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2017年08月23日
No.10000267

IR推進本部が全国で公聴会
有識者会議取りまとめ案を説明

政府の特定複合観光施設区域整備推進本部(以下、IR推進本部)は、8月17日から29日まで「IR推進会議取りまとめ~観光先進国の実現に向けて」に関する公聴会を行っている。


IR推進本部が開催する公聴会は、東京会場を皮切りに、大阪、広島、福岡、仙台、高松、札幌、名古屋、富山の9会場で開催。各会場で、15人~20人程度の意見表明者と、80人~100人程度の傍聴者が参加する。

この公聴会は7月31日に開催された第10回IR推進会議で取りまとめられた議論について、国民からパブリックコメントを募集するとともに、全国で説明するもの。

17日の東京会場には、12人の意見表明者のほか、約100人の傍聴者が参加。IR推進本部事務局が取りまとめの内容を説明した後、応募者が意見を表明。事務局が質疑に応じた。

事務局は、IRの概念を海外の施設を例に挙げながら説明した後、公共政策としての日本型IRについて、①IR区域・IR施設・IR事業者、②IR区域整備・IR事業者の監督、③カジノ規制、④弊害防止対策、⑤カジノ管理委員会、公租公課等などについて説明した。

IRに参画の意向を持っている事業者が大きな関心を寄せているのは、IR施設の定義、IR区域・IR事業者や区域の認定に関する枠組みだろう。取りまとめでは、IR施設の中核施設を「MICE施設」「宿泊施設」「魅力発信施設」「送客施設」と定義し、各施設が国際競争力を有し、我が国を代表するものであることが要件化された。

これまで地方都市が小規模投資で誘致できる「ローカル型IR」としてイメージされてきたプランの中には、この要件を満たせないものがある。IR誘致のハードルが上がり、計画の見直しを迫られることになった自治体もあるはずだ。

また、事業形態について「IR事業全体を所有・経営・運営する一体性が確保された事業形態が原則」とされた。カジノ事業免許を受けることができる主体は、一体性が確保されたIR事業者に限定される。大きな収益が見込めるカジノ事業から採算をとることが難しいとされる非カジノ事業への収益還元を確実化し、IR全体による経済効果を生み出すためだ。



一体性を義務付ける一方で、非カジノ事業については、「IR事業としての経営の一体性を損なわない範囲であれば、委託契約を認可制として認めるべきである」という検討もなされている。

だが、7月31日に取りまとめられた資料には、「カジノ事業のうち一部の業務については、委託を認める余地がある」という記述もある。具体的には、「カジノ行為の実施に関する行為や賭け金の受入れ・賭け金の貸付業務等の中核業務」については委託を禁止すべきとしつつ、「清掃等カジノ施設の管理業務」「警備業務等」のほか「カジノ関連機器等の保守等の管理業務」「顧客の指示を受けて顧客の資金を顧客の預貯金口座に送金する行為」が例示され業務委託を可能とすべきとされている。

IR区域の認定プロセスは、IR議連の案ではまず自治体が国によって選ばれるとなっていたが、有識者による会議の中では5月頃から別の形が議論されてきた。結果として、今回発表された取りまとめでは、「都道府県又は政令市がIR事業者を公募・選定後、区域整備計画と併せて、区域認定を申請し、主務大臣(国土交通大臣)が認定」となっている。

公聴会は29日の富山会場で、予定の9会場を終える。