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2018年08月02日
No.10000753

コヨーテ
知名度、予算、実績なしでも新卒を獲得
“採用弱者”が注目する新たな手法

知名度、予算、実績なしでも新卒を獲得
採用イベントの作り方を説くセミナー。さまざまな業界から注目を集めている

就職ポータルサイトに高いコストを投じているにもかかわらず、十分な母集団を形成できていないのであれば、新たな手法を試すべきだ。世界中の採用手法を研究してきたコヨーテが提案する「採用イベント」は、知名度や予算がない“採用弱者”でも新卒が採れるという。


「リクナビやマイナビの効果が薄い」。近年、採用担当者からよく耳にする言葉だ。大手就職ポータルサイトは非常に多くの学生が利用する反面、利用企業間の競争が激化。SEO対策や有料オプションを充実させても、投じたコストに見合う効果を得られにくくなっている。

こうした中、新たな採用手法として熱い視線が注がれているのが、コヨーテ(東京都千代田区)が提案する「採用イベント」だ。学生との接点を効率的に設けるため、求人企業が学生を対象にした企画を仕掛けることで、就活生が自然と興味・関心を寄せてくれるようになる。にわかには信じがたいかもしれないが、コヨーテの菊池龍之代表は「欲しい人材が自らやってくる」と断言する。

「採用イベントの基本的な考え方は、ペルソナマーケティングの考え方を採用に取り入れた“ペルソナリクルーティング”です。数十万人といる就活生の集合を対象にして漫然と応募を待つのではなく、求める人物像を明確に個として捉える。そうすることで知名度や予算がない企業さんでも新卒採用できるようになるのです」(菊池代表)

採用イベントによって新卒採用を成功させた事例は多い。デジタルマーケティングを手掛ける都内のA社は、就活生専用のBARを企画。雰囲気ある社内の一角で、無料のドリンクや軽食を取りながら先輩社員と気さくに語れる場を設けた。予算は70万円。就職活動を不安に思って集まった学生の中から10人の採用につなげた。この取り組みは15年のHRアワードを受賞している。

岩手.盛岡で造園業を営む仙北造園の例も顕著だ。既存社員の8人はみな高齢。知名度も予算も実績もない典型的な“採用弱者”だった。しかし農大生に的を絞り、採用イベントを企画したことで新卒2人を獲得できた。

もちろん採用イベントを成功させるには、企画立案や告知方法といった点でノウハウが必要だ。コヨーテは成功ノウハウを伝えるセミナーを定期的に開催。一度受講すれば自社で企画できるようになる。別途、菊池代表の個別コンサルティングを受けることも可能だ。

「求める人物像を絞れば絞るほど、メッセージは学生に届きやすくなります。採用イベントの求心力は、企画が本当に学生の役に立つかどうか。学生がいま抱えている悩みや不安を取り除ける企画であれば、友達と連れ立って参加してもらえます」

売り手市場とはいえ、第一志望先に就職できる学生は一部。内定獲得後も就職活動を続ける学生は半数以上に及ぶ。19年卒採用の終盤を迎えているとはいえ、発想次第で新卒が採れるのであれば、試す価値は十分にある。

菊池代表