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2019年06月17日
No.10001230

ニューギングループ
花の慶次ロングランの秘密
【特別座談会】 主催/ニューギングループ

花の慶次ロングランの秘密
シリーズ最新作『真・花の慶次2 漆黒の衝撃』のPOPを背景に撮影(東京・茅場町のニューギン東京ビルで)

花の慶次シリーズの初代『CR花の慶次-雲のかなたに-』が登場したのは2007年。以来11年間で累計販売132万台を超える大人気シリーズになった。 また、『花慶の日』をはじめとするイベントの開催や搭載曲のヒット、演劇の上演、社会貢献活動としてのコラボ製品開発など、多彩な展開をみせる。 パチンコファンやコミックファンだけでなく、一般の人々にも広く浸透したコンテンツ誕生に関わった方々に、それぞれのエピソードを語っていただいた。




原作とファンのパワーを開発に活かす

隆慶一郎作の小説を
原哲夫が漫画化


――週刊少年ジャンプに連載されていた『花の慶次‐雲のかなたに‐』誕生のいきさつを教えてください。

堀江 大ヒットした『北斗の拳』の連載が1988年に終わったことがきっかけのひとつですね。当時担当編集だった僕は、原哲夫先生の次の作品を時代物でヒットさせようと考えていました。

角田 北斗の拳の連載中、僕は学生で少年ジャンプは毎週読んでいました。熱狂的ファンでしたから、連載が終わり非常にがっかりしたことを覚えています。

笹本 2007年に初代の『CR花の慶次‐雲のかなたに‐』をリリースしたんですが、パチンコ業界でも原先生の版権物は非常に人気がありました。だから、『花の慶次‐雲のかなたに‐』の版権をニューギンが入手できた時は、本当にうれしかったですね。

堀江 構想を練っていた時出会ったのが、『花の慶次』の原作となった『一夢庵風流記』を書いた作家、隆慶一郎先生でした。ところが、隆先生は入院中で、体調は非常に思わしくない。それでもお見舞いに通ううちに漫画用の原稿を一本用意してくださいました。それが89年の冬に掲載された『花の慶次‐雲のかなたに‐』の読み切り版です。

笹本 パチンコ化させていただいた時も、良いタイトルだと思いましたが、どんな経緯で決まったんですか?

堀江 私が挙げたいくつかの候補から隆先生が選んだのが『花の慶次』でした。サブタイトルは隆先生が、「雲という字を使ってほしい」と望まれたので、『花の慶次‐雲のかなたに‐』というタイトルに落ち着きました。残念ながら、隆先生はその直後に亡くなってしまい、掲載作品はご覧になっていません。連載は90年の春先に始まり、93年の夏まで続きました。

ファンの心を捉えた
開発コンセプト


――そのタイトルを冠したシリーズ第一弾『CR花の慶次‐雲のかなたに‐』は、メインスペックのMAXタイプだけで13万台という大ヒットになりました。やはり開発には時間がかかりましたか?

笹本 戦国時代の世界観なので、開発の際のコンセプトづくりから苦労しました。一方、せっかく手に入れた原先生の版権ですから、急いで市場に出したいという営業の思惑もありました。そこで、短期間で開発できるベルト式のパチンコにしましたが、液晶が小さかったことを含め社内での評価はかんばしくなく、お蔵入りになりました。

角田 『CR花の慶次』は、幻の第一弾があったんですね。

笹本 新井悠司社長からも、「開発に力を入れて、大型の液晶を搭載して作り直すように」と指示がありました。結局、最新式の15インチ大型液晶を採用した筐体で一から開発し直したんです。予定より完成が大幅に遅れましたが、その分とても良い機種になりました。

角田 ヒットした理由はいろいろあると思うんですが、演出がユニークだったことも大きいんじゃないですか?

笹本 開発中、「アツい演出は派手でなくてもいいのでは?」という意見が出たんです。地味な演出が、さりげなく出た方がドキッとするんじゃないかという逆転の発想ですね。それが、キセル演出で、花の慶次の代名詞的な演出としてファンの皆様に支持されています。

堀江 ストーリーリーチのように短い時間で原作の世界観や慶次の人柄を表現するのは難しくありませんでしたか?

笹本 例えば、「おまつリーチ」では、軽い気持ちで秀吉を笑わせてあげればよろしいと言ったおまつが、本当の事実を知って、慶次の元にやってくる。でも慶次がそれを怒ることなく、むしろ老木との約束を守る姿を見せておまつを笑顔にすることができれば大当たりというフローにしました。慶次という人間の面白さや生き方を端的に表現することができ、それがファンの皆様に「花の慶次は面白い」と言っていただける理由のひとつではないかと思っています。とにかくスタッフは全身全霊を込めて一生懸命開発してくれた、それだけはよく覚えています。

角田 導入後はすごい人気でしたよね。

笹本 当初、販売台数は、それほどでもなかったんです。目標は3万5千台程度でしたが、数千台は売れ残っていました。ところが、ホールに行くとどの店も稼働が非常に良く満席状態。こんな手応えのある台は今までありませんでした。しばらくすると、残った台も全部売れ、追加注文の予約がどんどん入ってくるようになっていました。

『CR花の慶次‐雲のかなたに‐』 MAXタイプのほか、ミドルや甘デジを含むと約17万台が販売された 
©隆慶一郎・原哲夫・麻生未央/NSP1990 版権許諾証YSD-338 ©Newgin


花慶の搭載曲は
みんなの応援歌


――ファンの心をアツくした角田さんの楽曲も大ヒットした理由のひとつですが、どんなきっかけで歌うようになったんですか?

角田 以前から親交があった原先生から「今度僕の作品がパチンコになるんだけど、テーマ曲を歌ってほしい」と誘われました。すごく感激した記憶があります。ある時、テレビ局の廊下を歩いていたら、後ろから「おとこー、おとっこー」って歌うのが聞こえてきて、「ずいぶんうまいなあ」と思って振り向いたら瀬川瑛子さんでした(笑)。和田アキ子さんにも、「パチンコを打ってると、あんたの曲ばかり聞かなあかん。けったくそ悪いけど、ええ曲やな」と言われたことがあります。

堀江 芸能人やアスリートには、花の慶次の歌が好きな人が多いですね。

笹本 着メロのダウンロード数は250万回、You Tubeの視聴回 数は1000万回を超えました。パチンコから生まれてここまで親しまれている楽曲は他にないのではないでしょうか。メロディもそうですが、最初の『傾奇者恋歌』からお願いしている堀江さんの詞が本当に素晴らしいといつも思います。

堀江 戦国時代の武将たちにとって戦場は、ミュージシャンにとってのライブ会場のようなもの。戦場というステージに立ったときに、鬨の声を上げると同時に、敵を一気に飲み込んでいくような威勢のいい曲を角田さんに歌ってほしかったので、まさに応援歌ですね。

角田 パチンコでは、長くハマった後に当たった時は労われるように、大当たりが続いている時はさらに頑張れるように応援する楽曲になればと思っています。

堀江 音楽は単にアニメの添え物ではなく、そのコンテンツの主役になりえます。そういう意味で、花の慶次というパチンコから次から次にヒットが生まれていったのは、やはりニューギンさんのコンセプトワークがものすごく良かったからだと僕は思うんですよ。

笹本 私たちは、そんなに深く考えていたわけではありませんが、歌がヒットして良かったと思います。スタッフたちと飲みに行くと、最後は必ず花の慶次の歌で盛り上がります。他のお客さんには「何だろうあの団体客は?」という目で見られるのですが(笑)、事情を話すと一緒に歌ってくれます。みんなでマイクを回して歌っていると、本当に元気になるし、次の慶次も頑張っていいパチンコを作るぞという気持ちになります。今年の春の選抜甲子園大会で優勝した東邦高校の応援にも使われていましたが、花の慶次の曲は私たちにとっても応援歌なんです。



イベントや楽曲だけでなく 社会貢献活動も進化する

ライブ終了後に出演者と観客が一緒に記念撮影するのも花慶の日ならでは(2018年)


連載開始30周年で
新たなステージへ


――8月7日は、「花慶の日」として日本記念日協会に登録されています。毎年夏、東京で角田さんなどのライブステージやアトラクション、社会貢献活動のパネル展示などを行うイベントを実施、昨年は3千人、これまで累計で2万2千人の方が来場しています。

笹本 『CR花の慶次‐雲のかなたに‐』が大ヒットした時、ホール様やファンの皆様が支持してくださっているということを実感して、何らかの形で還元したいと始めたのが花慶の日です。

堀江 「Buy! TOH OKUプロジェクト」などの社会貢献活動もそうした発想がなければ実現しなかったわけですから、花慶の日を始めた意義は大きいですね。

笹本 花慶の日のイベント企画は、毎回スタッフのみんなと内容を検討しています。「Buy! T OHOKUプロジェクト」は、東日本大震災があって、「何か貢献できないか」という話になり実行することにしました。被災地の企業と花の慶次のキャラクターとのコラボ製品は、花慶の日に来た人に配布しています。

角田 花慶の日以外にも、福島の「福魂祭」や熊本の「GAMADASE KU MAMOTO 2018 〜熊本復興祭〜」などのライブイベントに僕も出演させていただいています。ライブに来てくれた人が、「ものすごく勇気をもらった」とか、「もう一回頑張ろうという気持ちになった」と声をかけてくださるんですね。僕もそれが励みになるし、こんな幸せなことはないと思います。花慶の曲を歌うと、会場に熱気あふれる連帯感が生まれるんです。このパワーが、みんなを元気にする原動力なんだなと思います。

笹本 花慶の日は、人のアツい気持ちを掻き立てるエンターテインメントなんです。熱気ある客席を見ると、主催していてよかったなと思います。

堀江 来年は、『花の慶次‐雲のかなたに‐』の連載開始30周年を迎えます。イベントなど、いろいろな企画がありそうですね。

笹本 今のところ、まだ具体的には考えていないんですよ(笑)。堀江社長とのお付き合いの中からも、いろいろなヒントを頂戴して実現したいと考えています。漫画の方もどんどん新しい展開を描いていただき、いずれその内容を遊技機に反映することができればうれしいですね。これからも花の慶次を皆様と一緒に盛り上げていきたい。ファンの方々にも楽しみにしてほしいと思います。

『花の慶次‐雲のかなたに‐』の単行本や復興支援コラボ製品を前に話がはずんだ



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