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2018年04月25日
No.10000599

ホール企業の働き方改革
人材の定着・有効活用狙い多様化する雇用形態

ホール企業の働き方改革
女性社員の活躍が期待されている(画像提供:ダイナム)

一億総活躍社会を実現するために政府が推進する「働き方改革」。ホール業界でも女性やシニアに向けた労働環境の整備を進める動きが広がっている。多様化する働き方への対応は、社員の帰属意識や企業の採用力を高める。ホール各社の施策を追った。

マルハンは2017年卒の新入社員から、「ブロック社員採用」を導入した。これは、従業員が希望する地域内だけでの勤務または転勤を約束するもの。この制度を打ち出した17年卒の新卒採用では前年より50人多い297人を採用できた。18年卒の新卒採用では約4割がブロック社員を希望したという。

このほかにも今年4月1日から順次、有期契約の更新が通算で5年を超えた非正規社員約2500人のうち、無期契約への転換を希望した約500人を正社員として雇用した。

これは改正労働契約法の「無期転換ルール」の趣旨に沿ったものだが、同法の枠組みでは対象の非正規社員が無期契約を結べるのは来年度からだ。同社は改正法に先立って実施することで「少子高齢化に備えた安定した雇用を実現するとともに、子育て・介護などのライフイベントによって働く時間や場所に制約が伴う従業員の多様な働き方を認めるため」としている。

ダイナムも今年4月から非正規社員の正社員化を進めている。これまで非正規社員として採用していた勤務地限定の社員約700人を6月1日付で正社員にする。手当や賞与、年金などの待遇も改善し、評価に合わせて支給する。

このほか正社員の定年を65歳まで段階的に延長するシニア社員制度も導入。キャリアの選択を増やすことで高齢従業員の「生きがい」を支援し、将来の生活設計への不安を和らげることが狙いだ。 

この制度では満60歳になった一般社員はシニア社員に移行。シニア社員の定年は、老齢厚生年金を受給できる年齢に合わせて65歳まで段階的に延長されるため、定年退職後に老齢厚生年金を受け取れない「無給期間」への心配がなくなる。同時導入した選択定年制によって、65歳未満での定年退職も可能だ。定年再雇用制度の対象年齢も改定し、定年を迎えたシニア社員は、最長70歳まで嘱託社員として勤務できる。


「新しい制度は人手不足を補う視点よりも、まずはダイナムで働き続けたいと考える社員やパート・アルバイトスタッフが安心して働ける環境を用意したいとの思いから導入した。導入したことにより仕事への不安が減り、安心して業務をしてもらっている」(人事部人事労務担当の及川賢二氏)

一度退職した元社員を好条件で迎え入れる「カムバック制度」も多くのホール企業で広がりを見せている。

合田観光商事(札幌市)は今年4月から、「ひまわりウェルカムバック制度」を始めた。出産や育児、家族介護、配偶者の転勤などの理由で退職しても、5年以内であれば在籍当時の賃金水準や等級が考慮されて復職できる。社員だけでなくパート、アルバイトも対象だ。

同社の人材開発部は、「やむなく辞めることになった社員の受け皿を用意することで、不意の退職でも安心できる会社であることを既存社員に伝えたかった」と話す。

善都(愛知県豊田市)も今年4月から「カムバック制度」を開始した。勤続年数満3年以上の正社員と同半年以上のアルバイトが対象で、円満退社後1年以内なら復職が可能だ。このほかにも在職3年以上の正社員の夢を特別休暇や活動費付与などで支援する夢支援制度「Let’s」を整えている。

妊娠や出産、育児期の制度充実で女性の継続就業を目指すのはガイアだ。妊娠が判明したときから上長や人事部によるメンタルケアの面談を受け付け、母性健康管理措置の範囲内での通常勤務または事務専門勤務を選択肢として提示する。職場の理解を深めるために、該当者の上長には妊娠育児期のサポートリーフレットも配布。育児期には子が最長1歳6カ月になるまで適用される育児休業や、中学校に入学するまで適用される育児短時間勤務も整備。やむなく退職の道を選んだ場合でも、原則5年以内であれば退職時と同等の職位で復職できる。

同社担当者は「13年11月にダイバーシティ推進委員会を発足させた当時、店舗に在籍する女性社員の比率が3・9%だったが、15年は5・9%と増えた。18年には8%以上、女性管理職10人以上を目指す」と話す。


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