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2020年09月21日
No.10001914

オーイズミ
食品事業を新たな成長戦略に
第一弾は景品用の蒟蒻(こんにゃく)ゼリー

食品事業を新たな成長戦略に
蒟蒻を使った飲料などさまざまなアイデアを語る大泉会長

INTERVIEW
株式会社オーイズミ
大泉政治 代表取締役会長

パチンコ・パチスロ周辺機器及び遊技機製造販売のオーイズミが、今年1月に子会社化した下仁田物産の蒟蒻(こんにゃく)ゼリーを自社ブランドで発売することを機に食品事業に乗り出した。大泉政治会長に新たな成長戦略を聞いた。

オーイズミが子会社化した下仁田物産は、蒟蒻の主要生産地である群馬県内に蒟蒻ゼリーや蒟蒻関連食品などの生産拠点を置く。同社が製造・販売する蒟蒻ゼリーは大手ドラッグストアや総合スーパーなどのPB商品として販売されている。2019年2月期の売上高は約25億円。大泉会長は今回のM&Aの狙いについてこう話す。

「連結・非連結を含めたオーイズミグループ10社の2019年3月期の総売上高は約420億円でした。私はかなり以前からグループで500億円を目標にしていたのですが、パチンコ・パチスロ市場は縮小し、居酒屋なども飽和状態に近い。とはいえ自分の年齢でいまから新しい事業をゼロから始めるのは難しいので、M&Aによる新規事業を検討していました」

ポテンシャルの高い
蒟蒻製品市場


オーイズミには大泉会長が掲げる「遊・食・動・明」という経営テーマがある。「遊」は遊技関連事業、「食」はホテルや居酒屋など、動は不動産、そして明は未来を明るくする事業で、同社が手掛ける太陽光発電などだ。

「そのなかの食の分野で食品事業をと思っていたところ、金融機関から蒟蒻ゼリーの会社を紹介されたのです。これは面白いと調べてみると、蒟蒻ゼリーの市場は大手2社がそれぞれ100億円以上のシェアを持っていて、3番手の下仁田物産が20億円程度。蒟蒻ゼリーだけではなく、蒟蒻をベースにしたいろんな食料品を開発していけるのではないかと思ったのです」

下仁田物産は、企業規模は小さいものの会社としてのポテンシャルは高かった。M&Aに至った理由のひとつは後継者難。加えて、年商20億円からさらに成長させるには資本力や技術力で大手メーカーに追いつけないという事情もあった。なにより大泉会長が目をつけたのが、安心・安全な食品を提供してきた実績だった。

「下仁田物産は、FSSC22000という食品安全システム認証の国際規格を取得しています。これはISO22000などより取得が難しい規格なんです。そういった徹底して食品安全に取り組んでいる企業というところにも好感が持てたので、当社のグループに入っていただきました。また同社の蒟蒻ゼリーはカップ式ではなく、自分で切り口の大きさを調整できる個包装(ピロー包装)を採用し、誤飲を防ぐ対策が取られています。さらに、アルミ蒸着素材なので他メーカーの蒟蒻ゼリーに比べて賞味期限が長いという特徴もあります」

もうひとつ、蒟蒻ゼリーの競合他社との違いがあった。それが特定保健用食品、いわゆるトクホの認可を受けていることだった。

「下仁田物産の蒟蒻ゼリーには整腸作用があることが確認されています。これも大きな優位性になると思いました」

群馬県内に5つの工場を持つ下仁田物産のメイン工場である「下仁田インター工場」

食品安全を徹底している蒟蒻ゼリーの製造ライン

ホールにメリットがある
端玉景品として提供


そして今年1月に下仁田物産を子会社化。食品事業を含めてグループ年商500億円をめざす体制を整えた。その後、新型コロナウイルスの感染が拡大してグループ内のホテル事業や飲食事業などが大きな影響を受けた。それでも食品事業は進めていた。オーイズミブランドの蒟蒻ゼリー第一弾として、パチンコホールの景品用に『Sweets蒟蒻ゼリー』を用意し、8月末から出荷を開始した。

「当社はパチンコ業界で育てていただいた会社です。パチンコ業界も蒟蒻ゼリーの販路の一つと考えて、景品で扱っていただけるようなオーイズミブランドの蒟蒻ゼリーを作りました。『Sweets蒟蒻ゼリー』は端玉景品用の小袋と一般景品用の大きな袋の2種類をラインナップしました。端玉景品用は美味しくてなおかつホール様が利益を取れる商品として作り上げました。ホール様に満足していただけると思っています」

左が端玉景品用の『Sweets蒟蒻ゼリー』(4個入り)、右が一般景品用の『Sweets蒟蒻ゼリー』(4種27個入り)


蒟蒻関連で100億円
総合食品メーカー目指す

大泉会長は今後、下仁田物産をオーイズミグループに吸収して、食品事業部として事業を拡大させたい意向を持っている。目指すのは総合食品メーカーだ。

「新型コロナで、当社の成長戦略も見直す必要があります。飲食やホテルは2~3年は回復しないでしょう。パチンコ・パチスロ市場は規模が小さくなってきていますが、当面はパチスロの開発に力を入れて、良い機械を作ってホール様にご提供していきたい。新たな食品事業は蒟蒻ゼリーや蒟蒻関連商品が最終目標ではありません。まずは蒟蒻でブランドを確立し、蒟蒻関連で売上100億円を目指します。その先はほかの食品も開発していきたい。オーイズミグループでは、すでにホテルや飲食店などを300店舗ほど持っているので、そこで培ってきた商品開発力を利用して、さまざまな食品を開発していきます。まずは蒟蒻から始めて、将来は蒟蒻以外でレトルトや冷凍食品の分野にもチャレンジしていくつもりです」


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