コラム

コラム内を

2023年03月03日
No.10003319

もっと働きやすく、もっと選ばれるためのSDGs ②
必要とされる業界であり続けるために
SDGs&Career 赤羽良太

必要とされる業界であり続けるために
あかばね・りょうた 1981年11月19日生まれ。拓殖大学在学時、ジャパンニューアルファにアルバイトとして入社。卒業後社員に登用され、総務部長兼採用担当を務める傍ら、2022年2月から個人事業SDGs&Careerとしてパチンコ業界へのSDGs推進の活動を始める。大切にしている言葉は「1人の100歩より100人の1歩」

第一回では既に学校教育にSDGsが盛り込まれている現実を知っていただきたいと思い、新学生指導要領についてご紹介しました。今回は国内のSDGs認知度を見ていきたいと思います。

ここでは電通社が発表する調査結果を参考にさせていただきます。22年1月には国民の86%がSDGsを認知している状況となりました(図1)。今年はさらに高まることが想定されます。

次にSDGsを認知している方々が、SDGsに対してどのようなことを感じているかを見ていくと、SDGsの取り組みに対して75.2%が自分ごとに捉え、内36.9%が自ら行動して貢献したいと考えているようです(図2)。

SDGsに興味を持つきっかけとして「食品ロス」「環境問題」「社会問題」に対して危機感を抱いている方が多くいる統計も出ていました。

SDGsへの関心が高まる今、社会が注目する取り組みに対して業界が賛同し、取り組みを推進することで得られる社会的評価は大きいのではないでしょうか。

社会に愛され必要と思われる評価となり、業界を応援してくれるファンの創出やレジリエンスの強化につながると考え、SDGsの有用性を伝えさせていただいています。



SDGsに取り組む企業
どのような影響があるか


SDGsに”本気“で取り組む企業は、それがより良い結果を生むきっかけになっているようです。好影響をもたらしている事例をいくつか見てみましょう。

①受注が増加し、販路が拡大
SDGsに本気で取り組む企業には、これまで一度も取り引きがなかったような大手企業からの受注や問い合わせが生まれています。受注・販路となると業界とは少し関係のないお話に聞こえるかもしれませんが、大手企業では取引先の選定条件としてSDGsの取り組みが求められる場面なども生じています。例えば私たちに起こり得る可能性として、これまでの取引先からSDGsへの取り組みを求められる可能性も少なからず考えられ、仕入れ等の場面に影響が生じる可能性も想定されます。

②社会から選ばれる
少し前に大手スポーツメーカーの下請け会社で児童労働等の違法労働が発覚し、不買運動に発展した事例があります。社会から選ばれるためには自社だけではなくサプライチェーン全体にまで責任を持たなければならない時代となりました。そして金融業界や資産家の視線も集まっています。Z世代が持つ価値観も注視しなければなりません。SDGsに本気で取り組むことは社会から選ばれる要素になり、選ばれない要素にも成り得ます。余談ですが、この不買運動による売上の損失は5年累計で約1兆3764億円にもなったそうです。社会からの批判を受けないためにも、SDGsに取り組むことは業界を守る術にもなると考えています。

③価格競争に巻き込まれない
若者たちは、消費に対してこれまでの「価格や機能性」といった価値観よりも「デザインやストーリー」を優先する傾向があるそうです。そして就職先には「給料」よりも「やりがいや社会貢献性」を重視しているようです。少し高くても素敵な想いを持ち事業活動をしている企業の商品を選択する傾向が見られます。業界が抱える課題の一つに若年層の顧客減少がありますが、若者がパチンコ業界に対して関心を寄せるポイントにもなるのではないでしょうか。

④若手の優秀な人材が採用できる
就活生が就職先企業に決めた理由の上位に「社会貢献度が高い」という項目が選択されました。単年の結果ではなく、ここ数年高い結果が出ています。その社会貢献度を何で判断しているかというと「企業理念」「SDGs・ESGの取り組み」が上げられています。業界・企業がこの先も成長する上で、若手の優秀な人材を獲得することは必要不可欠です。少子高齢化が加速する日本において若者から選ばれる要素を持つことは重要ではないでしょうか。

⑤生産性が向上し、売上も上がる
SDGsに取り組むことで経営者も従業員も幸せに働くことができるようになります。ソーシャルグッドな活動をしている企業に属する社員は、自社に誇りを持ち、よりモチベーション高く業務に従事することが期待できます。ある統計で幸福度が高い社員と低い社員では、創造性は約3倍、生産性は31%向上することが分かり、売上は37%高いという結果が出たそうです。そして幸福度が高い社員は欠勤率や離職率ともに減少する傾向もあり、企業にとって良い効果が期待できます。

本稿でSDGsに取り組むことで得られる経済的恩恵や、損失する危険性を皆さまに少しでも知っていただけたら嬉しく思います。
次回は、SDGsに取り組む上でのステップや今回記載できなかったSDGsに潜む罠についてお伝えしたいと思います。

※『月刊アミューズメントジャパン』2023年2月号に掲載した記事を転載しました。


パチンコ・パチスロ最新記事