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2018年03月16日
No.10000554

RCPG
レスポンシブル・ゲーミングを提唱
世界基準のギャンブル等依存症対策を

レスポンシブル・ゲーミングを提唱
講演したRCPGの西村代表理事

ギャンブル依存問題分野に特化した非営利団体として昨年9月に設立された一般社団法人RCPGが2月28日、都内でセミナーを開催。西村直之代表は世界のゲーミング事業者が経営の中心に置いている「レスポンシブル・ゲーミング」の考え方を提唱した。

セミナーのテーマは「全ての関係者に絶対知ってほしいギャンブル依存問題の全体像」。第一部の基調講演ではRCPGの西村直之代表理事が講演した。

西村代表は統合型リゾート(IR)推進法成立以降、政府が進めているギャンブル等依存問題対策の議論について言及し「世界とはどんどんかけ離れていっているのが現実。これは私の単なる思い込みなのか、世界の人たちがそう言っているのかを確かめたいと思い、去年からこの組織を立ち上げ、世界の依存問題対策の研究者たちと意見交換をしてきた」とRCPG設立の経緯を説明した。

西村代表はギャンブル依存症という言葉について「世界の医学的な診断基準において、今日まで『ギャンブル依存症』という病名が定義されたことは一度もない。今後も依存症と定義されることはないだろう。ギャンブル等依存症は国内では政治用語であり、医学用語ではない」と指摘した上で、「むしろこれに置き換わる言葉としてプロブレム・ギャンブリングまたはギャンブル障害という言葉が登場している」と述べた。

さらに、ギャンブリングという言葉自体が依存問題対策の障壁となっていると指摘。「支援をしていく中でプレイヤーの人たちが受け入れやすい言葉にしていかないと対策の意味がないというのが世界の研究者の考え。そのなかでギャンブリングという言葉をゲーミングという言葉にしていこう、さらにはプレイという言葉にしていこうと発展的変化を遂げている」とし、世界の研究に基づいた対策の変化については、「これまではギャンブリングから離れることが問題解決の第一歩で、ギャンブリングの抑止が最良の手段とされていたが、これは重度の依存したプレイヤーをモデルとした古い考え方」と指摘。現在の世界の考え方はギャンブリングの自己管理が問題解決の第一歩であり、個々の問題背景を踏まえた目標設定が有効で、顧客保護や多様な支援が最も効果のある支援という方向に変化していると説明した。


依存問題対策で日本は近代化できるか

西村代表は続いて、世界の潮流になっているレスポンシブル・ゲーミング(Responsible Gaming)という考え方について説明した。

レスポンシブル・ゲーミングとは、文化や地域を超えて広がっている概念。ギャンブリングには、ギャンブリングそのものが持つプレイヤーのリスク、商業化によって起きる「のめり込ませる」リスク、管理している国がのめり込み対策をするリスクの3つのリスクがあると指摘した上で「かつては公害と同じ考え方で、問題が起きた人や、被害を受けた人に対して、行政指導や救済制度等をつくる形で問題を収束させる対策を行ってきた」とこれまでの対策の問題点を示した上で、世界の潮流の変化をこう指摘した。



「ゲーミング産業がアジアの経済発展の大きな原動力になっていくときに、かつてアンダーグラウンドだった賭博が、まっとうな産業として娯楽を提供していくというビジョンで動き出した。その結果、社会的な存在価値が向上してきた。そうなると、問題発生の予防と安全や、いままでギャンブリングの免疫がない人たちに安全に遊んでもらうことなど、地域産業として持続的に発展するための社会貢献にならなければいけないという考え方に変わってきた」

「これまでは、対策の焦点が、起きてきた問題や問題を持った人、または今後起きてくる問題、いわゆるプロブレム・ギャンブリングだったが、いまはレスポンシブル・ゲーミング、いわゆる責任あるゲーミングという対策に世界が大きくシフトしている。日本がいまやっている議論は残念ながらまだその手前。IRの議論が投げかけている黒船の議論においては、実は世界はこうして動いているが、さて日本は近代化しますかということが問われている」

西村代表は、世界のゲーミング事業者と研究者が実践している取り組みとして、「彼らはゲーミングへの参加を前提にした対策がとても有効だということを見つけた。それは娯楽に関する情報提供やリスクの明示。危ないですよという恐怖教育ではなく、この遊びはここういう遊びですよと、むしろ遊び方教育をして、プレイヤーを育成する。これは依存問題対策としては正しい。のめり込んでいても問題が起きない、あるいは個人の選択の範囲でリスクを引き受けられる範囲であれば、それ以上悪化しないようにすればいいし、問題が起きにくい。世界の研究者たちは、安全に遊んでもらえる割合を高めることで娯楽産業の社会的存在価値を上げていくことが可能だということを示したのです」と説明した。


今後求められるサステナビリティ

西村氏は最後に、コーポレート・サステナブル・レスポンシビリティ(CSR)という言葉にも言及した。

「CSRという言葉をコーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ(企業の社会的責任)と認識している人は世界からだいぶ遅れている。いまはコーポレート・サステナブル・レスポンシビリティ。社会関係の価値追求と事業活動そのものを統合させたさらに先のリスクマネジメントの徹底と、事業発展のために社会とともにどう歩むべきか。そのための自己抑制をどうするか。これがレスポンシブル・ゲーミングと同じ意味を持っているのです」

パチンコ産業が取り組んでいる依存問題対策については、「レスポンシブル・ゲーミングの要素を日本で一番早く取り入れた先進的な取り組み。海外で話をすると、とても評価が高い。一方で課題はサステナビリティの視点。自分たちだけではなく、どうやってヨコの社会と広がりをつくっていくかだ」と提言した。

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