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2022年06月20日
No.10002873

INTERVIEW
スマスロで見えるパチスロの未来

INTERVIEW
日本電動式遊技機工業協同組合
里見治紀 理事


今年11月に市場への導入を予定しているスマートパチスロ(スマスロ)。この次世代パチスロがもたらすのはどんな未来なのか。日電協でスマートパチスロ普及推進プロジェクトのプロジェクトリーダーを務める里見治紀理事に聞いた。(文中敬称略)

──日電協におけるスマスロプロジェクトのこれまでの経緯を教えてください。
里見 2018年2月の規則改正直後から「メダルレス遊技機検討プロジェクト」を発足し、次世代遊技機の基本仕様や遊技機情報センタのあり方などについて協議し、約3年をかけて型式申請が可能な状態まで来ました。昨年5月には「スマートパチスロ」の本格的な市場導入に向けて、先のプロジェクトを発展的に解消。スマートパチスロ普及推進プロジェクトとして新たに立ち上げ、私がプロジェクトリーダーに就き、スマスロの業界への普及と啓蒙に取り組んでいます。

──今年3月、スマスロは今年11月に市場導入と発表がありました。その後の進捗状況はどうですか?
里見 11月の導入を実現させるために、型式試験期間や販売活動期間を考慮すると、もうあまり時間がありません。そこで、日工組様にも協力をいただき、スマスロの型式試験申請がスムーズに行われるよう、自主的な申請運用を実施しているところです。これにより、ある程度充実した機種数を揃えて11月を迎えようとしています。ここまで3年以上の時間がかかりましたが、良かったのはこの間、スペック面で幅広いゲーム性を行政に認めていただいたこと。幅広いゲーム性の搭載は、メダル機、スマスロに限らず搭載が可能ではありますが、スマスロの普及のために、日工組様と協議して、自主的にスマスロだけにフルスペックで搭載できるようにさせていただきました。6.0号機仕様のスマスロでは、ただメダルレスになっただけになってしまいます。魅力あるスペックを作れる仕様になったことで、スマスロの普及に弾みがつくと考えています。


──5月19日にホール4団体の執行部向けに説明会が行われました。どんな反応がありましたか?
里見 世界的な電子部品の供給不足から、とくにスマート遊技機に必要なユニットの供給能力に対する心配の声が多くありました。確かにスマスロ自体も電子部品の問題は抱えていますが、この問題についてはユニットメーカー側でも部材の確保に日々努力されていて、遊技機メーカーも可能な限り協力していくことで合意しています。引き続き、遊技機メーカーとユニットメーカーが一丸となって取り組んでいきます。

──現行機とスマスロの大きな違いは?
里見 ユーザー目線では、メダルを入れる必要がなく、メダルが出てこなくなることに尽きます。実は、これによりホール様にもメリットが出てくると考えています。プレイヤーがメダルを触る時間がなくなるので、私たちの試算では開店から閉店まで1日フル稼働した場合、最低5%、多くて10%ぐらいゲーム回数が増えます。つまりイン枚数が増えることになり、大きなメリットになります。逆に懸念されるのが、プレイヤーの承認欲求を満たせなくなるのではないかということ。獲得メダルを他人に見てもらう歓びが薄れてしまわないか。ここを心配されているホール様がかなりいらっしゃいます。ただ、すでにメダルも各台計数のホール様が増えてきていますから、ファン離れにつながるような問題にはならないと考えています。

──ほかにもホールのメリットはありますか?
里見 メダルの補給や洗浄が必要ないのでスタッフの省力化が図れます。もちろんメダル自動補給装置やメダル計数機も必要なくなるので、店舗づくりにおけるコスト削減につながります。スマスロが普及すれば将来的にメダルも購入しなくてよくなり、筐体内部のホッパーやセレクターもなくなるので遊技機の軽量化が図れます。日電協の試算では2キロぐらい軽くなる見込みです。またメダルを払い出す際に必要な電力も削減できます。こうした点はSDGsで求められている環境負荷削減に資することになります。メダルを触らないので感染症対策にもつながり、メダルを払い出すときの衝撃音もなくなるので、スタッフの騒音曝露問題の解消にもつながります。

──そうした変化にプレイヤーは付いてきてくれるでしょうか?
里見 日電協のアンケート調査によれば、これまでの6号機に対するプレイヤーの大きな不満は、2400枚のMYという点と有利区間、そして有利区間ランプの存在です。これらによって遊技を続けるモチベーションが湧かなくなっているのです。しかし、6.5号機からはこの部分のほとんどが解消され、さらにスマスロでは有利区間のゲーム数の制限がなくなります。これらはプレイヤーにとってメダルの有無を超える大きなメリットになると考えています。もちろん、当面はメダル機も30φ機も併存しますので、どうしてもメダルで遊びたい方は、これから順次出てくるメダル機の6.5号機で楽しんでいただけます。

業界のゲームチェンジャーに

──パチンコも含めたスマート遊技機では、センタ通信の機能が付きます。
里見 そもそもスマート遊技機は、不正対策や依存問題対策を目的にスタートしています。出玉情報をオンラインでセンタ受信することで、異常な出玉の動きをする機械があれば人の目ではなく数字で確認できます。このホールの何番のこの機械は挙動がおかしいということをホール様にお伝えできるのです。将来的にはこの機能を使って、ホールの会員様が過度に遊技にのめり込んでいないかといったことを科学的に調べられるようになれば、依存問題対策にもつながります。スマート遊技機は、遊技機の情報を初めてオンラインで受信できるという点で画期的なことで、今後はさまざまな展開が考えられます。例えば、現在は遊技機と外部との双方向通信は規則上認められていないため実現していませんが、いまやBluetoothを使って音楽を聴くことがスマートフォンでは当たり前です。そういった点のルールの見直しができないかなど、ユーザーにとって遊技環境が改善されることがあれば検討していきます。

──スマート遊技機を使うことで、ホールは将来どんな店づくりが可能になりますか?
里見 当初は、一部の島だけをスマート遊技機に替えていこうというお店が多いと思いますが、スマート遊技機のラインナップが揃ってくる来年の後半や再来年になれば、新規出店や大型リニューアルでスマート遊技機だけのホール、「スマートホール」が出てくる可能性も考えられます。その時こそ業界が大きく変わるチャンスです。スマート遊技機が持っている最大の価値をホール様に感じていただけるでしょう。出店コストが大幅に下がり、少ないスタッフでオペレーションができるので、例えば、駅前の小規模なコンビニサイズのお店をもう一度つくるチャンスが出てくるかもしれません。また、機材が軽くなるので路面店や地下ではなく商業ビルの上階に出店することが認められたり、大きな商業施設の一画にスマート遊技機のコーナーができたりするかもしれません。いろいろな店舗づくりが想像できます。遊技機のスペックも重要ですが、ホール運営全体に与えるポジティブな影響は計り知れません。一部の島だけにスマート機を入れるだけでは実感できないかもしれませんが、将来的にスマートホールが出てきたときには、業界のゲームチェンジャーに成り得るのです。

──2年後ぐらいにはそういうお店ができるでしょうか?
里見 私は大いに期待しています。プレイヤーの方にはメダル機が好きな方もいらっしゃいますが、そこはメダルレスに慣れていただき、ボタンだけでサクサク遊技できることに価値を見出していただけると信じています。あとはメーカーがどれだけ良い機械を揃えられるか。かつてパチスロ専門店が登場したときのように、スマート機だけで店舗が賄えるだけの魅力ある機種をメーカーが供給できれば、早晩そういうお店がオープンしていき、店舗数の減少に歯止めがかけられるのではないでしょうか。

──いま、ホール関係者に伝えたいことは?
里見 今回の旧規則機の撤去問題を乗り越え、今後2024年には新紙幣の登場が見えています。その状況でなぜこのタイミングかというお声もいただいていることは承知しています。それでも、パチスロのゲーム性を高める新しいスペックの機械を、いち早くプレイヤーに遊んでいただいて、「面白いね」と感じていただきたい。ユニットなど投資コストが大きいと言われていますが、投資に対してあり余る稼働がある機種を提供できるように頑張っていきます。7月には全国のホール関係者様向けの説明会を行います。適合状況によってはホール関係者の方々に直にスマート遊技機を触っていただく機会を設けたいとも考えています。ぜひスマスロにご期待ください。



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