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2018年09月05日
No.10000793

幕張新都心MICE・IR推進を考える会
IR整備法の概要と論点
推進会議委員の丸田氏(あずさ監査法人)が解説

幕張新都心MICE・IR推進を考える会(中村俊彦・藤田武共同代表)は8月20日、幕張メッセで勉強会を開催。講師に政府の特定複合観光施設区域整備推進会議の委員を務めているあずさ監査法人/KPMGジャパン IRアドバイザリーグループの丸田健太郎氏(公認会計士)を招き「IR整備法の概要と論点」と題した講演が行われた。

丸田氏はまずIRの収益構造を説明。IRにおけるゲーミング収入の比率は、シンガポールのマリナベイ・サンズでは80%、マカオのベネシアン・マカオでは84%。これ対し、カジノ以外のエンターテインメントを充実させて観光都市に発展したラスベガスでは総じて低く40%程度。

日本型IRの事業モデルについて、丸田氏は「ノンゲーミング比率をどの程度に想定するのか、日本国民からの収入の比率はどうなるのかがポイントになる」と指摘。
「ラスベガスのようにゲーミング収入とノンゲーミング収入が同程度になることが期待されているかもしれないが、それは非常に難しい。ラスベガスの場合はひとつの街に複数のIRがあり、街としてさまざまなエンターテインメントのコンテンツがある。ノンゲーミング施設は多くの投資コストがかかるため、地域に1つのIR事業者しか認められない日本の場合、多くのノンゲーミング施設を作るのは難しい」(丸田氏)

さらに、ゲーミング収入に占める日本人客と外国人客の比率に言及し、依存症対策など講じて健全に遊んでいただくという前提でも、ゲーミング収入の7割~8割が日本人客から、という試算を紹介。「外国人客による収入が2割~3割でよいのかという議論もあるだろうが、TDLでさえインバウンド比率は9%しかない。ゲーミング収入におけるインバウンド比率をこれ以上に高めることが現実的と言えるのか。この点は、IR誘致をする自治体の中で必ず論点になるだろう」と指摘した。

IR開業までには、国、都道府県、事業者のそれぞれがやらなければならないことがあるが、国の「カジノ管理委員会」の発足は来年6月頃が見込まれている。その後、「基本方針」が策定・公表される。

都道府県はそれまでの間、参入意向のある事業者に対するRFI(情報提供依頼)、RFC(事業構想公募)など事業者との対話を重ね、「基本方針」で認定基準が示されると、それに従ってIR事業者の募集・選定手続きなどを定めた「実施方針」を作成する。これを公表し、事業者選定に入るのが、早くて2020年初頭。事業者を決定し、共同して「区域整備計画」を作成し、都道府県の議会決議および立地市町村の同意を経て、国に対して区域認定の申請を行う。

国が、都道府県から提出された計画を検討し、「区域認定」をするのは、早くて2021年中旬以降になるだろうと、丸田氏は見込んでいる。結果として、カジノ免許付与、完成検査を経てIR(のカジノフロア)が開業するのは、2024年内~2025年というのが丸田氏の予測だ。

IR整備法の重要論点の解説をした上で、誘致を検討している地域への提言として、丸田氏は「自治体、地元経済界、地元住民による強力な支援と合意形成」「候補地の確定と権利関係、参入条件の早急な確定」「事業参入促進(国内・地元事業者の地元コンソーシアムの組成、外資系カジノオペレーターの誘致)による競争環境の醸成」などを挙げた。


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