コラム

コラム内を

2020年07月03日
No.10001807

ネクステリア代表取締役 森本耕司
ビッグデータが暴く「放出で勝てる」という神話
連載コラム① パチンコ業界の思い込みから脱却

データにまつわる分かりやすい話として、「アイスクリームと気温」の相関関係がある。気温が25度以上になるとアイスクリームは売れやすくなるが、30度を超えると売上げは鈍化する。理由は、代わりにかき氷が売れるようになるからだ。このデータを活用すれば、かき氷販売に力を入れ業績をアップする戦略を立てることができる。

パチンコ店でも同じように統計データを基にして業績アップにつなげることができる。当社では、「ネクステリア・ラボ」という研究所を立ち上げ、パチンコ店の業績アップと相関関係のあるデータを研究している。ラボで全国数千店舗のデータを分析し続けたことで様々なことが分かってきた。例えば、客数アップのための条件だ。

業績を伸ばそうと思ったら、客数アップが必須条件だ。客数を増やすためには、エリア内のライバル店に通っている客を、いかに自店の客に取り込めるかを考えることが勝負になってくる。パチンコ店の客数アップと相関関係が一番強いものは、次のA~Cのうちのどれだろう? できれば正解を見る前に自分で考えてほしい。
A 設置台数
B 放出
C ラインナップ

この3つの中で客数アップと最も相関関係が強いのは、「ラインナップ」(下表参照)。つまり、打ちたい台があるから来店する人が一番多いのだ。逆に相関関係が弱いのが「放出」だ。「ラインナップ」と比較すると、「放出」の客数アップとの相関関係は0・4ポイント以上開いている。この差は大きく、パチンコ店運営で特に重要なのは、「どの機種を入れるか/残すか」という機種を選定する目利きだということが分かる。


「客数アップ」と「放出」の相関関係は弱いのに、「放出すれば客が来る」という神話だけを信じていては、真実を知っているライバルに先を越されてしまう。ビッグデータを活用すれば、業績を最大化するための機種ラインナップの予測も可能だ。例えば、「1円の台と4円の台の理想的な構成比」といったことから、「10週稼働率から見る将来の機種需要の推移」といった細かな予測まで導き出すことができる。

新台導入や撤去台の選定の際にもビッグデータを活用することで、売上げアップに最短アプローチする道筋が、手に取るように分かる時代になったのだ。赤字を出してでも大放出することで勝負を賭け、ライバル店から客を奪う……。それをやり続けるためには資金力がものを言う。だから資金が豊富な店には勝てないというのが今までの業界の常識だった。しかし、ビッグデータの活用で、より効果の高い店舗経営ができる店が勝つ時代へと移行しつつある。

次回は、客数アップと最も相関関係が強い「ラインナップ」の秘密に迫ります。
この連載コラムは随時更新します。

最新コラム「ここが変だよパチンコ業界」は月刊アミューズメントジャパン8月号(7月20日発行)から連載を開始します。

著者プロフィール


もりもと・こうじ 地域1番店を作る戦略家。パチンコ業界の膨大なデータから業績を上げる8つの法則を発見。現在累計で54店舗の地域1番店を作ってきた実績を持つ。「成果と地域1番店にこだわり、本質を突く」という理念のもと行う研修が人気だ。日本最大のマーケティングポータルサイト「マーケター通信」では常にTOP10に入る人気コラムを執筆。パチンコ業界だけでなく、各方面からの呼び声も高い。過去に、2つの会社のIPO(上場公開)に深く関わった経歴を持つ。