2019年12月23日
No.10001511
No.10001511
「らくちんフィットネス長久手店」オープン
豊丸産業がフィットネス事業
元気な高齢者をもっと元気に!
パチンコメーカーの豊丸産業が新規事業としてフィットネス事業に参入した。10月23日、愛知県長久手市にシニア向けフィットネス&リフレッシュスペース「らくちんフィットネス長久手店」をオープン。元気な高齢者をターゲットに新しいビジネスモデルの構築を目指す。
名古屋市のベッドタウンとして開発が進む長久手市。「らくちんフィットネス長久手店」は東部丘陵線(リニモ)の『杁ヶ池公園駅』に直結するショッピングセンター「アピタ長久手店」の地下1階にオープンした。
SC内の通路からも見渡せる開放感のある約170平米のスペースは、フィットネスマシンエリア、マットが敷き詰められたリラクゼーションエリア、休憩コーナーに区分され、着替え用のフィッティングルームも備えた。
「らくちんフィットネス」のコンセプトは、「元気な高齢者をもっと元気に!」。ターゲットは、「アピタ長久手店」に買い物を目的に来店する人や、その家族の高齢者などだ。
豊丸産業では2014年から、介護・福祉の分野向けに「トレパチ!」などパチンコを応用した機器を開発・提供してきた。次のステップとして2019年5月、実際にユーザーのニーズを探るために新規事業準備室を開設。介護・福祉機器の販売先と業態が重ならない店舗型ビジネスを模索した同社の永野光容社長はこう語る。
「パチンコはいくつになっても楽しめる娯楽。自宅からなんらかの交通手段を使って出かけて、一定時間楽しめる。運動にもなるし、ストレス解消の場にもなる。同様の来店動機を別の業態でと考え、シニア向けのフィットネスクラブに行きついたのです」
導入機器の選定やフィットネスプログラムの構築にあたっては、運動療法士や理学療法士など専門家の意見を聞いた。ショッピングセンターの中に店舗を設けることで、買い物客がクルマで家族で来店し、買い物の間に高齢の親が一定時間運動をするといったシーンを想定したという。
社員2人とアルバイトで運営
店舗スタッフは、豊丸産業の新規事業準備室から2人が専従するほか、アルバイト10人がローテーションで勤務に入る。新規事業準備室のチーフ加藤信之さんはこれまで、遊技機の役物設計に始まり、知財・特許・渉外・ライセンス業務などに携わってきた。店舗ビジネスでお客様に接する仕事はもちろんはじめて。永野社長からの抜擢に「何事も新しい仕事は楽しそう」と新規事業準備室に着任したという。
「それでもまったく未知の世界だったので、何ができて何ができないかもわからない状況。いまでも日々わからないことが出てくる。大変なことは多いです」
「らくちんフィットネス長久手店」の利用料金は1日パスポートが1回1100円。3カ月単位の「らくちんパック」が通い放題で月額6600円。通い放題にボディケア施術(3カ月3回)が付くプレミアムパスポートが月額1万3200円(料金はいずれも税込み)。
入会するとまず、体成分分析装置を使って体重、筋肉量、体脂肪量などを測定。姿勢測定システムを使ってカラダのゆがみを解析。カラダを「見える化」してその人に合ったトレーニングメニューをカルテとして提供する。
フィットネスマシンは、様々な機器がある中から運動療法士のアドバイスなどを聞きながら選定。既存のフィットネスジムにあるマシンとは趣が異なり、白と黒のソフトな見栄えで、各人に合わせた負荷を適切に設定でき、高齢者でも馴染みやすい機器を導入した。
年内に会員数200人が目標
試行錯誤でスタートした「らくちんフィットネス」だが、オープン後1カ月の時点で会員数は約60人。会員の属性や利用者の行動状況なども見えてきた。ほとんどが50代以上で女性が7割。最高齢が84歳だという。
利用者の滞在時間は1時間から1時間半程度。来店するとまず、お茶(無料)を飲んでリラックスしてから血圧測定。その後はリラクゼーションエリアでのストレッチを20分~30分。その後マシントレーニングを20分程度。その逆で行う人もいる。メニューを一通り終えた後は、仕上げにフットマッサージ。3種類あるマッサージ機は、1台目で足を温め、2台目で足指をほぐし、3台目で土踏まずを圧迫。これだけで15分ほどを要する。
そして最後に再び血圧測定。運動後は血管が広がっているので血圧が下がる傾向にあるという。これだけのメニューをこなすと1時間から1時間半はあっという間。休憩コーナーには「元気はつらつトレパチ!テーブル」が2台設置されており、会員同士やスタッフを交えて遊んで帰る利用者もいるという。
すべてが手探りでスタートした豊丸産業の新規事業。こうした業態は女性専用の大手があるが、高齢者の男女をターゲットにした業態はほとんどないのが現状だという。永野社長は「この事業のミッションは、シニアの方々にいくつになっても動けるカラダをキープしていただくこと。その結果、元気な高齢者が増えてくれば、国の医療・介護予算を抑えることにつながる」と事業の意義をも語る。
現場を預かる加藤チーフは「1日あたり1人半増えている状況はありがたいと思っているが、それが正解かどうかもわからない。当面、年内に会員200人を最低目標として達成したい」と意欲を見せていた。