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2017年10月11日
No.10000332

FORCE OF WILL
萌え要素高めたコンテンツで日本市場“逆輸入”参入狙う
宍戸英治社長インタビュー

INTERVIEW
FORCE OF WILL 株式会社
代表取締役 宍戸英治

トレーディングカードは好きなキャラクターを集めるアメリカ生まれのコレクション玩具。そこから派生したのが対戦型のトレーディングカードゲームだ。2010年代になって参入した日本発の『Force of Will』シリーズは今や世界40カ国でプレイされている人気ゲームに育った。〔文中敬称略〕 取材=田中 剛

──まず初めに、アナログのトレーディングカードゲーム(TCG)の魅力を教えてください。
宍戸 デジタルゲームと違い、カードを所有してトレードできること、直接相手と会話しながら遊べるのが最大の魅力だと思います。カード収集やゲームの進行そのものが他のプレイヤーとの会話なしには進みませんので、共通の趣味を持つ友達を作るきっかけになることも魅力ですね。
 オンライン越しのコミュニケーションが非常に多くなった昨今、相手と直接会話しながら遊ぶアナログゲームは非常にユニークだと考えています。現実の場で行われるイベント全般に言えることですが、好きなゲームの話を思い切りできたり、欲しいカードをトレードできたりと、趣味を同じくする友人たちと一緒に過ごす時間は、一人遊びのヒマ潰しとは異なるかけがえのない体験だと思います。

──市場の中でForce of Will(フォース・オブ・ウィル/FOW)はどういうポジションにいるのでしょう?
宍戸 TCG市場は大きく分けて3タイプに分けられると私は考えています。玩具流通にも大別されるマス&トイ市場、アニメやキャラクターを中心にしたカジュアル市場、そしてFOWが属するコア・競技ゲーム市場です。コア市場は、欧米向きのクリエイティブと日本向きのクリエイティブで分かれます。そして現在、日本国内市場には日本向けのクリエイティブが溢れています。その中で我々は、日本製クリエイティブで、世界のコア・競技ゲーム市場にいるという状況です。

──現在、発売中のFOWは何作目ですか?
宍戸 シリーズ5作目の『零夜クラスタ』の第一弾「革命前夜」という作品を今年9月にリリースしました。翻訳言語は日英中仏独伊西の7言語で、販売国数は40カ国以上。公式大会が開催されている国は約30カ国です。9月23日、24日に千葉県の幕張で、プレイヤー世界一を決める「ワールドグランプリ2017」の決勝大会が行われました。この予選はヨーロッパ8カ国14都市、アメリカ国内9都市、カナダ3都市、メキシコ、さらに日本を含むアジア圏で開催され、30カ国以上から約4000人が参加しました。プレイヤーの数は約10万人ですが、その多くはカナダ、アメリカの北米エリアで、次いでヨーロッパ。日本は逆輸入式で、これから広がっていくでしょう。

──2014年に急に人気が高まったそうですが、なぜでしょう?
宍戸 FOWは1年に一度新しいクラスタ(ストーリー)に切り替えるのですが、14年に出したタイトル『グリムクラスタ』の第一弾「赤い月の童話」から海外での人気が高まりました。その理由は明らかで、新しい開発陣を迎えたからです。そしてターゲットを明確にしました。当時も今も世界1位のシェアを誇っている「Magic:the Gathering」というTCGがあるのですが、このユーザーに受けるよう競技性をチューニングし直したことが見事にハマりました。ターゲット層に対して刺激と感動を与えられるゲーム性を考え、ルールも大きく変更しました。そのタイミングで北米での販路が開け、各取引先から一斉に流通小売店に向けてのプロモーションが行われました。

WGP 2017の予選はヨーロッパ8カ国14都市、アメリカ国内9都市、カナダ3都市、メキシコ、日本を含むアジア圏の合計30カ国以上で開催された


──FOWはマンガやアニメなど原作を持っていない、オリジナルコンテンツのゲームです。そのことはTCG市場でファンを獲得する上で不利ではありませんでしたか?
宍戸 FOWはコアユーザー向けのTCGですので、ゲーム性を高めることが最も重要であり、アニメがないことが不利ということはありません。ただ、世界観の掘り下げを期待するファンからはアニメ化を期待する声が確かにあります。各ゲームには、舞台設定、物語、キャラクター設定がありますから、ファンの方々の頭の中では好みのキャラクターたちが活き活きと動いているはずです。

──ゲームの世界にはオンライン化の波が押し寄せています。 
宍戸 ソーシャルゲームや様々な新しいレジャーが生まれている中で、アナログゲームだけでなくコンソールゲーム、アーケードゲームなどはプレイヤーを減らしています。ただ、それぞれ楽しさは別物ですので、減ってきてはいるもののある程度の推移で安定した後は、世界全体で見ればTCGのプレイヤーはまだ若干増加する余地があると考えています。TCGの中でFOWが人気を勝ち取っている大きな理由は、プレイヤーの交流を支える競技大会運営を、世界中で行なっていること。それを行えるパートナーを世界中に持っていることです。もちろんゲームの作り手として、クリエイティブを出し惜しみせず、常に創意工夫を加えてユーザーに飽きられない工夫をしているという自負もあります。

──映画化、アニメ化を熱望するファンもいるはずです。今後の展開は?
宍戸 これまで我々はコア・競技ゲーム市場、カジュアル市場向けに商品を投入してきましたが、マス&トイ市場向けの商品はまだありません。10月6日に、競技性をシンプルにして萌え系要素を強くした新タイトルTCG『魔法少女 ザ・デュエル』(通称:まほエル)をリリースしました。これは日本市場を強く意識しています。また、当社のゲームをより広く世界中に届けるため、日本の文化を世界へ広めるため、いつかは映像化したいと考えています。まあ、単純に自分たちのキャラクターが目の前で動くのが見たいというのもあります(笑)。アニメ化に限らず、パチンコ機やパチスロ機、カジノ向けゲーミングマシンなどの大型画面の中で、弊社が持つIPが動くところを見てみたいですね。

『魔法少女 ザ・デュエル』で日本市場開拓を狙う