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2018年05月29日
No.10000646

原則屋内禁煙で変わるホール環境
受動喫煙対策店が示す業界の今後

政府が受動喫煙防止法案を国会に提出し、いよいよ我が国においても原則屋内禁煙となる流れになってきた。では、タバコとの親和性が高かったパチンコホールはピンチと捉えるのか、チャンスと捉えるのか。対応が注目される。



3月9日、政府は健康増進法の一部を改正する受動喫煙防止法案を閣議決定し、同日付で国会に提出した。可決された場合は2020年4月1日に施行される。同案でのパチンコホールの扱いは、原則屋内禁煙で喫煙専用室の設置が可。つまり遊技フロアは禁煙となる。なお厚生労働大臣が指定した加熱式たばこに限っては、科学的知見の蓄積を行う当分の間の措置として、加熱式たばこ用の喫煙室(遊技や飲食が可)を設置できるとされた。

対象施設(パチンコホール)には喫煙禁止場所(遊技フロア)に灰皿などの喫煙器具の設置が禁じられるほか、遊技フロアで喫煙者を見つけた場合に、当該人に喫煙の中止または遊技フロアからの退出を求める努力義務が課せられる。都道府県知事等による指導や勧告、命令をもって違反の改善が見られない場合は、過料の罰則が適用される。

法案提出当初は、今国会での法案成立を見込んでいたが、森友問題などの影響で審議は大幅に遅れている。重要法案と位置づける働き方改革関連法案やカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案などもあり、成立は先送りされそうだ。
 
その一方でオリンピック開催を控えた東京都は4月20日、新たな受動喫煙防止条例案を打ち出した。強調したのは受動喫煙を防ぎにくい環境にある「働く人」と、健康被害を受けやすい「子ども」を守ることを重視した点。施設の面積で線引きした政府案と違い、都の条例案は従業員がいれば原則屋内禁煙となる。都内飲食店の84%が規制対象になる見通しだ。ただし、店内に煙を遮断した喫煙室を設ければ喫煙を認め、都が設備費用を助成する。都は市区町村の意見を聞いたうえで、6月開会の都議会に条例案を提出して2020年の全面施行を目指す予定だ。

どちらにしても遊技スペースでタバコが吸えなくなった場合、多くのパチンコホールは新たに喫煙ブースを設けるか、既存の休憩スペースなどを喫煙場所に変更するといった対応が求められる。

喫煙ブースを設ける場合、タバコの煙を禁煙エリアに漏らさないように、開口部の境界風速を一定以上に保ったり、喫煙者への配慮として喫煙ブース内の粉塵濃度を一定以下に抑えなくてはならない。また、消防法の観点から排煙口の増設やそれに伴う設備上、構造上の変更が必要なケースも出てくる。

そうした事態を避けるために日遊協は、一昨年11月に厚労省、昨年2月に自民党厚労部会、3月に同党たばこ議連、9月に加藤勝信厚労大臣の各ヒアリングに出席。12月には厚労省の担当審議官らと意見交換した。それらの場では業界の現況を説明した上で、①経過措置(5年程度)、②加熱式たばこの取り扱いについて、③喫煙専用室の設置における要件緩和と助成などの意見・要望を提出してきた。だが、今回の法案や条例案を見る限り、業界の意向は反映されていない。


ホール内全面禁煙に向け
ダイナムが受動喫煙対策店

遊技フロアを全面禁煙とし喫煙室を設けるという今回の受動喫煙防止法案のスタイルで営業してきたパチンコホールはこれまでもあった。ダイナムでは『信頼の森』、マルハンでは『昭島店』『なんば新館』『梅田店』がそうだったが、それぞれグランドオープン時からのコンセプトだったため、設備・構造の変更は必要としなかった。



参考になるのがタバコの吸える既存店を全席禁煙にして、喫煙専用室を設けた受動喫煙対策店『ダイナム宮城仙台一番町店ゆったり館』だ。昨年12月26日にオープンした同店のコンセプトは、「たばこを吸う人も吸わない人も快適に」。

完全分煙を実施するため、12月に二度店休してリニューアルオープンさせた。商店街に面したビルイン型店舗で、都内で条例が施行された場合の試験店として最高の環境と言える。

店内には約10人が利用できる19平方メートルの大型喫煙ルームを完備。喫煙者の居心地の良さを考えて、喫煙ルーム内にはソファー、腰掛け椅子などを設置している。また、店内には空気清浄機を導入し、ホコリや花粉対策を施すなど徹底した店内空気環境の改善に取り組んだ。

リニューアルにあたり苦労したのは、換気システムの変更だ。ビルイン型のため勝手な構造変更ができない。喫煙ルームの煙や粉塵を逃がす場所の確保が難しく、同店では換気システムを変えた際に煙がトイレや別フロアにいってしまうなどの問題が発生した。

「喫煙ルームの粉塵と一酸化炭素をうまく排出するには試行錯誤が必要だった。いずれ必要になるリニューアルですから、早い段階でノウハウを獲得できたことは良かったと思います」

同店ではほかにも壁や天井、分煙ボード、遊技台を5日間にわたってクリーニング。遊技椅子はすべて新調することになった。

離席を示すカード。空き台と区別できる


ダイナムは、完全分煙化実施にあたり、来店客に対して喫煙に関するアンケートを実施した。
「ヘビースモーカーだが、遊技中はキレイな空気が良い」(40代男性)
「自分のタバコは良いが他人のタバコの煙は気になる」(30代女性)
「加熱式タバコに切り替えてから、普通のタバコのニオイが嫌だ」(50代男性)

アンケートの結果、喫煙者でも非喫煙者と同様にタバコのニオイを嫌がる傾向があることがわかった。加えて、同店では喫煙者の1割以上が加熱式タバコを利用。完全分煙にすることが、喫煙者・非喫煙者の双方にとって良いことだと判断した。

「完全分煙化したことで、タバコのニオイを気にする女性客やノンユーザーの方にも気軽に立ち寄っていただける環境になりました。パチンコに興味はあるけど、入りにくいと考える方は、トイレを借りに来るくらいの気持ちで入店していただければと思います」


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