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2020年05月19日
No.10001741

【コラム】 夢と志 最終回
夢があったからこそ、不可能が可能になった
ブロードキャピタル・パートナーズ CEO 起業家インキュベーター 折口雅博

夢があったからこそ、不可能が可能になった
おりぐち・まさひろ 1961年6月11日生まれ。防衛大学卒業後に日商岩井に入社。ジュリアナ東京や六本木のヴェルファーレなど伝説的なディスコをプロデュース。95年に設立したグッドウィルグループをわずか12年で年商7700億円に成長させる。2004年に経団連の理事に就任。紺綬褒章、厚労大臣賞、日本赤十字社社長賞など受賞。その後も「プロの経営者」として、数多くの事業を成功に導く。座右の銘は「夢と志」

企業の成功とは何でしょうか。それは、簡単に言えば世の中の役に立つことです。提供する製品やサービスを通して、あるいは雇用や税金面での貢献など、社会から必要とされる存在になることです。

成功するためにはいくつか条件がありますが、その一つがテーマにもなっている「夢と志」です。

私のキャリアを振り返ると、すべて何もないところからの創造でした。ジュリアナ東京も、六本木のヴェルファーレも。ディスコを始めたときは、何もないところから土地を探し、30億円もの資金を集め、企画料をもらうことで借金を返済しました。

その後、人材派遣のグッドウィルも、最初は従業員5人、小さなマンションの一角でスタートしました。それが、12年目には年商7700億円もの企業に成長したのです。考えられないような発展かもしれませんが、それを可能にしたのは、私に大きな夢があったからです。この事業で成功しよう、会社を上場させよう。こうした夢と志がなければ、起業家として成功はできなかったと思います。夢があるからこそ、頭を使い、知恵を出し、肉体を酷使しても頑張れたのです。

事業を推し進める過程でも苦しい時期を何度も迎えました。そんなとき、自分を奮い立たせるのが、自分の描いた夢と、それを具現化させる志なのです。

ときには、夢は夢だったのかと失望することがあるかもしれません。でも、そこで諦めたとたん、夢は逃げていきます。どんな苦境に立たされても、夢と志を持ち続けることが大切なのです。

私の夢は小さいころから「世の中にインパクトを与えることがしたい」、そのために「大きく成長していきたい」というものでした。

大きな企業にしたほうが、大きな社会貢献ができるからです。それが自己実現につながっていく。それが私の夢であり、それに向かって突き進んできました。

新しいチャレンジに踏み出せない人、あるいは踏み出してもうまくいかない人と、夢を実現させていく人の差は、想いの強さだと思います。もともと突出した能力を持っていなくても、「きっとこうなるんだ」と信じて実行していけば、すべてがそれに関連した方向に動いていくものだと思います。

夢と志は似ているようで少し違います。志は夢より一歩踏み込んだ目標です。夢を達成するために具体的にどうするか、ということが志です。大きなことを成し遂げるために、政治家になるという道もあるでしょう。私の場合は財界を選んだのです。

2004年には経団連の理事にも就任しました。42歳での就任は日本人で史上最年少でした。「志」として財界を選んだのは、自分がどれだけ影響力を出せるか、ということを考えてのものでした。さらに具体的な目標としてあらゆるサービス業を含めたなかでトップになるということでした。そのために、さまざまな戦略を考えました。

志がはっきりしていたので、途中で良い業績を出しても満足することはありませんでした。志があったからこそ高い意識を保つことができたのです。

志を維持していくためには揺るぎないミッションを持つことです。トップを目指すためには、社会的使命感を強く持っていなければならない。これがなければ、どんないい会社でも衰退していきます。

社会の利益よりも企業の利益を優先させていると、やがて信頼をなくしていきます。近年、不祥事を起こす企業もありますが、会社に社会的使命感を強く持つことが共有されていれば、起こりえないはずです。

もしかすると、最初は持っていた社会的使命感も、徐々に色あせていったのかもしれません。だからこそ、経営者が常にミッションを発信していくことが大切なのです。


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