
No.10005487
小企業の34.5%が赤字|日本公庫調査で採算・資金繰りが悪化
日本政策金融公庫が10月28日に公表した「全国中小企業動向調査」で、小企業の採算と資金繰りが悪化したことが分かった。調査に回答した小企業のうち、赤字企業は34.5%と、黒字企業の21.3%を上回った。小企業では業況や売上の指標がわずかに改善したものの、採算と資金繰りは悪化。比較的規模の大きい中小企業では収益面にも改善が見られ、景況の持ち直し方に違いが表れた。
調査は2026年7~9月期の実績と10~12月期以降の見通しをまとめたもの。日本公庫の取引先を対象に9月中旬に実施し、小企業5600企業、中小企業4944社から有効回答を得た。小企業は製造業やサービス業などでは原則従業者20人未満、小売業や飲食店・宿泊業などでは10人未満が対象となっている。
小企業の業況判断DIは前期から0.2ポイント改善して▲23.1、売上DIも0.1ポイント改善して▲10.9となった。業況判断DIは業況が「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した割合を差し引いたもので、マイナスは「悪い」が「良い」を上回っていることを示す。小企業では業況が「良い」とする企業が21.1%だったのに対し、「悪い」は44.2%に上った。日本公庫は小企業の景況について「持ち直しの動きに足踏みがみられる」と評価している。
採算面では、黒字企業が21.3%、赤字企業が34.5%、収支トントンの企業が44.2%だった。前期と比べて赤字企業の割合は1.9ポイント上昇し、黒字企業の割合は0.1ポイントの上昇にとどまった。黒字企業の割合から赤字企業の割合を差し引いた採算DIは▲13.2となり、前期から1.8ポイント悪化した。業況や売上の指標が小幅に改善する一方、採算面では赤字企業の割合が増加している。
資金繰りにも厳しい結果が表れた。前期と比べて資金繰りが好転した企業の割合から悪化した企業の割合を差し引いた資金繰りDIは▲21.8で、前期から1.9ポイント悪化した。10~12月期は▲25.1と、さらにマイナス幅が拡大する見通しとなっている。採算と資金繰りの双方で指標が悪化しており、小企業の経営環境には依然として厳しさが残っている。
売上不振が最大の課題、仕入価格の上昇も続く
小企業が挙げた当面の経営上の問題点では、「売上不振」が31.9%で最も多く、「原材料高」が22.3%、「利益減少」が16.9%と続いた。売上不振を挙げた企業の割合は前期から1.4ポイント、利益減少は1.1ポイント、それぞれ上昇している。業況や売上の指標がわずかに改善する中でも、売上不振を最大の経営課題とする企業が最も多かった。
価格動向では、仕入価格が前年同期より上昇した企業の割合から低下した企業の割合を差し引いた「仕入価格DI」が76.0だった。販売価格について同様に算出した「販売価格DI」は29.2となり、仕入価格の上昇を回答した企業の割合が高い状況が続いている。
両指標の差は46.8ポイントに上るが、これは仕入価格と販売価格の上昇率の差を示すものではなく、価格転嫁の程度を直接測る指標でもない。今回の調査だけで採算悪化の原因を特定することはできないものの、売上不振や原材料高が小企業の主要な経営課題となっていることが確認できる。
中小企業では業況・収益ともに改善
原則従業員20人以上を対象とする中小企業の調査では、業況判断DIが前期から4.5ポイント上昇して7.2、売上DIは2.9ポイント上昇して18.2となった。純益率DIも4.3ポイント上昇して0.3となり、資金繰りDIは1.7ポイント改善して2.5だった。日本公庫は中小企業の景況について「持ち直しの動きがみられる」と評価している。
中小企業が挙げた経営上の問題点では、「求人難」が23.6%で最も多く、「売上・受注の停滞、減少」が23.5%、「原材料高」が23.2%と続いた。小企業では売上不振が最大の課題だったのに対し、中小企業では人材確保を挙げる企業の割合が最も高い。景況に持ち直しの動きが見られる中でも、それぞれの調査で上位に挙がった経営課題には違いがあった。
小企業と中小企業では、調査対象や指標の定義が一部異なる。特に業況判断DIは、小企業が現在の業況を評価するのに対し、中小企業は前年同期と比較した変化を評価しており、数値の水準を単純に比較することはできない。
日本公庫は中小企業の景況に持ち直しの動きが見られると評価する一方、小企業ではその動きに足踏みが見られるとしている。小企業の採算と資金繰りはともに前期から悪化しており、企業の景況を捉えるうえでは、業況や売上の動向に加え、収益面の状況にも目を向ける必要がある。
文=アミューズメントジャパン編集部
出典:日本政策金融公庫「全国中小企業動向調査結果」(2026年7~9月期実績、10~12月期以降見通し、2026年10月28日公表)




