2020年06月09日
No.10001774
No.10001774
アミューズメントジャパン調査
「遊タイム」など期待8割
新解釈基準機 客滞や回遊の向上見込む
昨年末にパチンコの「技術上の規格解釈基準」が改正され、時短の上限回数や作動契機が見直された。これにより、遊タイムや突然時短といった新たなゲーム性が可能になった。アミューズメントジャパン調査で、約8割の回答者が新解釈基準機に期待を持っていることが分かった。
「技術上の規格解釈基準」の改正で変更された主なポイントは、①時短の作動回数の撤廃、②時短の作動契機の追加、③リミッターの種類の追加。これに日工組の内規を適用した「新解釈基準機」が、4月からホールに導入されている。
この新解釈基準機をホールはどのように評価しているのか。アミューズメントジャパンがアンケート調査を行ったところ、期待を寄せるとの回答(とても期待している+やや期待している)が77.1%に上った。具体的に期待すること(複数回答)について最も多かったのは「客滞の向上」(63.9%)だった。
「一度遊技したら大当たりまで投資するお客様が増えるはず」(東京都・店長)
「遊タイム発動の方が通常の大当たりよりメリットがある機種も作れる。粘るモチベーションにつながるはず」(愛知県・幹部)
次に多かったのが「パチスロとパチンコの回遊増加」で52.8%だった。
「パチスロは天井を搭載していることが遊技継続の大きなモチベーションになった。遊タイム機能を『天井』のように捉えるパチスロプレイヤーの回遊が期待できる」(関西・店長)
一方、気がかりなことを尋ねたところ、有利な状態に近い台ばかりを狙ういわゆる「ハイエナ客の増加」(88.9%)を懸念する声が多かった。次いで「遊技客の理解度」で44.4%だった。
新解釈基準機に関する情報量の差は、遊技結果に影響を及ぼしかねない。黎明期である今は特に、どのような遊技客でもフェアに楽しめるように準備を整えることが必要だ。
アンケートでは新解釈基準機のスペックやゲーム性を「どのようにお客に認知させていくか」を尋ねた。その結果、「スタッフの教育」「来店客への声掛け」など、マンパワーを活用したオペレーションを考えている回答が多かった。
「遊タイム搭載機」で
アフターコロナの回復を
今年上半期から「遊タイム搭載機」のホール導入が進むと思われていたが、新型コロナウイルスの影響で、メーカーのリリースが遅れている。さらに5月22日には、規則改正によって経過措置期間が1年延長され、パチンコ・パチスロ産業21世紀会は旧規則機の取り扱いを決議。検定・認定が切れる期日と、遊技機のスペックなどによって設置期限を定めるとともに、旧規則機の設置比率を毎月15%を目途に撤去していくことなどを決めた。
休業の影響などでホールの収益は大幅に悪化し、遊技機コストを抑えざるを得なくなった今、パチンコの入れ替え戦略を考える上でポイントとなるのは、どの旧規則機を残し、どのタイミングで遊タイム搭載機などの新規則機を導入していくか、というバランスとタイミングだ。
5月の規則改正後、旧規則機の増台を検討したホールも少なくなかった。例えば2400個の大当たり出玉を搭載し、最長で2021年11月まで設置できる機種などは増台の検討対象となった機種だった。ただし現時点では、それほど中古機価格は跳ね上がっていない。
「ワンボックス導入も検討したが、残りの設置期限なども考慮すると、今後リリースされる遊タイム搭載機に資金を投じたほうが効果的」(大手チェーン・幹部)
こうした意見に代表されるように、パチンコに関しては新規則機への期待感が高いことがうかがえる。
矢野経済研究所の石野晃氏は「今主力で稼働している旧規則機は、稼働や売上に貢献するという意味で安定性は高いが、店の力関係が如実に表れてしまうタイトルでもある。大型店が増台、強化し、主軸機として育成するという運用には有効だが、既に全国で多台数が導入されている点を考慮すると、現在の設置台数が明らかに不足していると感じているケースを除き、買い占めや高価で購入する必要はない」とアドバイスする。
5月中旬から営業を再開したエリアの動向を見ると、客足がなかなか戻らない状況にある。こうした中、「遊タイム搭載機」を新たなカンフル剤と期待する声もある。
「これまでのパチンコユーザーを呼び戻すためには、彼らに新たな刺激を与え、来店意向を高める必要がある。その最適なツールが遊タイム搭載機だと思っている」(関西地区)
「今後の営業で、優先的に取り込むべきはコロナによって遊技を中断してしまった常連客を取り戻すこと。そのためには『3密対策』を徹底した上で、新しい遊技性能を持ったパチンコをアピールしていきたい」(九州・幹部)
石野氏は今後のパチンコ営業を次のように見通す。
「6月は新台が1機種もないため、その施策は遊タイム搭載機が続々と登場する7月から開始しなければならない。その意味では、お盆商戦での回復を1つの目標とし、入れ替え戦略を含めた営業計画を立てるべきだ」