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2019年08月15日
No.10001336

INTERVIEW プロゲーマー ノビ さん
負けず嫌いが生んだ『鉄拳』世界№1プレイヤー

格闘ゲーム『鉄拳』初のプロゲーマーとして、山佐からスポンサード契約を受けているノビさん。日本人で唯一世界大会を3度制したトッププレイヤーにeスポーツの魅力と今後の課題を聞いた。 【文中敬称略】



──eスポーツにおけるプロの定義を教えてください。
ノビ 基本的には、支援してくれる企業とスポンサード契約を結ぶことがプロの定義です。私の場合は2015年に山佐様と契約を結びました。ただ、スポンサード契約はプロとしてのスタート。プロを名乗ることで注目してもらい、eスポーツの講師や実況の仕事のほか、さまざまなイベントに参加することで仕事の幅を広げていくことになります。

──賞金で生活するプレーヤーもいるのでしょうか?
ノビ 賞金は会社員で言うボーナスでしょうか。あくまでもスポンサード契約をいただいた企業様の広告塔として、企業名の入ったユニフォームでイベントなどに参加したりすることで、広告宣伝費を頂くイメージです。今年は、ポーカーのイベントに呼んでいただくこともありました。

──パチスロメーカーからのスポンサードに驚きはありましたか?
ノビ 私はまったくありませんでした。大のパチスロ好きでしたから、むしろ喜びの方が強かったです。eスポーツプレーヤーの中にはパチンコ・パチスロ好きが多く、『鉄拳』のようにパチスロ化されているコンテンツも少なくないので親和性は高いように感じます。

──プロゲーマーを志したキッカケを教えてください。
ノビ 高校の受験勉強が苦痛過ぎて逃げ込むように通ったゲームセンターが『鉄拳』をはじめるキッカケでした。当時は毎日進学塾に通って、1日10数時間勉強させられていたので、ゲームセンターが唯一の憩いの場でしたね。「塾に行く」と親に嘘を付いて、ゲームセンターに通ったのを思い出します。ちょうどそのゲームセンターで、初めに見たのが『鉄拳』の大会でした。見ているうちに引き込まれていったのを覚えています。私は負けず嫌いな性格なので、やるなら日本一、世界一を目指したいと思うようになりました。2011年に20歳で優勝したときは嬉しかったですね。

──『鉄拳』のどこに魅力を感じたのですか?
ノビ 身体の仕組みを理解した、理にかなった攻撃モーションでしょうか。『鉄拳』には、現実の人物や物体の動きをデジタル的に記録するモーションキャプチャという技術が使われていて、筋肉や関節の動きなどが忠実に再現されています。私は相当な格闘技好きで、他のゲームを悪く言うわけではないですが、実際の喧嘩に飛び道具やジャンプしながらのパンチはあり得ない。技自体のリアルさが『鉄拳』ならではの魅力だと思います。

──上手くなる人に共通点はありますか?
ノビ eスポーツの世界でも自分を知ることが大切です。長所と短所を理解することで、自分のペースで試合が運べます。特に自分の苦手な点を理解していれば、さまざまなことに対処しやすくなる。私は8年ほど講師を務めていますが、上手くなる人は総じて負けた試合を振り返ります。負けるには理由がありますから、原因を突き詰めていく中で自分の足りない箇所を明確にできる。数をこなして上手くなるのは中級者までです。

──とはいえ、コマンドテクニックのある、ないが勝敗を分けるのでは?
ノビ 格闘ゲームはコマンドを入力することで技を繰り出しますから、コマンドの入力速度やテクニックが重要だと思われがちですが、私はそうは思いません。事実、私はプロゲーマーの中では動体視力が悪く、コマンドテクニックがない、入力速度の遅い部類に入ります。それでも、私が世界大会で3回も優勝できたのは、相手の動きをパターン化して次に起こることを予想しながら戦っているから。ただ、勢いに任せて、コマンドを押すのではなく、ゲームプランをいくつも用意して相手の動きを見ながら自分にとって最適な行動を選択しています。

──eスポーツの今後の課題を教えてください。
ノビ 分かりやすく言うと知名度でしょうか。韓国ではなりたい職業ランキングの2位がプロゲーマーですが、日本では仕事として認知されていません。理由はさまざまですが、一番は刑法賭博罪や景品表示法などの観点から非認定の大会に高額の賞金が出せないこと。韓国は賞金で生活ができますが日本では生活できない。またアメリカで開催される世界大会の「Evolution Championship Series」に優勝すれば、オリンピックで金メダルを獲ったほどの知名度が得られる。プロゲーマーとして、一生暮らしていけるんです。日本のeスポーツはまだ始まったばかり。世界に負けないように育てていければと思います。



ノビ 
「神速のアサルト」の異名を持つ、攻めに特化したスタイルの人気プロゲーマー。『鉄拳』の世界大会であるWCG2011、EVO2015、THE KING OF IRONFIST TOURNAMENT 2015で3度の世界一に輝く。2015年から山佐とスポンサード契約。


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