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2017年10月03日
No.10000324

新時代の顧客管理
低射幸性営業で集客する

新時代の顧客管理
コンビニエンスストアでは多くの利用者がポイントカードを提示している

射幸性が一段と下がっていくホールにとって、業績の維持・向上のためには1人あたりの来店頻度や遊技時間の増加が必要だ。そのためには従来以上に「顧客管理」が重要になってくる。


どんな遊技機を導入するべきか、どんな設備やサービスを充実させるべきなのか。こうしたことを判断する際、何を基準に決めているだろうか。自店の強み、地域でのポジション、業界が置かれた状況などを基準にすれば、ある程度の仮説は立つだろう。

その精度を高めるためには、客観的なデータがあれば心強い。これまでホールでは顧客が遊技した結果の総計、つまり稼働データを元に、様々な戦術を立案してきた。だが、それらのデータは特定の個人と紐づいたものではないため、その後の来店促進などに活用することはできなかった。

パチンコホールの課題は顧客情報の収集、分析だ。小売業では、購入履歴と個人情報とを紐付けることで、次にその人が必要とするであろう商品を予測したり、その商品を効果的にアピールする手法を導きだすことにつなげている。

情報を得るための工夫も進化している。近年増えているのが「ポイント」の活用だ。消費者が個人情報を登録し、購買ごとに会員カードの提示を行うことは、もはや当たり前の風景になった。消費者は現金と同等の価値があるポイントを得られ、企業は購買履歴を得る。消費者のサービスの利用頻度、利用における規則性などと個人情報とを紐付ける。小売大手では、こうした「ビッグデータ」をもとに 商品開発から棚づくりといった、川上から川下までの「マーケティング活動」につなげている。

進化するホールのCRM

パチンコホールではこうした情報収集が遅れていたが、最近では顔認証システムを活用したり、会員管理システムの新たな運用方法の提案などによって進化している。

グローリーの会員管理システム『P・BANK EXSIM』およびICカードシステム『G8 EXSIM』と北電子のホールコンピューター『VORFORCE』との連携による『遊動』は、ICカードユニットから利用客のデータを抽出し、遊技客の動向を見える化するシステム。特定の遊技機で遊んだ人数や個別の消費金額、各台での滞留時間、会員分析の課題だった非会員の動向などを数値化。従来の遊技台目線での管理から、遊技客視点での管理を実現する。

各遊技機で何人の客が遊技したのかを把握することで、その後の育成候補の選択など効率的な入替え戦略の立案が可能に。また、適正な遊技機配置による稼働貢献にもつながる。顔認証などの特別な機器がなくても、運用が可能な点もメリットだ。

マースエンジニアリングでは会員売上の8割を占める常連客に目を向けている。常連客の離反は安定した売上を揺るがす一大事だからだ。直近1カ月の来店状況を日ごとに捕捉。離反の兆しをいち早く察知し、対策を講じることができる。

このほか総合管理システムとの連動で、非会員の遊技データも捕捉。すべての遊技客の動向から新台の成長性を予測することができる。また、会員との絆を深めるためのオプションサービス『接客サポートシステム』は、会員情報がつまった会員カルテを管轄。接客時の注意事項をスタッフ同士で共有することで、好感度の高い接客へとつなげることができる。

スタッフが会話によって得た情報、または観察によって、特定の遊技客の好みの遊技機、吸っているタバコの銘柄などを顧客台帳に書き込み、そうした情報をもとに、入替遊技機や景品の選別、さらにはサービスの強化につなげているホールもある。

もちろん、こうした試みは効果的だが、来店頻度の少なくなった顧客の整理、従業員の情報共有などの面で運用が難しい点もある。マースやグローリーのシステムを利用することで、効率的かつ効果的なCRMができるはずだ。


*詳しくは月刊アミューズメントジャパン10月号特集「新時代の顧客管理」をご覧ください。

同特集ではほかにも、周辺機器メーカーが行っている会員管理の在り方を紹介しています。
◇来店客の遊技履歴データから効果的な戦術の立案が可能に(グローリーナスカ)
◇離反防止対策で売上貢献へ、常連客と一般客の動向を把握(マースエンジニアリング)