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2022年03月29日
No.10002727

特集 新規則時代の営業戦略② パチスロ展望
薄利多売で営業力を高める半年間
6.5号機までに店舗ブランドを創造する

薄利多売で営業力を高める半年間
うえだ・けんすけ ユニークワークス株式会社 取締役本部長。8年間、パチンコホール従事後、2009年ユニークワークス入社。12年間で累計1000店舗のホールに様々なサポートを行ってきた。パチンコシミュレーションも新たに開発し、現在はPS共にサポートを行っている。

5号機が撤去され6号機のみの市場になった。パチスロは依然、厳しい状況が続いている。この状況を耐えて、近い将来の巻き返しにつなげるため、そして、6.5号機の登場までに今、どんな準備をしておくべきなのだろうか。
文=上田健介 ユニークワークス 取締役本部長

地域と一部の機種の違いはありましたが、基本的に2月1日には、ほぼ全ての旧規則機が撤去となりました。パチンコの撤去も進みましたが、パチスロとの大きな違いは『代替機』です。

パチンコは長い間『真・北斗無双』に頼った営業が続きましたが、『P大工の源さん超韋駄天』から始まり、『P牙狼』『Pフィーバー機動戦士ガンダムUC』『P新世紀エヴァンゲリオン~未来への咆哮』と販売台数も多く、アウトシェアも5%以上ある機種が登場、売上も粗利も『真・北斗無双』以上となりスムーズに移行できました。つまり、パチンコは貢献する新台を買えば買うほど業績が安定しました。

一方のパチスロの状況はそれとは真逆です。2018年10月に最初に登場した『HEY!鏡』からすでに3年以上経過しますが、いまだに6号機の貢献機種は少なく、メイン機種不在が続いています。この3年間、パチスロは新台を「買えば買うほど」業績が落ちていったのです。

パチンコのスペックや営業数値は皆様よくご存じだと思います。ユーザーが感じている言葉でシンプルにお伝えすると「1時間で10万出る」です。勝ち金額に魅力を感じていたパチスロユーザーの多くはパチンコへと移動しました。

ある意味、いまのパチスロに残っているユーザーは以下のようなマインドの人でしょう。
● 勝ち(率)に徹する
● 低い射幸性で我慢できる
● パチスロが好きなのでパチンコへ移行しない

そのユーザーたちの2022年2月以降のメインは以下の機種になるでしょう
● 『マイジャグラーⅤ』
● 『バジリスク絆2』
● 『沖ドキDUO』
● 『チバリヨ』
● 『押忍!番長ZERO』

6号機だけになったパチスロは、ある意味ユーザーが遊べる遊技環境となります。

6号機のみ、直近1年間のタイプ別コイン単価実績を集計しました。
● ジャグラー系 1.6円
● ノーマル機 1.65円
● AT&ART機種 2.8円
● 30φAT系 2.95円

5号機時代までは地域1番店でも5番店でも売上、粗利貢献の高いジャグラーを一定台数保有してきました。しかし、6号機ジャグラーの平均コイン単価は1.6円です。5号機ジャグラーの平均コイン単価は2・2円でしたので、対比すると約30%の低下となり、台粗利も同じ比率で低下します。

しかも、射幸性が低いため、利益率を上げると一気に稼働が低下し、利益率を上げることが非常に難しい。供給台数が足りていないとは言え、高利益で6号機ジャグラーを営業することは難しく、台粗利の最大化を図るため薄利多売になってしまいます。

5号機時代を引きずってさまざまな投資を行い、ジャグラー台数を確保して営業することに固執しすぎると自ら営業バランスを崩すことになりかねません。いま一度業績予測を行い、経営可能な営業計画を作成すべきです。

30φAT機は復調傾向に

逆に30φAT機は1年半の月日が経ち、ようやく貢献する機種が出てきました。『チバリヨ』『沖ドキDUO』です。この2機種は6号機の中では非常に優秀な数値を出しており、遊技している客層も徐々に旧沖ドキユーザーが戻りつつあります。

しかし、30φのノーマル機に関しては6号機ジャグラーに遠く及ばない状況です。30φノーマル機の開発状況は未だ遅れており、30φノーマル5号機の代替えは一向に進みません。

今後は商圏順位によって、大きな変化をつけなければなりません。大きなジャグラー台数シェアを持てる店舗は1番店のみであり、2番店以下はジャグラー台数シェアを高めれば高めるほど経営が圧迫されます。稼働はあっても粗利が届かないため、お客様が一定数存在するのに経営は赤字。5号機の感覚でジャグラー台数シェアを考えてしまうと営業できなくなってしまいます。


「販促活動」がポイントに

そんななか、パチスロ営業を盛り上げていくためにはどうすればいいのか。一つは、プロモーションの充実だと思います。もちろん、法令は遵守する中での販促活動にはなりますが、AT機を軸に販促活動で集客する営業が求められます。

それぞれの販促活動でリーチすべきお客様はどんな属性なのかを把握し、ロスのない販促活動を行う店舗が勝ち残ります。

パチスロの『勝ち金額』は大幅に減ることとなりました。しかし『勝率』で満足するユーザーも一定数存在します。当然、店舗は『薄利多売』となりますが、薄利多売で経営できる状況を作れた店舗が選ばれます。コストを販促活動と出玉に集中させて売上を最大化させること。これが今後半年間、競合店と大きく差別化するための最重要事項となります。

つまり「店舗ブランド」を創造する半年間です。来たる6.5号機登場までに、いかに店舗ブランドを創造できるか? それが6.5号機を最大限活用できるステージを作り上げることにつながります。

最後に6.5号機の予測です。スマートパチスロ(メダルレス)と6.5号機の大きな違いはまだ明確にされていません。2400枚規制は撤廃されたとしても、ユーザーが求めている機械とイコールではありません。

すでにパチンコの射幸性に慣れているユーザー(1時間で10万出る)は、パチスロの射幸性がよほど高まらない限り、戻ることは難しいでしょう。機械を『買えば買うほど』業績が向上する時期は早くても今年の秋以降となるはずです。

それまでに6号機の売上と粗利で店舗に利益が残る経営体制を創れた法人が店舗数を伸ばすことになります。

そのためには
● 店舗営業固定費をどこまで下げられるか?
● 機械費用をどこまで抑えられるか?
● 新台を導入しなくても集客できる営業力(販促活動)

上記が2022年、目指すべき事案かと思います。

パチスロ営業で支えられてきた店舗で体制を変えられなかった店舗の多くは閉店しますが、これがパチスロの底です。残った店舗の未来は明るく、残存利益を最大化するためにできることは明確です。

コイン単価の高い機種を店舗ブランドで稼働させる。難しいですが、6.5号機導入までにできることを実行していきましょう。

※『月刊アミューズメントジャパン』2022年4月号に掲載した記事を転載しました。


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