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2018年07月20日
No.10000732

ホールの19年卒採用 ダイナム
親和性の高い社員を見極める
過去データをもとにマッチング

親和性の高い社員を見極める
19年卒向けインターンシップの一幕。PB機「ごらく」の開発案を学生たちが発表した

ダイナムの19年卒採用の課題は、会社との親和性を感じる人材の採用。つまり入社後に離職しにくい人材の採用だ。目標達成のためにこれまで蓄えたデータを活用し、地方での採用活動を積極化させている。

ダイナムは、過去の採用関連データを最大限に活用して19年卒採用を進めている。その最たる例が、「入社後に活躍している社員の傾向」に照らし合わせた採用基準だ。設けた基準は「田舎生活が苦ではない」「パチンコ・パチスロユーザーであるか」「接客.サービス業の経験」の三つ。これらは、ダイナムで現在活躍している多くの社員の共通点だった。

この中で特徴的なのは、「田舎生活が苦ではない」だろう。これは全国にホールを展開し、郊外店が大半を占めるダイナムならではの基準だ。地方への赴任は事前に十分な説明を行った上で、本人から承諾を得て任命しているが、田舎暮らしを経験したことがない首都圏出身者には転勤してからでないと分からないことも多い。

「田舎暮らしへの不満を、仕事の内容以上にストレスだと捉える人が少なくありません。例えば最寄りのコンビニまでのアクセスや、周辺の娯楽施設の乏しさといったことが挙げられます。早期に離職してしまった首都圏出身者の退職理由を分析すると、これらを理由としていた人が多いことが分かりました」(採用担当者)

「パチンコ・パチスロユーザーであるか」という基準も興味深い。ノンユーザーだった社員の中にも優秀な社員はいるが、過去の採用関連データによれば、ユーザーだった社員の方が役職者への昇進スピードが早く、早期離職者も格段に少ない傾向が見られた。ただし、若年ユーザーはそもそも絶対数が少ないため、一つの目安としているという。

こうしたデータ分析は、合同企業説明会への出展を決定する際にも非常に役に立つ。「田舎生活が苦ではない」学生と出会うためには、首都圏開催よりも地方開催の方に力を入れればよいと判断できるからだ。

ダイナムが首都圏での出展を控える理由はもう一つ。新卒採用市場のレッドオーシャン化が進んでいることから、首都圏での出展に費用をかけても従来のような効果は得られないと考えたからだ。過去10年間の採用関連データから出展場所や時期と効果を検証したところ、同社にとっては地方での採用活動の方が費用対効果が高かった。

「過去のデータはマッチングの精度が高い学生と出会うヒントを示してくれます。19年卒では前年実績の半数程度が採用目標ですが、単純に採用コストを圧縮して数を揃えるのではなく、精度が高く辞めにくい学生を厳選して採用する必要があります」(採用担当者)

7月7日に業界最多の406店舗目としてグランドオープンした『ダイナム山形天童店』。
こうした地方の郊外店での勤務を苦としない人材を採用基準のひとつとしている



親和性は会話から見抜く

選考活動で重要視していることは就活生との”会話“だ。ダイナムは1次選考、2次選考、最終選考のすべてで個別に面接している。面接時間はいずれも1時間が目安。学生の考え方や物事の捉え方を汲み取るために、最低限必要な時間だという。

1次選考では会話の中から社会人としての礼儀や基礎力、個性(長所)などを見つつ、パチンコ・パチスロの理解度や、学生時代に熱心に取り組んだものを聞いている。

続く2次選考では、学生時代に熱心に取り組んだものなどについて深掘り。それのどこに惹かれたのか、取り組んで何を得たのか、得たものは何に生かせるのかなどを、会話を通じて引き出していき、入社後のキャリア形成を面接官とともに考えていく。

最終選考の主な目的は意思確認だ。同社の場合、最終選考まで残るほとんどの学生は、ホール業界での就業を第一志望としている。なおかつ親和性が高い学生を選考していくため、同業他社と比べて内定を辞退されることは少ないという。データと会話による採用手法が奏功していると言えそうだ。


インターンでもデータ活用

ダイナムはインターンシップにもデータ分析を反映させている。19年卒向けのインターンシップは昨年6月から開始。プログラム内容は、学生の動向や時期に合わせて段階的に変更している。

志望先の業界をまだ絞っていない夏頃には、学生にプラスとなるビジネススキル講座を実施。社員向けの研修素材を使ってロジカルシンキングなどを身に着けさせる。秋からのインターンシップではプログラム内容をパチンコユーザー向けとノンユーザー向けの2種類に分け、ユーザー向けにはダイナムが取り組むPB機「ごらく」の開発をテーマに実施した。学生がアイデアを出し合いながら、未来のパチンコ開発を行うものだ。

これは志望業界をホールに絞り始めた学生に対して、ダイナムに興味を持ってもらう施策で、他社との差別化を図るのが目的だ。一方、ノンユーザー向けには企業選定のアドバイスが中心。社内制度や福利厚生など学生が気にする労働環境を詳しく説明する。女性に人気のあるプロの講師を招いてのビジネスマナー講座も行っている。

就活が本格化する冬以降は、ビジネス講座などに加えて会社説明会も実施。ホール業界に興味を持つ学生に対して、同社での働き甲斐や企業理念などをアピールする。インターンシップの参加者は19年卒で500人ほど。そこから選考に進む学生は20%強で、例年インターンシップを経由して選考に進んだ学生の10%が入社につながっているという。

「採用後の課題としては、幹部候補となる女性の育成が挙げられます。そのためにも19年卒採用では、女性に重点を置いて採用する計画です」(採用担当者)


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