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2020年09月08日
No.10001909

都留文科大学・早野慎吾教授研究グループ
都市部ほど低いギャンブル依存傾向
ギャンブル等依存全国調査の中間報告まとまる

今年4月から進められていた都留文科大学・早野慎吾教授の研究グループによる「ギャンブル等依存の要因およびギャンブル射幸性に関する全国調査」が8月で終了し、中間報告がまとめられた。この調査は東京都遊技業協同組合が助成している。

同調査では 諸外国で用いられる一般的なギャンブル依存の調査指標で、日本でも厚生労働省研究班が調査の際に用いた「SOGS」(サウスオークス・ギャンブリング・スクリーン)をスクリーニングの基準とした。全都道府県の20代~80代の4万2880人を対象にオンラインで実施。そのうち、過去1年でギャンブル等を行った1万4780人が分析対象。射幸性やギャンブル習慣、ギャンブル宣伝広告などとSOGS 得点との関係を統計処理して分析している。

中間報告では、都道府県別の平均 SOGS 得点について詳しくまとめた。 SOGS 得点の分布をみると0点と 1 点が約 67.6%を占めた。性別の平均では男性が1.86 点、女性が 1.18 点と男性の方が高く、世代別では 20 代が 2.23 点、30 代が 2.28 点と若い世代ほど高い傾向があった。

SOGS 得点全体の平均は 1.68 点。都道府県別では、得点が高い順に富山県 2.57 点、山梨県 2.57 点、徳島県 2.51 点、鳥取県 2.33 点、福島県 2.32 点、愛媛県 2.31 点、島根県 2.14 点、鹿児島県 2.10 点だった。

報告書では「現在、公営ギャンブルがない山梨県、鳥取県、島根県、鹿児島県が高いというのはやや奇妙な感がある」と指摘。それに対してすべての公営ギャンブルが揃っている埼玉県 が1.47 点、福岡県1.62 点と低い。このほか、東京都 が1.52 点と低く、大都市のある宮城県 1.71 点、神奈川県 1.60点、愛知県 1.72 点、大阪府 1.72 点、兵庫 1.63 点と平均点に近かった。

孤独感の解消が必要

警察庁が発表した2019 年のパチンコホール数をもとに、各県の平均 SOGS 得点と各都道府県の店舗数との相関係数を求めたところ、マイナス0.434と負の相関がみられた。これは店舗数が多い都道府県ほど依存傾向が低いということだが、一方で遊技機台数との相関でみると、1台あたりの人口が多い地域ほどギャンブル依存傾向が低くなる傾向があった。

この結果から研究グループでは、「都市部は、ギャンブル以外の娯楽が多いために一つの娯楽に依存する傾向が弱まるためと考えられる。他の娯楽を見つけることは、依存症治療にも使われる手法だが、都市部は環境が多様な娯楽を提供しているのである」と指摘している。

調査ではパチンコをする理由とSOGS得点との関連を分析。「ストレスを解消するため(44.7%)」、「ひまつぶし(37.7%)」とする回答が多かったが、この2項目の回答者の平均 SOGS 得点はそれほど高くない。それに対して「やらないと落ち着かない(4.9%)」、「孤独を解消するため(4.1%)」などの項目は、回答数は少ないが平均 SOGS 得点がかなり高い。また、それらの項目の平均 SOGS得点は、パチンコよりもむしろ公営ギャンブルの方が高い。

研究グループでは、「公営ギャンブルはオンライン投票が可能なため、自宅にいながら参加できる。仮にパチンコが地域からなくなったとしても、病的賭博者は公営ギャンブルなどに流れるだけと予想できる」とし、「地域に他の娯楽が見つからないことでギャンブルにのめり込むと、やらないと落ち着かない状態になる。現代の社会が孤独感を助長して、その孤独感を解消するためにギャンブルにのめり込む。ギャンブル依存症の因子は複雑であるが、今、地域社会で必要なギャンブル等依存対策は、娯楽を多様化することと、各人の孤独感を解消することだろう」と総括している。


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