2023年12月06日
No.10003991
No.10003991
プレイヤーの情報チャネル ~SNSは店舗からの情報を伝えるもっとも有効なチャネルなのか?
『パチンコ・パチスロ プレイヤー調査 2023』(APJ、シーズ、EBIの共同調査)からわかること
現代人にとってソーシャルメディアは非常に身近なものになり、情報収集においても大きな役割を果たしている。しかし、「誰もが利用している」と思い込むことは危険だ。文=田中 剛(Amusement Japan)
総務省情報通信政策研究所のレポートによると、調査対象(13~69歳)の全年代におけるソーシャルメディア行為者率(=使った人の割合)は平日、休日ともに49.9%。平日における行為者率がもっとも高いのは20代で70.0%。次いで30代で59.6%、40代で47.0%。休日の行為者率もほぼ同じだ。つまり、40代以降では半数の人がソーシャルメディアを利用していないのだ。
利用者が多いTwitter(現X)に着目し、年代別の利用者率を見ると、20代では78.8%と非常に高いが、30代では55.5%、40代では44.5%と上の年代ほど利用者率は低くなる。
『パチンコ・パチスロ プレイヤー調査2023』(APJ、シーズ、EBIの共同調査)のためのスクリーニング調査から抽出したパチンコ・パチスロプレイヤー1500人(18~79歳)における、何らかのSNSの利用者率は全年代で64.3%だった。年代別に見ると、18~29歳層では約8割、30代では約7割、40代では65%が、息抜きや情報収集・発信のために何らかのSNSを利用している。総務省調査とは質問の仕方が異なるので単純な比較はできないが、上の年代ほど利用者率が低くなる点は共通している。
遊技者においてもっとも多く利用されているSNSはLINEで、43.9%が利用。次いでX(旧Twitter)が38.7%、Instagramが25.8%。LINEはメッセージアプリとして幅広い年代で多くの人に利用されているが、SNSとは認識していないユーザーも多いため解釈には注意が必要だ。
年代別に見ると、18~29歳層においても30代層においても、もっとも利用されているSNSはX(旧Twitter)で、過半数が利用している。ただし、利用者率は40代層では4割台、50代層では2割台に下がる。パチンコ・パチスロプレイヤーにおいては、40代以降では半数以上がX(旧Twitter)を利用していないのだ。なおかつ、SNS利用者が皆、パチンコ・パチスロの情報収集や発信に利用しているというわけではない。
では、SNSをパチンコ・パチスロの情報収集・発信に利用しているパチンコ・パチスロプレイヤーはどれほどいるのだろうか。
「店内」「店頭」からの情報が重視されている
遊技者の中でパチンコ・パチスロの情報収集や発信にSNSを利用している人は40.5%で、やはり若年層ほど利用者率が高く、18~29歳層、30代層では5割を超える。もっとも多く利用されているのはX(旧Twitter)で、遊技者の21.1%がパチンコ・パチスロの情報収集や発信にこれを利用している。ただし、利用者率は年代により大きく異なる(上の年代ほど利用者率が低い)ので、図で年代別の利用率を確認していただきたい。
年代別に見ると、18~29歳層においても30代層においても、パチンコ・パチスロの情報収集や発信にもっとも利用されているSNSはX(旧Twitter)で、約3割が利用している。見方を変えれば、18~29歳層においても30代層においても、7割の遊技者はX(旧Twitter)をパチンコ・パチスロの情報収集や発信に利用していない。パチンコホールは、「Xで情報を届けられるのは、遊技者の一部に過ぎない」という前提のうえで活用する必要がある。
そうなると、遊技者は「パチンコ店の新台入替や設置機種の情報」をどこから入手しているのだろうか?
結論は、「情報入手経路は実に多岐にわたり、『ここだけ押さえておけば大丈夫』と言える決定的なものはない」となる。だが、もっとも重視しているものをひとつだけ選んでもらった結果からは、「店内」「店頭」の重要性が確認できた。
パチンコ店の新台入替や設置機種の情報の入手経路でもっとも重視しているものとして、回答率が高かったのは「店内」(13.7%)、「店頭」(8.1%)だった。「店内+店頭」で21.8%となるが、「ブログ、SNS」はわずか4.0%にすぎない。先述の通り遊技者の6割はパチンコ・パチスロの情報収集や発信にSNSを利用していないので、妥当な結果と言えるだろう。「ブログ、SNS」のほか「スマホアプリによる店舗Webページ検索」「パソコンによる店舗Webページ検索」「配信メール」の4つを合算しても17.4%で、「店内+店頭」には及ばない。
参考までに男性30代層を見ると、やはりパチンコ店の新台入替や設置機種の情報の入手経路でもっとも重視しているものは「店内」(10.1%)、次いで「店頭」(7.2%)で、「ブログ・SNS」(5.0%)を上回った。
適切にターゲティングされたSNSによる店舗プロモーションが、情報感度が高くフットワークが軽い遊技者の行動を変えることは間違いないが、それはパチンコ・パチスロプレイヤーのごく一部だ。SNSによるプロモーションを軽視すべきではないが、情報発信の経路として「店内」と「店舗」がSNS以上に重要な役目を果たしていることを改めて理解していただきたい。そして、「店内」と「店舗」で有効に情報発信できているか再点検していただければ幸いだ。
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調査レポート書籍『パチンコ・パチスロ プレイヤー調査 2023』では、本記事では触れられなかったパチンコ・パチスロプレイヤーの遊技実態を、性年代別などの基本クロス属性のほか遊技頻度などのさまざまな切り口でグラフ化し多数掲載している。購入については弊社へお問い合わせください。
書籍 『パチンコ・パチスロ プレイヤー調査 2023』概要
▶調査期間 2023年2月
▶調査対象 全国の男女18歳~79歳、サンプルサイズ4万1515
▶調査手法 市場調査会社のモニターを対象にしたインターネット調査
▶企画設計 シーズリサーチ、エンタテインメントビジネス総合研究所(EBI)、アミューズメントプレスジャパン(APJ)
▶ページ数 229頁
*本書籍の概要および購入注文書はこちらをご参照ください。
たなかつよし/(株)アミューズメントプレスジャパン 執行役員専務/広告代理店、マーケティングリサーチファーム(消費者調査部門)を経て(株)アミューズメントプレスジャパン入社。シーズ、EBIとの共同企画調査『パチンコ・パチスロプレイヤー調査』に参画している。