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2025年02月27日
No.10004752

レガシーな中古機取引をアップデートしたい|P-SENSORで中古機売買の利便性向上へ

レガシーな中古機取引をアップデートしたい|P-SENSORで中古機売買の利便性向上へ

INTERVIEW

DMM.com
執行役員 セールスソリューション本部 副本部長
岡崎 翼さん

2024年11月に中古遊技機取引情報サイト大手のP-SENSOR(ピーセンサー)をM&Aで取得したDMM.com。仕掛け人は『DMMぱちタウン』を事業化した執行役員セールスソリューション本部副本部長の岡崎翼さん。パチンコ・パチスロをこよなく愛する岡崎さんの視線の先には、パチンコ業界をITでアップデートしたいという思いがある。

──昨年P‒SENSORを取得した経緯を教えてください。
岡崎 DMM.comは『DMM ぱちタウン』で業界のサービスを開始させていただき、これまで業界とユーザーをつなぐメディアという立ち位置で1番を目指してやってきました。参入から10年が経ち、いまではトラフィックもナンバーワンになり、9割を超えるホール様にご利用いただいております。『DMMぱちタウン』ではこれまでに、ホール営業の利便性を高めるための販促やサービスを増やしてきました。サービス拡張の方法のひとつとして、M&Aも有効な手段であると考えています。一例として、来店ポイントのシステム等を過去にM&Aしています。

──どんな狙いがありましたか?
岡崎 来店ポイントの事業は顧客をロイヤルカスタマー化する手段として非常に有効だと考えています。縁あって1番手のパールマーケティングソリューションズ社のポイント事業のM&Aをさせていただき、いきなり第3社管理来店ポイントのシェア1番手の状態で参入することに成功しました。ただ、2番手のシーグリーン社もシェアを35%程度持っており、競争をすることになります。当社が1番であり続けるための方法論として、サービスでの競争をするよりも、2番手をM&Aする方が〝時間もコストも少なく、市場への悪影響もない〟と考え、M&Aを持ちかけさせていただき成立しました。それによって来店ポイントという1つの市場のシェアを90%以上獲得し、ひとつの市場を取り切ることに成功しました。„サービスへの参入というM&A〝と、„シェアを拡大するための戦略的M&A〝の両方を行った事例となります。

──P‒SENSOR取得の狙いもそこにある?
岡崎 厳密には違いますが、業界をアップデートしていくという目的には沿っています。中古機取引の世界において、唯一無二の存在であるP‒SENSORをM&Aすることで、来店ポイントと同様に1番手からスタートし、セキュリティの対策や動作の安定、より使いやすいアップデートを行うことで皆様のお役に立ちたいと考えています。我々は遊技業界の二次産業の立ち位置の中でできるビジネスをどんどん拡張しながらアップデートしていきたいと考えています。

──M&Aありきではなく、業界をアップデートするためのM&Aということですか?
岡崎 はい。まず大前提として目的は業界の課題解決です。顕在化している課題に対してのサービスを提供していく、M&Aはそのための手法の1つでしかありません。P‒SENSORは来年で20周年を迎えるサービスです。さまざまな機能やサービスを追加されてきていますが、まだまだアップデートは可能です。DMMは4500万人のアカウントを持つ日本有数の巨大プラットフォームですので、IT技術等々でも非常に高いレベルの知見があります。業界もIT化がさまざまな点で進んでいますが、我々からするとアップデートできることが非常にたくさんありますし、セキュリティ等の脆弱な点を改善することも可能です。仮にセキュリティの問題でP‒SENSORが1カ月止まってしまった場合、業界の中古機取引は大混乱が起こると思います。そういったリスクを未然に防ぐこともサービサーとして重要と考えていますので、しっかりとした対策を行っていき、中古機売買のインフラとして安定したより高いレベルの利便性を持つサービスとして提供していきます。

──どんなアップデートを行っていきますか?
岡崎 フロント面で言うと、現在のP‒SENSORはパソコンで使うことを前提としたUIになっています。まずはそれをスマホでも使い易いUIを開発します。また、セキュリティ面でサポートの切れているシステムが入っていたりするため、その点も早い段階で解消します。その他は、ぱちタウンとの連携によって、自社の抱えている在庫管理や機械の資産価値算定が出来る機能、中古機売買の書類管理機能など、ホール企業様の利便性向上を目的としたアップデートも予定しています。

業界にいままでにない価値を提供したい

──DMM.comが遊技業界にいることで、業界にとってどんな価値を提供できると考えていますか。
岡崎 DMMは、業界の課題解決に積極的に取り組んでいきたいと考えています。その一例として、「遊技人口の減少」という業界最大の課題に対し、2年前から「全日本学生遊技連盟(学遊連)」の支援を行っています。学遊連は、「学生による学生のためのパチンコ団体」として、パチンコの楽しさを広める活動を行っています。私が理事を務めるPAA(ぱちんこ広告協議会)やDMMをはじめ、業界各社が協力し、運営スタッフの募集やイベント企画・運営など幅広く活動をサポートしています。業界全体が一丸となって取り組むことで、業界の課題解決・活性化に貢献していきます。自分で言うのもおかしいですが、私はみなさんが想像するよりもずっとパチンコが大好きです。それこそ余暇の9割はホールに居ます(笑)。業界が大好きなので課題を解決したい意識が非常に強いです。たくさんある業界の課題に対して、課題の明確化はされていますが、アプローチ方法や実践までされていることはあまりありません。誰かが旗を振らないと解決に向かうことはないので、それを行なっています。パチンコ・パチスロが大好きなので業界が元気であって欲しい。そのために自分でできることはどんどんやっていくつもりです。DMM.comは「なんでもやってるDMM」というブランディングや新規事業をたくさん開発している実績から、世の中のさまざまな情報が早いタイミングで入ってくる会社です。その情報を、パチンコ業界だったらどういう風に使えるかということをいつも考えています。そういった背景から、DMMが遊技業界にいることで、今までにない価値の提供や課題解決を行なっていけると考えています。

おかざき・つばさ
1982年生まれ。岡山県出身。倉敷高校時代は陸上部で中距離の団体戦で日本一に貢献。東洋大学卒業後にベンチャー企業などを経てリクルートに入社。2011年にDMMのグループ会社を経てDMM.comに入社。1年目で『DMMぱちタウン』を立ち上げる。


文=アミューズメントジャパン編集部
※月刊アミューズメントジャパン2025年3月号に掲載した記事を、一部修正して転載しました。


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