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2019年11月12日
No.10001444

最低賃金
東京・神奈川で初の1000円超え
全国平均も900円台、人手不足に追い打ち

飲食店でもホールと同程度の時給を提示するようになってきた

東京と神奈川で先月から最低賃金が1000円を超えた。他業種の時給アップは、これまで魅力だったホールの高時給に接近。慢性的な人手不足が続く中、パート・アルバイトに働き先として選んでもらうことがいっそう難しくなるのかもしれない。


消費税10%が適用された10月1日から順次、各都道府県の最低賃金額も引き上げられた。都道府県別では東京と神奈川で初めて1000円超え。全国平均額も初めて900円台となった。しかし全国平均額を上回るのは、労働人口が多い埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪の7都府県だけ。これらを除いた40道県は全国平均額を78円程度下回る。

ただし今後も、最低賃金の上昇は続いていきそうだ。政府は全国平均で時給1000円にまで引き上げる目標を掲げており、省庁横断の検討会も立ち上げる予定だ。この検討会では最低賃金アップが重荷になる中小企業への支援策を立案しつつ、年3%以上の引き上げを続けて早期達成を目指していく。

一方、パチンコホールのアルバイト・パートの時給は、それほど上がっていない。むしろ過去と比べて下がっているホールもある。他業種との時給格差は縮まっており、高い時給を魅力にホールを選ぶ労働者は減っていくかもしれない。

とはいえホールが時給アップで対抗するには厳しい状況だ。今回の時給増加分(約27円)をもとに計算すると、ひと月(1日8時間・月23日勤務)で約5000円の人件費アップとなる。同時に既存パート・アルバイトの時給もある程度上げなければならないため、企業の人件費負担はさらに膨らむ。ホールが平均上昇分を積み上げても、他業種より魅力的に思ってもらうほどの賃上げとはならないだろう。

最低賃金の引き上げによって、厚生年金に加入するパート労働者が増える企業も出てくる。厚生年金が適用されると労使で年収の18.3%という報酬比例の保険料の負担が生じる。最低賃金が時給1000円の場合、大企業で週に5日、1日4時間程度働くと厚生年金の加入対象になる計算だ。時給800円の場合に比べ、厚生年金の要件を満たす1日の労働時間は1時間短くなる。

最低賃金の上昇は労働者にとっては喜ばしいことだが、企業にとっては、さまざまな点で負担が増えることになる。

こうした状況にどう対処すればいいのか。先進的なホール企業では、時給以外の働きがいを創出することで人手を確保するとともに、人手が少なくなっても対応できるような仕組みづくりを進めている。

「現在の人員配置が適切か、無駄な残業をなくして、就業時間や仕事効率を上げていきたい」
「省力化・自動化システムに設備投資をしていきたい。そして、時給の魅力だけではなく、働きがいや企業の魅力を高めて、それで選んでもらえるようにしていきたい」

消費増税や遊技機の入替、来年4月からの完全分煙への対応など、ホール経営にとって厳しい外部環境が続く。新しい人材が採りにくい今、既存社員の定着率を高めるために、働く環境の整備が重要になっていきそうだ。



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