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2020年07月17日
No.10001841

ネクステリア代表取締役 森本耕司
コーナーを制する者がエリアを制す
連載コラム③ パチンコ業界の思い込みから脱却 [最終回]

長引く新型コロナウイルス感染拡大の影響で、あらゆる業界が苦境に立たされている。パチンコ店も売上げが下がるのを、ただ指をくわえて見ているわけにはいかない。こんな時期だからこそ、コロナ収束後の成長のためにやっておきたいことがある。それが「コーナー戦略」だ。

ここで一つ疑問が生まれるのが、「ラインナップを良くするためには、新台を多く購入する必要があるのではないか?」ということだ。「結局、入れ替えをよくする財力がある店が、勝つのか……」。しかし、それは単なる思い込みに過ぎない。ある地域の2店舗のデータ(下の表)を見てほしい。


地域1番店と2番店の設置台数は同じ。しかし、1番店は2番店の半分以下の購入台数しかないが、客数は多い。このような事例は珍しいことではない。経営資源(お金)は量ではなく、使い方次第ということだ。

限りある資金をどこに投下するかが大事なのだ。勝つためには戦う土俵を選ばなければならない。たとえば、自動車メーカーのスズキの戦略は、トヨタや日産とフルラインナップで真っ向勝負をせず、軽自動車に注力することだ。経営資源を一点に集中させることで、超巨大企業がひしめきあう自動車業界の中で、確固たる地位を築くことに成功している。インドで走る車の2台に1台はなんとスズキ車なのだ。自社の強みを知っているからこそ、勝てる市場で勝負した。

パチンコ店における効果的な一点集中は「コーナー戦略」だ。最初から店全体の客数アップを狙うのではなく、まずは「甘デジの客数で1つ上位の店を抜く」というように、勝負するコーナーを絞る。客数が多くなると”賑わい感“でも勝っていることになる。客数を抜いたことで甘デジの”賑わい感“という武器が手に入ったのだ。このように甘デジ→ミドル海→ミドル……とコーナーごとに一つひとつ順位を上げていく。

甘デジで順位を上げる方法は、①製品、②価格でライバルに差をつけることだ。具体的には、甘デジのラインナップを向上させ、甘デジをライバルより放出する。製品と価格で勝っているので、広告さえしっかりと行えば必然的に客数が増える。

ここで次のような疑問が出るかもしれない。「せっかく順位が上がっても、他のコーナーへと注力先をシフトしてしまうと、甘デジの順位が下がるのでは?」と。しかし、心配無用。その理由は二つある。一つ目は、圧倒的なラインナップの良さという優位性はそう簡単には覆されないからだ。二つ目は、順位が上がれば今までとは明らかに違う”賑わい感“が演出できるから。客が客を呼び込む形で客足はおのずと伸びるようになる。


もりもと・こうじ 地域1番店を作る戦略家。パチンコ業界の膨大なデータから業績を上げる8つの法則を発見。現在累計で54店舗の地域1番店を作ってきた実績を持つ。「成果と地域1番店にこだわり、本質を突く」という理念のもと行う研修が人気だ。日本最大のマーケティングポータルサイト「マーケター通信」では常にTOP10に入る人気コラムを執筆