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2017年05月25日
No.10000161

大蔵物産『エンジェル本店』『エンジェルV店』
都内駅前 多層階店舗の挑戦
フロアごとに禁煙・喫煙

都内駅前 多層階店舗の挑戦
禁煙フロア、喫煙フロア内にそれぞれ低貸しコーナーがある

東京・武蔵小山で駅前ホール2店舗を展開する大蔵物産(東京都品川区)は、ホールの禁煙化に2001年から取り組んできた先駆者だ。駅前多層階の『エンジェルV店』と『エンジェル本店』では、階層ごとに禁煙フロアと喫煙フロアを完全に分けている。

総設置台数571台の『エンジェルV(ファイブ)店』(以下、V店)と同617台の『エンジェル本店』(以下、本店)は、東急目黒線・武蔵小山駅東口から徒歩1分。創業40年以上の老舗店舗だ。

3階層の『V店』と4階層の『本店』は、いずれもリニューアルを機に1階パチンコフロア全席を禁煙にした。『本店』は3階パチスロフロアも全席禁煙だ。『V店』の2階と3階、『本店』の2階と4階は喫煙フロア。当時社長だった現会長が陣頭指揮を執り、フロアを選ぶ自由を遊技客に提供している。
『本店』3階の禁煙パチスロフロア

「当時は、『なんでタバコが吸えないんだ』と仰るお客様も多かった。ようやく時代が追い付いてくれました」と『本店』の渡邉店長は振り返る。
覚悟はしていたが、禁煙フロアの集客には苦戦を強いられた。それでも「吸える楽しみ、吸わないよろこび」をモットーに、信念を曲げることはなかった。

禁煙フロアの手応えを感じるようになったのは、約3年が過ぎたころ。禁煙フロアに新台を多く入れてみたり、薄利営業をしてみたりと試行錯誤した賜物だ。同じ機種ラインナップを極力揃えつつ、客層の違いによるニーズを少しずつ反映させた。
「平日日中のメインは主婦層ですから、韓流ブームには便乗しました(笑)。いまでは非喫煙者の絶対数も増え、禁煙フロアは4万発の稼働です」

バックヤードにも変化が起きた。喫煙フロアを担当させたスタッフには、当日中は禁煙フロアを担当させない。禁煙フロアの遊技客に、制服についたタバコのニオイを感じ取らせないためだ。
「制服を支給貸与制からストック制にしました。出勤したら保管場所からクリーニングされた制服を取る。就業後はすべて回収して毎日クリーニング屋さんに出しています」と桃原マネージャーは話す。
          桃原マネージャー(左)と渡邊店長

フロア内の空気環境にも敏感になった。喫煙者が集中する喫煙フロアは、一般的なホールよりもタバコの煙やニオイが発生しがち。『本店』の強制排気装置は3フロア連動タイプであるため、喫煙フロアの稼働が高まる平日の夕方以降や休日は、禁煙フロアにも配慮した給気や温度管理が必要になる。

「実際にはエアコンが終始点けっぱなしになるので、その風がお客様に直接当たらないように、送風口に風よけカバーを付けています。このほか気になることは、喫煙フロアの器具が禁煙フロアに比べて汚れやすいことですね」と渡邊店長。

階層ごとに禁煙と喫煙を分けるフロア分煙は、喫煙所を新たに設けない分、取り組みやすいと考えられがちだが、運用する上ではさまざまな配慮が必要になる。
「それでも当社はフロアごとの全席禁煙・喫煙を続けます。お客様が禁煙・喫煙フロアを自由に選べる店舗こそ、あるべき姿だと考えるからです」と桃原マネージャーは意欲を見せる。

※月刊アミューズメントジャパン6月号「特集・キレイな空気で集客を」より