コラム

コラム内を

2017年05月08日
No.10000136

株式会社佐藤商会 執行役員 黒岩 禅
チーム力で成果を上げろ vol.3
報告は「耳」ではなく「口」で聞く

チーム力で成果を上げろ vol.3
くろいわ・ぜん (株)佐藤商会TSUTAYA事業部マネジャー。20歳よりTSUTAYAの店長を任され、数々の実績から「伝説の店長」と呼ばれる。マネジャーとしても日本一の店長や店舗を輩出する。「売上を上げる!最高のチームをつくるシンプルな仕掛け」をテーマにしたセミナーは全国各地の企業から依頼を受ける大人気セミナーに。

今回は、部下の連絡や報告を聞くときに心がけていることを紹介いたします。実践し始めたのは、ある出来事がきっかけでした。
弊社の店舗が取材を受けたときのことです。担当者からは「取材時間は2時間です」と連絡を受けていました。店長は2時間を想定して準備していたのですが、実際に取材は4時間以上かかったのです。その結果、その日のやるべきことができず、成績も振るいませんでした。
実は「2時間」と言った担当者の言葉は、取材を依頼してきた方の言葉ではなく、担当者が「2時間もあれば終わるだろう」と想像した言葉だったのです。

文=黒岩 禅

人は、自分の想像をあたかも事実のように人に伝えるものです。それがときには会社に大きな損害を与えてしまうこともあります。弊社の店舗で扱っている商品には、メーカーに返品できるものとできないものがあります。あるとき、特定の商品が在庫過多になっているので当時の担当者に聞きました。担当は「この商品は返品できるので大丈夫です」との返事だったので、私も納得していました。

ところが、実際にはこの商品は返品できるものではなかったのです。本人は事実を確認したわけではなく、同様の商品が過去に返品できたものだったので「返品できる」ものと思い込んでいたのです。その結果、大量の在庫を抱えてしまい会社に数百万円の損害をもたらしてしまいました。

失敗の原因は、報告の内容を「事実なのか想像なのか」と私が確認をしていなかったことです。部下からの報告を、事実と想像に分けて聞くことが、どれだけ重要なことかを学ぶことができました(高い授業料でしたが…)。

それ以来、部下の話を聞くときには「それは事実ですか? それともあなたの考えですか?」と聞くようになりました。部下からの報告を、「耳で聞くのではなく、口で聞く」のです。つまり、質問をして確認をするのです。

先の件でいえば、「返品できる」という担当者の言葉に対して「それは事実ですか? それともあなたの考えですか?」と聞くのです。「事実です」という返答であれば、「その条件はどこに書いてありますか?」「先方に確認しましたか?」と「事実の確認」をします。そうしていれば「以前の商品は返品ができたので、これも大丈夫だと思います」といったような返事が返ってきたかもしれません。

「事実か考えか」を聞くようになって分かったことは、部下の報告のほとんどが、事実と想像・考えが混同していたということです。
日報のある会社であれば、報告欄も「事実」と「自分の考え」に分けておくと良いでしょう。それだけで意識が変わります。

部下からの報告は、「事実なのか? 部下の考えなのか?」に分けて聞くようにすると情報がより正確に伝わるようになります。正確な情報は、正しい判断の材料になります。


黒岩禅の仕事楽
http://www.shigoto-gaku.jp
Twitter @ZENG_Q