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2017年09月01日
No.10000282

2019卒 採用戦線
ホール業界も学生と早期接触
夏インターンシップ開催

ホール業界も学生と早期接触
マルハンは女子学生限定のインターンシップを開催

2019年3月卒の大学生の就職活動は、情報収集から企業の雰囲気を体験する段階へと移行しつつあり、多くの学生がインターンシップに参加している。企業側も学生との早期接触のチャンスであるインターンシップに積極的で、実施企業は年々増えている。


就職活動を始めた大学3年生を対象としたインターンシップが始まっている。4月からインターンシップを開催し大学3年生との接触を開始する企業もあるが、それはごく少数。サマーインターンシップが実質的な始まりだ。

ホール業界でも、早目に動きだした学生との接点を作ろうと、サマーインターンシップを開催している企業がある。夏のインターンシップの特徴は、まだ業界色を打ち出さないプログラムを用意している企業が目立つ点だ。

ダイナムは『ジブン発掘』と題した、1日間と3日間のサマーインターンシップを用意している。どちらも社会人としてのビジネススキル習得など、「就活に役立つ」ことを目的に作られたプログラムだ。

2泊3日で行う「ビジネススキルアップCAMP」は、自己分析、課題解決力や論理思考力の高め方、課題解決のグループワークなど、就活に役立つビジネススキルを高める研修を、ダイナム保有の温泉付き研修施設で体験する。基本的にダイナム自体の説明や遊技業界の説明はない。 

人材開発部採用担当の並木康行さんによると、「この時期に多くの学生が求めているものを提供するという発想で作ったプログラム。アミューズメント業ということを打ち出さず、間口を広げることで、まだ志望業界を絞り込む前の学生に出会えるチャンスにしたい」という位置づけだ。秋にはパチンコ業界の実務にも触れる6種類のインターンシップを用意しているので、夏の参加者が再び参加してくれることを期待している。

ダイナムの夏のインターンシップでは遊技業界の説明はほぼしない


マルハンが用意している複数のサマーインターンシップのひとつ「マリスinワンダーランド」は女子学生を対象にしたもので、運営もマルハンの女性社員が中心。不思議の国の森に迷い込んだ女子学生をコスプレしたマルハンスタッフが迎えるという凝った演出。学生は森から脱出するためにさまざまな知識を身に付けていくというというストーリー性を持たせている。

内容は、労働市場の現状や働く女性の現実などの講義のほか、面接ロールプレイングなど。1日のインターンシップだが4回のシリーズになっていて、希望者は次の回に参加できる。この夏に全国で4回開催され、150人の参加を見込んでいる。

このインターンシップ・プログラムは今年が2シーズン目。昨年、企画作りから運営に携わった経営企画部ダイバーシティ推進課の高原安未さんは、「気軽に参加できる1DAYのプログラムですが、シリーズ化することで複数回会える。昨年は約100人が参加し、その中の8人の学生が来春入社の意向を表明してくれています」と言う。

シティコミュニケーションズは今夏初めてインターンシップを実施。ネットカフェやアニソンカフェ、スパ、レストランなどグループ5つの事業部がエンタテインメント要素を強く押し出した、学生の興味を引くことを狙ったプログラムを提供している。

パーラー事業部が行うインターンシップでは、「設定配分業務を任せます!」をテーマに、計算方法をレクチャーした後、設定配分案を考えさせ、プレゼンテーションさせる。クールジャパン事業部では、自社アニソンカフェの集客キャンペーン企画考案が課題。おもてなし事業部では自社フレンチレストランでホールスタッフとお客様の両方を体験してもらう。企画系で20人、実務系で10人の参加者を見込んでいる。

サマーインターンシップを実施した理由について、人事部人財採用課の長石優敬さんは、「インターンシップを行なっていない企業は新卒採用に大きく出遅れて学生が採用できなくなると考えている。学生は夏から就職活動を始めているので、弊社に興味を持ってくれる学生の母集団を少しでも早くから作りたい」と言う。


インターンシップ参加学生の5割その業種に入社

就職みらい研究所の調査によると、今春卒(17年卒)新入社員のうち、インターンシップ参加者は43.7%で、前年より3.8ポイント増加した。

インターンシップの参加目的の上位は、「仕事理解」(69.6%)、次いで「業種理解」(66.0%)、「企業・職場の雰囲気を知る」(34.7%)の順で多かった。

インターンシップ先を選ぶ際に重視したことは、「業種」(61.1%)、「プログラム内容」(52.6%)、「職種」(39.2%)の順で多かった。

ただし参加目的は、就活を始めて間もない夏の時点と活動が進んだ冬では変わってくるので、学生のニーズに合わせた興味を引くプログラム内容が参加者を増やすポイントだ。

では、インターンシップはどれほど採用につながるのだろうか。インターンシップに参加した学生のうち、「インターンシップ参加企業に入社予定である」と回答したのは22.4%。「参加企業ではないが、同業種の企業に入社予定」は27.4%で、合わせて5割の学生がインターンシップに参加した業種へ入社予定だった。

インターンシップは採用数を飛躍的に増やせる施策とは言い難い上に、プログラム運営に関わる社員の負担も大きい。だが、このような学生との接点を増やす施策の積み重ねが、会社説明会への参加者増につながるはずだ。