったいま、再び「オリジナルの本物づくり」で新たな局面を切り開く挑戦をはじめた。その思いを開発本部の堀尾孝文常務に聞いた。

INTERVIEW
株式会社 三洋物産
開発本部 常務執行役員 開発本部長
堀尾孝文


──昨今の遊技機開発の状況についてどうお考えですか?
堀尾常務
(以下、敬称略) 業界内におけるさまざまな変化がある中で、少し停滞感があるように感じています。実際、ホール様の中でしっかりと存在感を出しているのは、過去のヒット機種の後継機ばかりです。弊社の海物語シリーズも含めて、ファンが多くいる機種がしっかりと活躍していくことは絶対的に必要なことであり、弊社としても「海物語ブランド」がこれからも愛され続ける努力は、全力で行っていきます。しかしながら、そのほとんどがシリーズ機になってしまうと、結果として似たような機械しか存在しなくなり、業界内の多様性が損なわれていきます。これは望ましい状況ではないと考えています。

──実際、ファン人口は長期減少傾向にあります。
堀尾
 やはり、新しい血が吹き込まれることで活性化されるのが常だと思いますし、いま活躍しているヒットシリーズにもすべて”最初“はあったわけで、メーカーとして新しいものを提案していくことを怠ってはいけないと強く感じています。そんな想いを世の中に発信するために、現在、動画CMを制作しています。

本物を生み出す努力を忘れない

──どんな内容ですか?
堀尾
 「地図のない冒険」と題したアニメーションで、「本物=オリジナルを作ることの大切さ」を表現しました。制作は「君の名は。」を手がけたコミックスウェーブ様にご協力をいただきました。

        「地図のない冒険」のワンシーンの線画。動画CMは4月末から公開予定

──メーカーとしてのこだわりを伝えようという意図ですか?
堀尾
 ヒット作を模倣した作品が生まれ続けてしまうのはパチンコ業界だけで起こっていることではなく、他のエンタメ業界でも同じです。前例のない企画が通りづらい昨今の企業構造も絡み、日本のエンタメ業界全体が抱える問題だと思います。そんな中でも本物を生み出す努力を忘れてはいけない、それが業界の発展に繋がる、そういったことを多くの人に共感していただけるようメッセージを込めました。
   
──それは今後の三洋グループの機種開発の方向性でもあるわけですね。
堀尾
 やはり「オリジナル」というものにこだわっていきたいと思っています。大型版権の機種が昨今のパチンコ業界を牽引してきたこと、これは純然たる事実と認識していますが、その一方で限界も感じています。コンテンツも二巡三巡し、原作にとらわれた物づくりになり、パチンコの本来持つ楽しさが薄れていき……。

──その結果、画一化が進んでいる面はありますね。
堀尾
 画一化とともに、コスト面に関して業界のビジネス構造としては破綻しつつあると感じています。お金をかければいいものができるとは限りません。オリジナルならより自由に、パチンコらしいパチンコを作り上げていけると思っています。やはり外からコンテンツを借りてくるだけでは寂しいですから。最近若者たちに人気のスマホゲームを見てもそうですが、アイデア次第でいくらでもオリジナルコンテンツの可能性はあると思っています。

本気の取り組み、感じてほしい

──そうした中、オリジナルコンテンツの新機種を発表されました。
堀尾
 今までお話したことは、三洋として今後ずっと取り組んでいくことですが、今回、発表させていただいた『CRシルバーダイヤモンド』は、その考えを体現した機械となっています。パチンコのためだけに作り出されたオリジナルコンテンツであり、世界観も演出表現も自由にできるメリットを存分に活かしています。なんというか、最もパチンコらしいパチンコに仕上がったと思っています。オリジナルだからといって決して手を抜くことなく、弊社としては力作を作ったつもりですし、面白さには自信があります。とはいえ、今の時代、ホール様が知名度のないこの機械を、いきなり多台数で使っていただけると簡単に考えているわけではありません。

──長期的にコンテンツを育てていくお考えですか?
堀尾
 海物語は三洋が生み出した最強のオリジナルコンテンツであり、ホール様やファンの皆さまに育ててもらったからこそ、今の姿があると思っています。この『シルバーダイヤモンド』が市場で少しでも良い結果を出せたなら、必ず続編をつくり、継続したチャレンジをしていきます。業界を盛り上げるために、明確な意思のもと三洋は本気で取り組んでいきますので、ぜひご期待いただければと思います。


         『シルバーダイヤモンド』の主人公シルバーとヒロインのサンゴ