特集記事

特集記事内を

2019年01月28日
No.10000998

新時代へ歩み出す麻雀業界
全方位に向けたファン増加策へ

麻雀ゲーム料金の市場規模は2017年、前年比2%増の500億円だった(レジャー白書2018)。微増したものの過去最低だった前年と同水準で、雀荘店舗数、参加人口ともに減少傾向にある。それでも麻雀業界は昨年、新時代に向けた大きな動きを見せた。この胎動は市場再興の起爆剤になるのだろうか。


麻雀業界では2018年、歴史に残る大きなプロジェクトが実を結んだ。一般社団法人Mリーグ機構の発足だ。賭け麻雀との決別を図り、業界に漂うマイナスイメージを払拭すること、麻雀プロの経済基盤を安定させることを大きな目的としている。

昨年7月のMリーグ設立記者会見で藤田晋代表理事は、麻雀のプロスポーツ化を宣言。「ゴールの一つは麻雀をオリンピック競技にすること」と述べ、麻雀が22年に行われる北京冬季五輪の室内競技に採用されるように、頭脳スポーツとしてのイメージを確立し、健全で安全な麻雀の環境整備に努めていくことを明らかにした。

高度な思考能力を必要とする頭脳スポーツ(マインドスポーツ)としては囲碁や将棋などがある。麻雀は偶然の要素に左右されるため、正式な競技としての国際大会は行われていない。しかし偶然の要素を含むポーカーが例外的に採用されていることを考えれば、可能性は十分にあるだろう。

昨年10月に開幕した「大和証券Mリーグ」では、選手に最低400万円以上の年俸が支給される。大会賞金で生活設計することが極めて難しい麻雀プロにとって、画期的なことだ。活躍の場と同時に、副業に頼らない経済基盤が得られるため、Mリーグ選手を目指す麻雀プロ、ひいては麻雀プロを目指す人たちを増やすことにも繋がっている。

一方で、こうした枠組みができてもファンの人気がなければリーグは継続できない。MリーグではWebやアプリで即時観戦できる仕組みを整え、一部の試合ではパブリックビューイングを実施。高頻度の露出の結果、これまでプロ麻雀に無関心だった人も関心を持ち始めている。麻雀プロが魅せる奥深い打ち筋や鋭い判断は、さらにファンを夢中にさせる。

麻雀業界に起きた胎動は政治の世界も動かした。18年の年の瀬には、自民党に「頭脳スポーツとしての健全で安全な麻雀を推進する議員連盟」(仮称)が設立。健全な環境のもとで頭脳スポーツとしての麻雀が普及・振興し、国民の健康と幸福の向上に寄与することを目的に挙げている。




ファンづくりのために

一方で麻雀ゲームを提供する雀荘は、厳しい経営環境が続く。17年の市場規模は過去最低水準の500億円。参加人口は前年比横ばいの500万人で、店舗数は同4・8%減の8736軒だった。市場規模は過去10年で半減、最盛期の4分の1以下だ。1人で遊技できるパチンコ・パチスロに比べて、集客の障壁も高い。

こうした中、雀荘運営者はファンづくりのためにさまざまな取り組みを始めている。その一つが「健康麻雀教室」だ。健康麻雀とは、日本健康麻将協会が約30年前から推進してきた「賭けない、飲まない、吸わない」麻雀のこと。設備環境を整えた全国約150店が教室を開催するようになっている。

同協会の名誉会員に名を連ねる諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授は、脳科学の見地から麻雀の認知機能に対する効果を認め、「介護予防に役立ちうる」と述べている。こうした発信も相まって、健康志向の強い高齢層が麻雀の醍醐味を享受している。

他方、若年層に向けた取り組みも盛んだ。学生でも手軽に遊べる場所となるために、大手チェーン店の低料金化、麻雀アイドルの創出、コスプレやRPG風の独自ルールを採用するコンセプト店などが現れ始めている。女性向けにはインスタ映えするハイコンセプトな雀荘が登場。BAR風のカウンターでシャンパンやワインが提供されるなど、新たな女子会スポットとなっている。

麻雀アイドルユニットのメンバーである『麻雀ZOO』の森上南さん

コスプレスタッフと打てる『あきば雀荘てんぱね ‐teMpane‐』

人気を創出するのは雀荘だけにとどまらない。家庭用ゲームやゲームアプリは初心者でも気軽に楽しめ、ゲームでルールを覚える人も多い。ネット環境が整った現代では、「セガNET麻雀 MJ」「麻雀格闘俱楽部」などのネットワーク対戦も大いに盛り上がっている。

麻雀を題材にした人気漫画も多い。『天 天和通りの快男児』『咲‐Saki‐』をはじめ、生み出された多くの関連作品群は、対象世代の関心を強く惹き付けてきた。

さらに近年は麻雀そのものがコンテンツとして消費されている。動画共有サイトでは、対局を観戦する人が急増。実況や解説を含めた「観るジャン」が確立された。麻雀動画をアップロードする「夜桜たま」も、人気を後押しする火付け役の一人だ。

Mリーグの発足を機に次なるステージに向かう麻雀業界。従来の大衆文化に起きたブームが一過性で終わるのか、新たな大衆文化へと再構築されるのか。麻雀業界のこれからに注目したい。

Mリーグではパブリックビューイングが行われる ⓒM.LEAGUE


関連記事