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2019年02月25日
No.10001042

2018年の新規出店動向
未来を見据えた大型リニューアルも

昨年12月にリニューアルオープンした『フィエラ ディ プローバ』(広島市

年々減少しているホールの新規出店だが、2018年は100軒を少し超える程度と、稀に見る少なさだった。規則改正により、先行きへの不透明感が払拭できない状況が続いたことが大きな要因だった。今後の新規出店はどうなっていくのか。昨年の新店のトレンドを探った。


2018年はこれまでにないほど新規出店が少ない年となった。全日遊連が調査している月別の営業店舗数調査によると、昨年11月の新規出店はゼロ。この調査結果を公表した定例会見で、全日遊連の阿部恭久理事長は「調査を開始して以降、新規出店が1軒もなかったのは記憶にない」と語ったほど、出店の少なさが際立つ年だった。 
 
その最たる理由は規則改正の影響だろう。新規則が施行されたのは2月だが、18年中に市場に供給された新規則機は少なく、特にパチスロの6号機はわずか数機種。それも秋以降になってようやく最初の機種が出始めた状況だった。   

新規則機が増えていけば、売上や粗利のダウンが予想される。ダウンすることも問題だが、もっと問題なのは、それがどの程度下がるのかが見えないことだ。新規則機がどの程度ファンに受け入れられるか、どの程度の売上や粗利になるのか。ある程度予測がつかなければ、出店後の収益シミュレーションや償却期間などの目途が立てにくい。

さらに、新規則機の割合が増えていけば、適正な設置台数やPSバランスなども変わっていく可能性がある。例えばパチスロで5号機が出始めた当初のように、一時的にパチンコ増台を考えなくてはならなくなるかもしれない。もちろん、その逆も考えられる。現状の経営環境下の延長上で店づくりをしたものの、すぐに大規模な設備変更が必要になったとしたら、非効率だ。

阿部理事長は「これまでは(多少の経営環境の変化があっても)、予定していた新規出店をそのままオープンするケースもあっただろうが、現在は様子を見ざるを得なくなっているのではないか」と語ったが、弊社が調べただけでも、オープン予定を遅らせる判断を取った法人は複数あったようだ。

そんな中で目立ったのが「居抜き出店」の多さだ。矢野経済研究所の調べによると、2018年の1月から12月までの新規出店数は119店舗(新築および別法人の居抜き取得件数を含む)だったが、このうち居抜き出店が107軒。近年、新店における居抜き出店の割合は年々高まってきたが、昨年はその割合が9割にまで高まった。

正確に言うと「居抜き出店が多い」のではない。17年も16年も居抜き出店数は120店舗前後だった。つまり、18年は居抜き出店の数は例年並みだったが、「新築」での出店が極端に減ったため、居抜き出店比率が高まったのだ。

新築物件が減った要因はいくつか考えられる。当然、新築の方が居抜き出店よりもイニシャルコストが高い。前述したような先行き不透明な環境下では、リスクを極力抑えた出店形式を選ぶのは当然のことだろう。

矢野経済研究所の高橋羊氏は新築物件が少なくなった理由を2つ挙げる。一つは、新築での「出店基準」がシビアになったことだ。

「規模的、立地的要件で、求められる水準が年々高くなっている。より人口集中地域に近い場所、1000台を超える台数、駐車場充足率も7割以上などとなってくると必然的に出店地は限られてくる」

もうひとつ、高橋氏が指摘するのが新築物件のイニシャルコストの増加だ。2020年の東京オリンピックに向けた建築需要の高まりで、建材費や人件費が高騰し、新築ホールの建築コストも高まっているからだ。

それに加え、各台計数機や分煙ボードなどパチンコホールで必須になった設備も増えた。内装費用などを考慮すると、台当たりのイニシャルコストは以前と比べて1・5倍程度に増えている。そのイニシャルコストに見合うような店ができるかの確証が持ちづらいのだろう。

とはいえ、新築の新規出店数は昨年、もしくは今年が底で、今後は徐々に増えていくとみられる。新規則機がある程度市場に供給され不透明感が払しょくされれば、仮に今よりも売上や粗利が減ったとしても、それに合わせた投資の仕方、イニシャルコストのかけ方が検討できるからだ。

今後、勝ち残っていくためには一定の規模も必要だ。居抜き物件でのM&Aなども同時に進んでいくだろうが、既存店のスクラップ&新築のビルドに目を向ける法人は増え、結果的に新店も増えていくだろう。

「一定規模に満たない店舗が閉鎖に追い込まれている”事実“を考慮すると、既存の中規模の店舗を大型化していくような建て替えを検討せざるを得ないのでないか。それができる法人が勝ち残り、逆に、それができない店舗は淘汰されていくのではないか」と高橋氏は指摘する。


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