No.10003604
ユーコーラッキーグループ
変革期こそ思い切った舵切りを
INTERVIEW
金海基浩
ユーコーラッキーグループ 専務取締役
福岡県を中心にホール23店舗を展開するユーコーラッキーグループ(久留米市)は、スマート遊技機を積極導入している法人の一つだ。スマート遊技機設置台数はグループ全体で、スマスロ1700台、スマパチ300台(5月時点)。スマスロ導入後は高稼働が続き、ユーコーラッキーグループ=スマスロというイメージが定着してきた。スマート遊技機に舵を切った狙いと、今後の展望を同社の金海基浩専務に聞いた。
──GW営業はかなり好調だったそうですね。牽引したのはやはりスマート遊技機ですか?
金海 スマート遊技機に対するお客様の期待感はとにかく高いと思います。GW営業はパチスロだけで言うと、売上が昨年の倍以上になった店舗もありました。来店客数が非常に多く、例年にはない盛り上がりを見せました。牽引したのは『スマスロ北斗の拳』ですが、スマスロに関しては機種を問わず、ずっとフル稼働状態。それだけスマスロに対するユーザーの期待感が高まっているということでしょう。設置台数だけで言うと現状でも足りないと思っています。
──ユーコーラッキーグループでは、昨年11月の全国導入開始時から積極的にスマスロを導入されてきました。改めて、スマート遊技機に関する戦略を聞かせてください。
金海 過去の知見から、現金機からCR機に移行した時と同様に、スマート遊技機への積極的な投資が企業の成長に繋がると考えていました。今回、スマスロは、6.5号機で実現した最大出玉の差枚数管理がそのまま適用され、6.5号機で4000ゲームだった有利区間が無制限になった。コンプリート機能が付く代わりに、出玉性能の面ではこれまで以上にユーザーに満足していただけるようになりました。近年、パチスロが少し勢いを失っていた中、はっきりとスマスロのメリットが打ち出されたので、当社は様子見をせずに積極的に行くと決めました。変革期こそ思い切った舵切りが必要だという社風も背中を押したと思います。やるなら多台数で導入していかないと営業的には割が振れないし、他店との差別化を含めてお客様へのアピールもできません。
──スマート遊技機に関して、台選定をする上で重視する点はありますか?
金海 スマート遊技機ならではの射幸性は強く意識しています。昨年11月のスマスロ導入第1弾のタイミングでは、販売された4機種の中でも『パチスロ 革命機ヴァルヴレイヴ』に注力しました。理由はスマスロの特徴の一つである出玉性能をアピールしやすいスペックだと感じたからです。そこがユーザーに6.5号機とスマスロの違いを一番分かりやすく理解してもらえるのではないかと。遊ぶ中で目標があり、勝ち筋がイメージしやすい方が絶対に良いと考えました。直近で言えば、『Lゴブリンスレイヤー』などは『パチスロ 革命機ヴァルヴレイヴ』と同じ理由で多台数導入を決めました。
──思い切ったスマート遊技機への転換について、店舗から不安の声はありませんでしたか?
金海 そこに関しては、各店舗がしっかりと会社の方針を理解してくれました。代わりにマネージャーたちからは「武器は持たせてくださいよ」と要望が来ましたね。スマート遊技機に関しては、店舗単位ではなく、会社全体の判断を優先してもらい、必要なものは経営陣がすべて用意すると伝えました。その結果、営業本部長を中心に現場が会社の意図を汲んで、さまざまな点で迅速に対応してくれました。この対応のスピード感がユーコーの強みだと考えています。
──お客に対しては、どのようなアプローチをしましたか?
金海 まずはイメージ付けが大切だと考えました。「スマスロ打つならユーコーラッキーグループへ」と銘打った店内POPなどを作成して、とにかくお客様に対してユーコーはスマート遊技機に力を入れていくという認識を持ってもらいました。先ほども話しましたが、導入台数で他店が3台、5台のところを、ユーコーは30台、50台と多台数導入するから期待してほしいといった差別化もその一つです。また、店内装飾も見直しました。例えば島上に大当たり回数や獲得枚数が分かるデータ表示器を設置し、機種毎の島装飾物、台間POPなど、改めて店内装飾を見直して作り込みました。現場が本当にしっかりやってくれて一気にお店の雰囲気が盛り上がりました。こういう細かいところもお客様は敏感に感じ取ってくださるので、「気合い入ってるね」とのお言葉もいただきました。
──スマート遊技機について現状の課題を教えてください。
金海 この場をお借りして遊技機メーカーさんにお願いしたいのが、遊技機の安定供給です。現状スマート遊技機については、台の供給が圧倒的に足りていません。スマスロは、11月に第1弾を導入してから『スマスロ北斗の拳』の導入までまったく新機種がありませんでした。スマパチも『ぱちんこ 新・必殺仕置人S』の後が続かない状況になっています。もちろん、適合状況などさまざまな理由はあると思いますが、せっかく業界として作った勢いも、コンスタントに新機種を入れていかないとどうしても薄れてしまいます。ホールとしても新規出店など計画が立てられない。2機種、3機種と同時に導入できるのが理想ですが、そうでなくてもコンスタントに入れ替えができるようにしたいです。幸い、夏ごろまではある程度見通しが立ってきたのでほっとしていますが、スマート遊技機がユーザーに受け入れられて定着するまでには、もう少し時間がかかると思っています。だからこそ、定着させる意味でもスマート遊技機の安定供給を切にお願いしたいですね。
──スマート遊技機が定着するにはどのくらいかかると考えていますか?
金海 6.5号機やP機で新機種が出ている間は、本当の意味での定着は難しいと思います。6.5号機やP機でヒット機種が出ると、ホールとしては導入せざるを得ない。この状況が続くとホールとしては計画が立てられないし、資金的にも疲弊してしまいます。今は、ユーコーラッキーグループとして、スマート遊技機の魅力をお客様にアピールできていますが、ホールが単体でできることには限界があります。そこは業界として、もう少しホールと遊技機メーカーさんで話し合って移行期間のゴールを決めて、計画的に進めていくべきではないかと思います。
──最後に今後の抱負をお願いします。
金海 ユーコーラッキーグループとしては、業界の新しい提案に賛同してスマート遊技機がお客様に受け入れられるように注力していきます。広告宣伝の面でも「広告宣伝ガイドライン」のもと、スマート遊技機で業界を盛り上げたいと思っています。日工組さんが俳優の柴咲コウさんを起用して業界をアピールしたり、業界として新しいチャレンジができているので、このタイミングでできることは全部していきたい。とにかく、この数年で業界が一番盛り上がっているので、このチャンスを逃さずできることをやっていきます。
※『月刊アミューズメントジャパン』2023年7月号に掲載した記事を転載しました。