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2022年03月24日
No.10002707

特集 SDGsことはじめ④ シティコミュニケーションズ
店舗から広がるSDGsの輪
取り組むことが当たり前の時代に

店舗から広がるSDGsの輪
『ザシティベルシティ篠崎店』の荒井ストアマネージャー(右)と高関チーフ

神奈川を中心にホール13店舗を運営するシティコミュニケーションズ(横浜市)は、インターネットカフェやスパなど34ブランド65店舗を展開。これらの事業・店舗で、SDGsにつながる取り組みを行っている。同社がSDGsについて考えるきっかけとなり、企業の中心となってSDGsを推進している『ザシティベルシティ篠崎店』(江戸川区)で活動や今後について聞いた。

同社がSDGsに取り組み始めたのは、社内でその言葉が徐々に話題となり始めた2020年12月。SDGsに興味・関心を持ち、取り組む意思のある社員・パートナーが中心となり「SDGs推進委員会」を立ち上げた。


委員長を務める人事部の下風能太郎課長は「以前から行っている活動を結びつければ、SDGsの目標を達成するための取り組みになります。社内に情報を発信していけば認知も深まり、企業として、社員として、誇れる活動になると感じました」と立ち上げの経緯を話す。

委員会は月に一度のペースで開催され、活動状況の確認やSDGsに紐づけた新たな活動の提案などを話し合っている。パーラー事業部の各店舗や、各事業の活動に紐づけることで、一人ひとりが「なぜやるのか」、「この活動が何に繋がるのか」を考えるきっかけになる。同社は、社員・パートナーがこれまで無意識に行ってきた取り組みに、新たな価値が生まれることを期待している。

活動を社内外に発信することで、活動の意味を再確認し、やりがいを持って活動することもできる。社内でも関心を持つ人が増え、さらに活動の幅が広がると考えている。

下風課長は「これからの時代、企業がSDGsに取り組むことが当たり前になると思います。早めに取り組めれば評価されますが、取り組むのが当たり前になると、やっていないことがリスクにつながります。まだSDGsが売り上げに直結することはありませんが、それが取り組まない理由になるとは思っていません」と語る。

下風課長

社会では脱炭素など環境問題が注目されている。例えば製造業では、製造過程で環境に悪影響を与える製品が売れなくなったり、飲食業ではフードロスの観点で選ばれる商品が多くなったりする可能性もある。持続可能な社会を目指すSDGsには、将来的に企業の存続に関わるリスクもある。

店舗で取り組むSDGs自発的に行動する従業員も

画像上=篠崎店が取り組むSDGsの活動内容を掲示している
画像下=来店客にも見えるよう、店内に災害備蓄品を用意している

同社で積極的に取り組んでいるのが2015年にオープンした『ザシティベルシティ篠崎店』。これまでに、江戸川区花火大会などの地域催事への協賛・参画、子ども食堂への寄付、地域清掃活動など、地域に根差した活動を積極的に行っている。

同店の荒井秀次ストアマネージャーは、委員会が発足する以前から店舗でSDGsに繋がる活動を推進。オープン以来続けている活動をSDGsに紐づけ、店舗に勤務する社員・パートナーに活動する目的と目標を伝えてきた。

荒井ストアマネージャーは「SDGsについて理解していれば、子ども食堂への寄付ひとつ見ても、SDGsの1~3番目の目標に通じていることがわかりますし、取り組まなければならない意味も見えてきます。今では、どの活動がどの目標に繋がっているのかを理解して取り組めるようになりました。自発的に新たな取り組みを提案してくれるスタッフも増えて、うれしく感じています」と話す。

同店は20年11月、江戸川区と「帰宅困難者の一時滞在施設に関する協定」を締結し、防災備蓄品を備えた。日本で初めて防災備蓄品としてドッグフードやキャットフードも備蓄した。この災害協定を結ぶきっかけになったのは、社員からの提案だった。

災害協定を結んだ江戸川区の斉藤猛区長(左)と荒井ストアマネージャー

提案したのは同店に勤める高関チーフ。高関チーフは「SDGsについて学び、地域に必要とされる店舗を目指すにはどうしたらいいか考えることが多くなりました。近年、台風や豪雨などの災害が起こっていたので、万が一の時に自店を利用していただけることが地域の方々の安心につながるのではと思い、区と連絡を取って災害協定を結ばせていただきました」と経緯を話してくれた。

成功例を系列店でもSDGsを社内に広げる

委員会や篠崎店の活動から、系列店にもSDGsの輪が広がってきている

社員一人ひとりのSDGsに対する意識が高まった篠崎店。オープン以来取り組んできた活動で地域から必要とされる店舗へと成長し、協賛店は50店舗を超えた。コロナ禍で売り上げを落とすことなく営業を続けているという結果も残している。
荒井ストアマネージャーは現在、篠崎店だけではなく系列店舗のミーティングにも定期的に参加して、店舗でできるSDGsの必要性を伝えるなど、パーラー事業部全体にSD Gsの輪を広げようと尽力している。

最後に下風課長に今後の課題と目標を聞いた。

「篠崎店のような、SDGsに取り組み成功しているモデル店があるのは弊社の財産です。委員会を立ち上げてから一年が経ち、社内にSDGsが浸透してきているのも実感しています。今後は業務の一環としてやらされているという感覚から、自発的に行動する社員・パートナーを育てていくことが重要だと考えています。長いスパンをかけて、事業セグメントに関係なくすべての社員・パートナーが胸を張って働ける環境を作っていければと思います」

※『月刊アミューズメントジャパン』2022年3月号に掲載した記事を転載しました。


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