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2017年09月04日
No.10000283

日工組社安研 
遊技で問題抱えた人8割が自然回復
パチンコ・パチスロ遊技障害全国調査

公益財団法人日工組社会安全研究財団(社安研)内に設置された「パチンコ依存問題研究会」は8月24日、「パチンコ・パチスロ遊技障害全国調査」の結果報告会を開催。過去にパチンコ・パチスロで問題を抱えた人が、その後どうなったのか。遊技で問題を有した人の割合や、その後の自然経過を推測するため、遊技によって問題が発生したことがあるかどうかを6つの具体的な項目を提示して尋ねた(表1)。



その結果、何かしら問題を抱えた人の割合は「現役プレイヤー」「過去プレイヤー」ともに2割前後(表2)。抱えた問題として最も多かったのは、「行動の自己制御困難」、次いで「経済的困難」だった。



問題を抱えたことがある人に「現時点での問題の有無」を聞いたところ、「生涯経験者(現役+過去)」の82%が「現在はひとつも問題はない」と答えた(表3)。そのうちの89・5%が、問題がなくなって1年以上経過していた。



改善のために行った工夫で最も多かったのが「自分なりに改善方法を考えた」で65%。「専門機関に相談した」人の割合は2~3%程度だった。つまり、問題を抱えた人の8割は自分なりの工夫で解決している結果となった。

河本氏は「回答者の回想に基づく後ろ向き調査であるため、記憶の修飾による誤差が関与すること。回答者の主観的な判断に基づく問題意識で、家族等の客観的な評価ではないことなど調査の限界はあるものの、遊技問題を抱える人は固定した集団ではなく、数年単位で変動していく集団であることを実証した本調査の意義は大きい」と述べた。

遊技障害がある人の特性

では、「遊技障害のおそれのある人」とそうでない人で、何か特性の違いがあるのか。調査では、結婚歴や世帯の預金額など複数の設問を「遊技障害のおそれのある人」とそうでない人(回答者全体・生涯経験者・現役プレイヤー)をそれぞれクロス集計し比較した。



差が大きかったのは、離婚の経験が「現役プレイヤー」15%に対し、「遊技障害のおそれのある人」38%。預貯金がない人は「現役プレイヤー」17%に対し「遊技障害のおそれのある人」で48%。来店頻度は「現役プレイヤー」の最頻値が週1回に対し、「遊技障害のおそれのある人」は週2~3回、平均利用時間の中央値は「現役プレイヤー」が3~4時間に対して「おそれのある人」が5~6時間だった。このほか、「遊技障害のおそれのある人」は「使う上限を決めている」「自由時間以外にはしない」「時間がきたらやめる」など、「健全な遊技」を思わせる行動が少なかった。



一方、性や年代、最初にパチンコ・パチスロを始めた年齢では差が見られなかった。また、パチンコホールへの行きやすさ(もっともよく行くパチンコホールに、自宅や勤め先などからかかる時間の近さ)などでは差が見られなかった。

この結果について篠原氏は「あくまで相関関係であり、因果関係に言及したものではない」と説明した。

相関関係とは2つの事象の間に何らかの関係性があるが、どちらが原因でどちらが結果かは特定できないような関係性。因果関係はどちらかが原因でもう一方に影響を与える関係性。例えば、「遊技障害のおそれがある人の方が離婚経験が多いという」という結果は相関関係で、「離婚が遊技障害をもたらす」「遊技障害が離婚をもたらす」「他の要因が離婚と遊技障害の両方をもたらす」という3つの関係がありうる。