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2018年11月30日
No.10000928

INTERVIEW
広告・宣伝の健全化を担いたい
一般社団法人 ぱちんこ広告協議会 大島克俊 理事長

パチンコホールにおける広告・宣伝の論理と理解の向上などを目指して2016年に設立された 一 般社団法人ぱちんこ広告協議会。会員企業数が52社に増え、ホールにおける広告・宣伝のさらなる適正化に意欲を示す大島克俊理事長に、3期目の抱負を聞いた。


──はじめに、ぱちんこ広告協議会(以下、PAA)設立の経緯を教えてください。
大島理事長(以下、敬称略) 2011年6月に警察庁がホール団体に対して広告・宣伝に関する運用方針の見直しを通達して以降、私たちホール様の広告に関わる会社自身が、広告・宣伝に関する健全化に向けた活動をするべきだろうと考えていました。PAA設立以前にはチラシを中心にしたガイドラインが発行されていましたが、その後、イベント企画やウェブ広告が急激に広まるなど広告を取り巻く環境が大きく変化しました。これまであったガイドラインの範疇を超える新たな広告が普及し、ファンにも浸透し始めたのです。そのため、多様化した広告を健全に成長させるために何をすべきかを考えることも、広告事業者として大きな課題のひとつとなってきました。そこで、もともと親交もあり同じ考えを持つ広告会社やメディア6社で準備会を作り、1年半ほどかけて2016年5月にPAAを設立し、その年の10月から本格的に活動をスタートしました。

──設立に向けてはどんな議論をされたのですか?
大島 ここ数年で、ホール様の広告・宣伝活動が限定される傾向にある一方で、新たな広告手法が広がりました。そうした環境の中で、ホール様の広告を扱う会社がどうしていけばいいのかを議論していきました。そして、明文化はしていませんが「業界の健全化に貢献すること」を一番の想いとし、趣旨・目的にパチンコ業界の諸問題に積極的に関わりを持つこと、ファンと業界をつなぐパイプ役としてファン拡大に寄与すること、広告論理の理解向上と広告の信頼性の向上を目指すこと、の3点を掲げました。ここには会員となることで、情報共有をはじめとした様々な取り組みに触れ、ホール様へ適切で効果のある広告の提供につなげていきたいというPAAの思いも込められています。自主規制遵守を含めて、安心できる広告を提供できる広告会社やメディアであれば、広告の発注者であるホール様も安心して広告活動ができるようになるのではと考えました。

──設立までに苦労したことはありますか?
大島 PAAに入ることのメリットをなかなかお伝えできなかったことですね。まだ実態がない状況で、業界を良くしたいという熱意だけでやっていましたから。設立後の1年はとにかく説明に徹しました。おかげさまで2年が経ち、PAAの認知度も徐々に高まってきたのではないかと思っています。行政側にもご挨拶に伺っています。

──現在の会員企業は52社。かなりのスピードで増えていますね。
大島 趣旨をご理解いただける広告事業者様が増えたことに加えて、最近ではPAA加盟企業と取引をしたいというホール様のお声を耳にするケースが少しずつ出てきて、それも増加要因ではないかと思っています。2年間で52社というのは当初の予想を大きく超えています。


広告価値の向上を目指して

──この2年間はどんな活動をされてきたのですか?
大島 大きくは、広告事業者としての立場から「ぱちんこ業界における広告・宣伝ガイドライン」(2016年11月初版)を策定したことです。これはPAA会員の拠り所となるもので、PAA設立と同時に作成し、2年間で4回改訂しました。ガイドラインはPAAのホームページでも公開されていますので、発注するお立場のみなさまにもご覧いただければと思っています。さらにガイドラインに紐づく形で、今年10月には会員が取り扱うサービスを紹介する「取扱サービスページ」をPAAサイト内のコンテンツとして立ち上げました。一方で、メディアを運営されている会員もいらっしゃるので、ファンへのアプローチがしやすいこともPAAの大きな特長と考えています。そこから生まれたのが「”ファン“が選ぶパチンコ・パチスロ大賞」です。会員の各メディアからの呼びかけや、PAAが運営するTwitter「PS ファンとメディアの声@PAA 事務局」などを通して多くのファンから投票をいただきました。

──ガイドライン策定は難しい作業だったと思いますが、最も苦労したことはなんでしょう?
大島 言葉の定義は本当に難しいことですね。たとえば「事前告知」や「機種の示唆」などよく聞く言葉でさえも、議論していく中で人それぞれ受け止め方や認識が違うことに驚かされました。一つひとつの言葉を吟味してその議論を通して、会員間で意味するところを腹に落とし込んでいくという非常に時間のかかる、しかししっかりと骨子が浸透していく作業を続けました。そのため、ガイドラインには事細かに規定することはありませんでしたが、PAAの本質である「業界を良くしていくこと」に照らし合わせてそれぞれが判断していけるようになったと思います。

──そうは言っても抜け道を探すケースもあると思われます。
大島 これならいいだろうという発想から生まれてくる方法だとは思いますが、私たちは、より健全な方法で集客できるものを作っていこうというスタンスです。厳しい環境に置かれてはいますが、広告事業者が正しい知識と情報を持ち、豊かな発想で企画やサービスを生み出していくことがホール様の集客に繋がる、それはひいてはファンを増やす要因の一つになると思っています。今後も広告価値の高いサービスを提供するためのサポートや活動をPAAが行っていこうと、新年度もいろいろと企画中です。

PAAのホームページでは、ガイドラインに準拠した会員企業のサービスリストを掲載している


──10月にオープンした会員の「取扱サービスページ」は、どういう基準で紹介しているのですか?
大島 会員が掲載を希望したサービスを、ガイドラインに抵触していないかどうかを最低限の基準として、確認した上でアップしています。ホール様も、いろいろな集客方法があるのだと思っていただけるようになれば、広告の選び方も変わっていくと考えています。実際には難しいことだと思っていますが、難しいからやめようではなく、やっていくしかありません。地道に活動を続けていくつもりです。

──会員間の情報共有も重要という認識ですね。
大島 はい。どこの業界でもそうですが、特有の法律や規制がありますよね。そういったルールの理解や業界動向の把握は、ホール様にご迷惑をかけることのない広告やサービスの提供につながります。こうした最新情報を仕入れる勉強会という意味でも、月1回開催される理事会は重要だと考えています。その他、ウェブサイトには会員専用ページ(クローズド)を設け、出席できなかった場合もそこから情報を取れるようにしています。


地域ごとの事情を聞いてガイドラインに反映

──地域ごとの規制についても共有されているそうですね。
大島 現在、各都道府県の遊技業組合様への訪問に取り組んでいます。各地の組合様にうかがい、広告・宣伝に関する地域ごとの実情をお聞きしています。同時にPAAのガイドラインなども説明させていただき、地域の実情を踏まえたものにアップデートしていこうと考えています。1年前からこの活動を始めてようやく12都道府県を回らせていただきましたが、まだお伺いしていない組合様も多くありますので、引き続きコミュニケーションさせていただこうと考えています。

──組合側の反応はいかがですか?
大島 県内事例のご相談をいただくケースが増えてきています。それはPAAの活動をご理解いただけるようになったなと、感謝する瞬間ですね。また、組合様への問い合わせを一つひとつ丁寧に傘下会員と共有されているケースでは、PAAがその部分の代行ができる仕組みを作れないかといったご相談をいただいています。直接お会いすると、組合というお立場で必要としているものも見えてきますので、積極的にお手伝いさせていただきたいと思っています。

──PAAが会員に注意喚起して改善されるケースはありますか?
大島 PAAで把握した事例は必ず当該企業に確認を取り、状況をお聞きし、必要であれば改善に向けての対応をお願いしています。例えば東京都では健全化センター様が、規制に反する恐れのある広告事例に関してホール様に指摘をしていますが、最近はPAAにもお話をいただき、サービスの提供側である会員を通じて対応するケースも増えてきました。


熱を帯びた議論で高まったコンプライアンスの意識

──この2年間で会員のコンプライアンスの意識に変化はありましたか?
大島 コンプライアンスの意識は非常に高まったと思います。設立当初からコンプライアンス委員会を作り、ガイドラインを作成し、その内容を具体的に掘り下げて、細かい部分に関して話し合いをしてきました。ここはみなさん熱を帯びた議論をしてきたので、守らなければいけないことへの意識は浸透していると思います。実際に、会員に健全化センター様からのご指摘などを伝えると、すみやかにご理解いただけます。ホール様でも、どこまでがOKでどこからがNGかがわからず手探りの状況だと思いますので、安心・安全の担保として責任ある活動をしていかなければと思っています。

──設立から3年目。今後の展望を聞かせてください。
大島 今期はまず、県遊協様と連携を図り、PAAの価値を高めていくことが目標です。その上で、ホール様からのご理解やご協力をいただけるようになること。すでにPAAの応援をしたいという声をいただいているホール様もいらっしゃるので、そうした法人様を増やしていきたいですね。そして、この業界を良くしていこうという当初の目的に立ち返って、会員がさらに活動しやすくなるため一致団結して進んでいきたいです。具体的には情報を共有し、実行力を高めていく必要があると考えています。またファンと業界をつなぐパイプづくりも具体化させていく予定です。

──最後に、ホールに伝えたいメッセージを。
大島 3期目となる今期は、ホール様にも広く認知していただくために、これまでの活動を含めてご説明し、PAAをより深く知っていただきたいと思っています。そして、広告・宣伝に関する安心・安全なサービスを見極めてご発注いただきたいと願っています。ホール様にもPAAのガイドラインをお配りし、ご判断の一助となればと考えています。最終的には、ホール様と広告事業者と行政サイドの三方をつなぐパイプ役になっていけるよう努力していきます。




おおしま・かつとし
1978年生まれ。2002年、ゲンダイエージェンシー入社。2005年、上野営業所所長を経て、2008年東日本営業部グループマネージャーに、2013年営業企画開発部長(現任)。2016年、一般社団法人ぱちんこ広告協議会を設立し初代理事長に就任(現任)。2017年、ゲンダイエージェンシー執行役員に就任。





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