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2019年08月15日
No.10001337

INTERVIEW 日本eスポーツ連合 岡村秀樹 会長(代表理事)
国内eスポーツ発展のために
日本代表を国際大会へ

eスポーツ国内統一団体である日本eスポーツ連合(JeSU)が昨年2月に発足した。既存3団体が一つに統合し、IP(知的財産権)を有するゲームメーカー2団体の協力も大きい。日本のeスポーツはどのような発展を遂げるのか。岡村秀樹会長に話を伺った。 【文中敬称略】


──JeSUが設立されてからおよそ1年半が経ちました。この間、どのような変化が起きましたか。
岡村 最も大きな変化は、eスポーツに対する社会の認識が急速に広まったことです。eスポーツの概念は10年以上前からあり、実態としても愛好者がコミュニティでトーナメントに参加していました。しかし社会認知は不十分でeスポーツという言葉はおろか、単なるゲーム大会と見なされていました。しかし当団体の設立を機にメディア露出が増え、JeSUは普及・発展に向けた支柱・象徴として捉えられることになりました。社会認知はまだまだ途上ですが、eスポーツはカテゴリの確立に向けて動き出しています。

──当初の報道では大会の高額賞金が話題になっていました。
岡村 賞金問題をはじめ、注意すべき法的な規制は行政と緊密に意見交換しています。これはJeSUの設立以前から努めてきたことですが、設立後はJeSUの公認大会に関する規約を定めました。会員はそれに則ってくださる限り、透明性のある健全な大会運営を行っていただけるようになっています。当団体のレギュレーションでは例えば、義務教育課程を修了する相当の年齢でない者を賞金授与の対象としていません。本来であればプロ選手が大会の賞金を受け取る際に、年齢は関係のない話ですが、社会通念に見合った運用をするためです。これはeスポーツが日本の社会に根付いていくために必要なある種の良識であり、会員間で共有しています。

──これまでの活動の功績にはどのようなものがありますか。
岡村 4年に一度開かれるアジア競技大会が18年9月にインドネシアのジャカルタで開催され、日本代表は開催された6タイトルのうち「ウイニングイレブン2018」で金メダルを獲得しました。国内大会では闘会議2018の中で、アジアeスポーツ連盟と共催して初の国際チャレンジカップを開催。六つの国と地域からアジア選抜を招いて4タイトルで競った結果、すべてのタイトルで日本代表が優勝を収めました。19年9月から開催される茨城国体では、eスポーツが文化プログラムとして初めて実施されます。こうしたメジャーな大会にJeSUが代表選手を送り出して結果を残せることは、非常に大きな成果です。

──代表選手の活躍には育成が不可欠です。
岡村 日本代表が海外で活躍できるようになることは、国内でeスポーツ文化が根付くことと同じくらい大きなミッションの一つです。そのためのポイントは二つあります。一つ目は選手が実力を養える環境・舞台を整えること。二つ目は日本代表が得意とする日本のeスポーツタイトルを増やすことです。養成の場としては、いくつかの専門学校がeスポーツ科を立ち上げたり、高校の部活動でeスポーツ部が発足したりしているので、そのカリキュラムを後押しすることが必要になってきますね。二つ目で言えば日本のソフトメーカーは非常に優秀ですから、国内でeスポーツが盛んになれば、そこにビジネスチャンスを見出してくるはずです。より面白いタイトルが開発され、世界にも波及していく。とはいえそこまで育つには年単位で相応の時間がかかりますから、我々は目下、教育機関との連携や、良質な大会の開催、日本代表の継続的な海外派遣、文化が根付くための草の根活動に注力したいと考えています。

──ファンの拡大も重要な課題です。
岡村 仰るとおりです。ただしファンというのは、プレイヤーだけに留まりません。eスポーツはプレイすることも醍醐味ですが、観ているだけでも十分に楽しめる。テレビ局や動画共有サイトでeスポーツの関連番組が増えていけば、自然と一般の方の目に触れる機会も増えるでしょう。茨城国体のように文化プログラムのようなものが全国47都道府県で広まれば、各地域での関心も高まります。爆発的にとはいきませんが、ジワジワと醸成されていくものだと思います。



──eスポーツは呼び名を変えたゲームだと言う人がいます。
岡村 好き嫌いの問題は完全には失くせないでしょう。けれどゲームに対する世間の考え方は、ここ30年で随分と変わってきたと思います。なぜなら人は、自分が物心つく前から存在するものに大きな抵抗を感じないからです。例えばファミコンは1983年に発売されました。50代以下であれば相当数の方が抵抗をもたないと思います。もちろん親として子どもが熱中することを好ましく思わないことはありますが、それはゲームに対する抵抗やアンチではなく、ゲームとの接し方に問題があるだけのことです。この先20年もすれば、ゲームに抵抗を感じる人はいなくなるでしょう。もっともそのころには、eスポーツもさらに進化しているかもしれません。

──今後の目標を教えてください。
岡村 JeSUが19年1月に開催した国際チャレンジカップにはアジア6カ国が参加しましたが、今後も積極的に国際大会に参画し、eスポーツのさらなる国際化を目指したいですね。そのためには異例の速さで加盟できた世界最大の競技連盟「国際eスポーツ連盟(IESF、韓国)」で理事を務めるなど、日本の発言力を強める必要があります。近い将来、eスポーツはオリンピック競技に正式採用されるかもしれません。それを今から見越して、まずは参加できる要件や状況を整える。国際大会は代表選手の育成の場にもなりますし、そこでの選手の活躍は子どもたちの憧れの的にもなる。そのためにも今は、一つひとつの事柄に間違いがないように行政や会員その他と話し合いを重ねて、組織運営その他について慎重にことを運びたいと考えています。



おかむら・ひでき
埼玉県さいたま市出身。1978年、法政大学卒。商社勤務を経て、87年にセガ・エンタープライゼス(現 セガゲームス)に入社。97年、取締役。08年、グループ会社のトムス・エンタテインメントに転籍。代表取締役社長に。その後セガ(現 セガゲームス)の代表取締役社長COOを経て、15年4月、セガホールディングス代表取締役社長COO就任。JeSU以外にもコンピュータエンターテインメント協会の特別顧問などの要職を兼任する。


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