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2017年07月25日
No.10000228

規則改正でどんな遊技機になる!?
警察庁 規則改正案発表で

今回の規則改正が遊技機開発にどのように影響していくと想定されるか。DK-SIS室の片瀬宏之室長に解説してもらった。

文=片瀬宏之(DK-SIS室 室長)


ぱちんこ遊技機の1時間出玉率の下限が1/3(約33.3%)となったことは、ベースに影響を及ぼすと考えられます。1時間の試射試験をした場合、大当たりをしない可能性は十分にあります。大当たりが発生しなかった場合はベース=出玉率となり、現在のベース30では下限を下回ってしまうため、現在の遊技機よりも高ベースの遊技機が登場することになるでしょう。

新たに4時間の試射試験が設けられました。この下限の影響は、初当たりの大当たり出玉を500個など少なくして、確変中大当たりで大きい出玉を出して気持ちよくさせるような仕様を難しくしています(少ない出玉では非確変などの場合に下限出玉率40%を超えられないため)。


実質の獲得玉は3分の2以下に

次に1時間出玉率と4時間出玉率の上限について考えてみましょう。これは特賞時間(TO)に影響を与えます。今までと同じ出玉を出す場合、非常にゆっくりと出していかないと範囲内に収まらないため、「大当たり1回の獲得に有する時間が長くなる」、「確率変動中の確率が低くなる(連チャン中に次の大当たりまで時間がかかる)」、「確率変動中の時間当たりのスタート値が低くなる(低SA)」ということが考えられます。

今回の改正案は1時間、10時間について現行の2/3程度の水準とあります。今までは1時間で獲得できる出玉は最大で12000個でした。これが1時間で7200個と現行の3/5となり、目安としている2/3よりも低い獲得しかできない試験基準値が設けられることになります。目安以下の基準となってしまうことを知っておいていただければと思います。

大当たり出玉の規制強化は、上限が1500個となりますが、実質の獲得玉は1300~1350個程度となるため、1/319の確率で遊技機を作った場合に1回の見返りがかなり小さくなります。さらに全体の出玉性能は今までより低くなり、出玉を出すまでに時間がかかるようになるため、1/319はよほどゲーム性を考えないとバランスの悪い遊技機となるでしょう。このため1/200前後の遊技機が増えるのではないかと予想します。

開発の方以外にはなかなか理解が難しいですが「MNRS」が現行の12以下から10以下となります。これはラウンド数が16から10に下げられた新規則で考えると唯一緩和された条件となります。「こんな遊技機ができます」と一概に言えませんが、スペックの幅が広げられる部分になりますので各メーカーが考えるゲーム性に期待したいと思います。


ノーマルタイプにも大きく影響

パチスロも下限出玉率はベース(1000円ゲーム数)に影響し、上限は出玉性能に影響を及ぼします。大当たりの出玉規制により1回で獲得できる遊技メダルの上限が300枚(払い出し)となります。第2種特別役物(いわゆるCT)搭載時の獲得メダルも下げられますので、実際ノーマルタイプのBIGは200枚前後となってしまうと想定されます。

パチスロは短時間(400回試験)出玉率上限2.2倍の影響が大きく、ノーマルタイプ、A+ARTタイプともに大幅な出玉性能の低下が予想されます。また、RTやARTを搭載する機種にとっては中時間(6000回試験)の上限1.26倍も大きく影響します。

RTやARTはノーマルタイプと比較して同じ試行回数におけるリプレイ回数が多くなります。試験時の上限出玉率はリプレイのアウト・セーフは除かれて検査されるため、想像以上に出玉性能は悪くなるでしょう。また、新規則におけるARTの純増枚数は1.4枚程度と想定していますが、今後の交渉や解釈の仕方によってはもっと多い純増枚数も可能になるのではと思います。

パチスロにおいてもパチンコ同様現行水準の2/3に抑えたいはずの出玉が短時間試験で3/5になっています。リプレイのアウト・セーフが試験上除かれるパチスロはファンの体感は3/5よりもさらに低い出玉となります。パチンコ・パチスロともに売上性能は確実に下がります。この事実を受け止め、減収増益の仕組み作りにいち早く取りかかっていかないと生き残っていくのは難しいと思います。



*週刊アミューズメントジャパン7月17日号に掲載