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2017年06月01日
No.10000169

サミー
新しい形のBtoCアプローチ
ケツメイシ2017全国アリーナツアーに協賛

新しい形のBtoCアプローチ
写真カードを手にするPRガールの藤木由貴さん

ケツメイシの全国アリーナツアーが3月から始まった。ツアー動員数は、7月までの16会場29公演で約25万人を見込んでいる。サミーは、この日本を代表するトップアーティストの大規模ツアーに協賛しブースを出展しているが、現時点で遊技機の訴求は行っていない。テーマは「25万人のファンから広がるSNSプロモーション」。試打コーナーを設けた従来の稼働支援策とは手法がまったく異なる取り組みに注目が集まっている。

SNSマーケティングでファン拡大の土台を創る

取材したのは4月22日、さいたまスーパーアリーナ(さいたま市)公演の初日。開演は17時だが、早くも昼過ぎには大勢のケツメイシファンが集まっていた。物販コーナーでは、ツアーのロゴ入りTシャツやグッズが飛ぶように売れている。この日ウェイティングエリアとなったコミュニティアリーナに入りすぐ左側、最も目立つ場所にサミーはブースを設置した。

行列の途切れることがなかったサミーのコーナー
          


サミーブースの来場者は、まず思い思いのポーズを取り、スタッフに自分のスマホを渡し撮影してもらう。中心は20代。3人~5人程度のグループも多い。サミーの公式ツイッターをフォローし、撮影した画像を所定のタグ付けをして投稿すると、プリントした写真カードをその場でもらうことができる。裏がサミーの激アツ柄「キリン柄」ならば、オリジナルフォトカードケースがプレゼントされる。

ツアー開始からさいたまスーパーアリーナ公演2日目まで約1カ月、9公演が終了した時点でサミー公式ツイッターのフォロワー数は倍増の1万3000人を超えた。その多くはパチンコ・パチスロのノンユーザーと考えられる。後日これらの人々にサミーから情報発信するのが本施策の最大の目的だ。

サミー社長室広報部マネージャーの﨑野淳史氏に、具体的な内容を聞いた。
「ファンイベントなど従来の稼働支援策同様、最終的にはサミーファンやパチンコ・パチスロの遊技人口を増やすことが目的ですが、同じBtoCの施策でもそこに至るプロセスがまったく違います」
試打機を設置すれば「タッチ&トライ」の機会を直接提供できる。しかし、実機体験をしたノンユーザーやスリープユーザーのうち何人が、実際のホールに行ってくれるかはわからない。

「イベントで試打した人が、ホールに行って遊技機を打つまでには様々なハードルがあります。そのハードルを突破するために土台作りとして取り組んでいるのがSNSを活用したファン拡大のアプローチです」
呼び込みをする﨑野氏
          

都内の会社に勤める同僚2人とサミーのブースにやってきた30代の男性に話を聞いた。
「(パチンコやパチスロで遊んだことがあるかという問いに)3人ともノンユーザー。サミーが何の会社か僕は知りませんが、このブースでやっていることは面白い。どんな会社か調べてみます」

職場の同僚3人で参加したグループ
          

﨑野氏は「まず、サミーという企業のことを知ってほしい。そして、パチンコやパチスロを作っている会社だと知った何%かのノンユーザーが“パチンコ店に行きたい”と思ってくれれば」と考えている。

公式ツイッターでは、遊技機に関するイベントや機種情報だけを発信するわけではない。このSNSに継続して興味をもってもらうためにフォロワーに有益な情報も流す。
このプロセスを通して目指しているのは、パチンコやパチスロに対する興味や遊技意欲の喚起だ。手法としては遠回りではあるが、こうした気持ちを自発的に抱いたノンユーザーが将来ユーザーになる可能性は高い。


また、今回は会場のバックヤード見学ツアーにサミーの社員とその家族を招待した。開演前の会場で、スタッフが忙しく働いている舞台裏の様子は、社員の配偶者や子供たちの目にどう映っただろうか。ケツメイシのライブが終わり、「すごかったー」と言う小学校高学年の女の子に話を聞いた。 
バックヤード見学ツアーに参加したご家族
          

「こんなにたくさんの人が来ているライブに、お父さんの会社が協力しているなんてびっくりした」と少し興奮気味に話してくれた。﨑野氏は、会場のバックヤード見学ツアーに社員とその家族を招待した理由を次のように話す。

「今回のSNSを切り口とした取り組みは、ファン獲得に向けた土台作りの一つ。この最終目標達成にはサミーの約1400人の社員が一丸となっていかなければなりません。そのためには、自分の会社に誇りをもち、サミーで働いていて良かったなと感じてもらうことが不可欠。だから、ご家族の皆さんにもサミーファンになって応援してほしい。そんな気持ちで招待しました」


里見治紀社長は、社員に「グリット(GRIT=やりきる力。困難にあってもくじけない闘志)」の大切さを説く。サミーは、夏から秋にSNSを活用した新たな施策で“土台作り”を継続していくが、これもグリットを重視したいという想いからだ。
「多少遠回りでも、やりきる力で遊技人口を増やすという最終目的にたどり着きたい。我々にはエンタテインメント企業の本質である感動体験を創造し続ける使命があります。固定観念にとらわれることなく、挑戦していきます」(﨑野氏)

サミーの新たなチャレンジはいま始まったばかりだ。

最も若者に“届く”SNSがツイッター


ツイッターの年齢別ユーザー数(日本)
出典:(株)ジャストシステム 
「モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査(2016年4月度)」
 

ツイッターの国内月間アクティブユーザー数は16年9月で4,000万人。SNSの中でも20代~30代の若年層ユーザーの割合が高く、効果的なプロモーションに活用できる。パチンコ・パチスロユーザーの遊技開始年齢は若年層が最も多く、ファン人口増加のために最適なメディアとして期待されている。